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July 19, 2009

グーグル(google)の2010年第2四半期決算を見る!

   日経新聞夕刊で「グーグル最高益」、「4-6月19%増、リストラ奏功」という記事が掲載された。内容は、7/16に公表されたグーグルの第2四半期決算の結果、当期純利益が19%増の14億8,500万ドル(約1,400億円)となり、過去最高益を達成したというものである。記事ではシュミットCEOのコメントも掲載され、「本格回復の時期を語るのは時期尚早」とのことであるが、アメリカ経済の景気低迷の中で、グーグルの決算結果は今後の景気の動向を占う上での先行指標ともいえ、アメリカ経済が景気回復に向かうか気になるところである。そこで、本ブログでは、さらに、グーグルのこの2010年度第2四半期決算の詳細をみてみたい。

   まず、営業収入であるが、この第2四半期のみでは55.2億ドル(102.9%:約5,244億円)であり、6ケ月累計では、1,103.1億ドル(104.5%:約1兆479億円)である。成長率は堅調な数字となり、ひところの2桁成長の勢いはなくなり、成長期から安定期を迎えつつあるのが現状といえよう。ただ、半期で1兆円を超える営業収入はすごい数字であり、改めて、グーグルという仕組み、ビジネスモデルが確立されたことを示しているともいえよう。ちなみに、この収入の内97%が広告収入であり、3%がその他であり、グーグルはネットに特化した広告代理店といえる。そして、その収入で様々な無料サービスを提供し、それがさらに広告に跳ね返るという循環ビジネスを作り上げたところが独創的なビジネスモデルであるといえよう。最近では海外比率も高まり、53%となり、アメリカ国内を上回り、海外の比重が大きくなりつつあるのが現状である。

   一方、経費であるが第2四半期のみでは36.5億ドル(96.3%:約3,467億円)、累計では72.7億ドル(97.9%:6,906億円)と下がっており、これが、今回、高収益につながった要因である。ちなみに、グーグルは経費を4つに分けており、営業経費57.8%、研究開発費19.4%、販売促進費12.9%、一般管理費10.0%となる。これを見ると、研究開発費がかなりの比重をしめ、第2四半期のみで約708億円であるので、年間では、3,000億円近くにもなり、研究開発がグーグルの成長と収益を支えている基盤となっているといえよう。

   結果、第2四半期単体の当期純利益であるが、税金を差し引き、日経の夕刊でも報じられたように14.8億ドル(約1,400億円)となり、率にして29.6%、伸び率119.0%と、過去最高益となった。また、累計では、29.0億ドル(約2,755億円)となり、率にして26.4%、伸び率113.8%と、好調な数字となった。それにしても、当期純利益が29.6%とほぼ営業収入の1/3であり、いかに、グーグルが高収益のビジネスモデルであるかがわかる。

   これを受けて、キャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは16.1億ドル(約1,529億円)となり、当期純利益14.8億ドルが92.3%と、大半を占めている。小売業では、これに減価償却費が同じくらいのるが、グーグルの減価償却費は19.3%であり、さほど大きい比率ではなく、当期純利益の比重が営業キャッシュフローの中では極端に高いのが特徴といえよう。

   そして、ここから、投資を行うことになるが、投資キャッシュフローはわずか-2.2億ドル(約-209億円)であり、結果、フリーキャッシュフローは13.9億ドル(約1,320億円)と、豊富なキャッシュを確保している。ちなみに、投資キャッシュフローの中身であるが、セキュリティ関連が-53.9億ドル(約-5,120億円)と大きな比重を占めるが、ほぼ同様な額がセキュリー関連から収入として得ており、相殺されている。したがって、最大の投資は固定資産、設備関連であり、-1.3億ドル(約-123億円)である。

   次に、財務キャッシュフローであるが、0.5億ドル(約47億円)のプラスであり、財務的な支出は0であり、すべてのフリーキャッシュフローを内部留保するという、通常ではありえないようなキャッシュフローの流れである。この第2四半期に増加したキャッシュフローは14.8億ドル(約1,400億円)であるので、まさに、当期純利益そのものの金額であり、結果から見ると、当期純利益がそのままキャッシュフローでも残され、内部留保され、財務の安定につながっているといえ、超健全、安定的な財務戦略であるといえよう。

   そこで、グーグルの貸借対照表を見てみると、まず、自己資本比率(純資産比率)であるが、何と89.9%という極限に近い数字であり、もちろん、無借金である。流動資産も、総資産351.6億ドル(約3,340億円)のわずか5.7%であり、自己資本でほぼ資産を賄っており、極めて自由度の高い財務状況である。一方、資産であるが、最大の資産が119.1億ドル(約1兆1,314億円)の現金であり、総資産の33.9%を占める。ついで、セキュリティ関連の流動資産74.3億ドル(総資産の21.1%:約7,058億円)、そして、固定資産の設備関連が50.0億ドル(総資産の14.2%:約4,750億円)となる。

   このようにグーグルの直近の決算、2010年度第2四半期の内容を見てみたが、成長は安定成長に入ったといえるが、逆に、利益は経費削減効果もあり、過去最高となるなど、利益重視の経営戦略が鮮明である。しかも、財務内容は極めて安定しており、自己資本比率が89.9%と超健全であり、現金も1兆円を超えており、経営の自由度が極めて高いといえよう。いつ、5,000億円ぐらい、自己資金で投資してもおかしくない状況であり、しかも、この四半期だけでも約1,500億円のキャッシュが内部留保されており、資金の循環も貯まる一方の流れである。今後、グーグルがいつ積極策に打って出、どこに、どれくらい投資するか、その動向に注目といえよう。

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