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July 17, 2009

続、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力!

   前回のブログで食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力について改めて定義し、上場食品スーパーマーケット約50社の全体像を見た。結論は、-0.4%と、マイナスとなり、商品売買から得られる粗利、すなわち、売上総利益で経費を相殺できていない実態が浮かびあがった。営業利益自体は2.6%であるので、その差、3.0%が商品売買以外から得られる収入、その他の営業収入となる。その他の営業収入の中身は、不動産収入、物流収入がその大半であり、ここ最近では、物流収入が大きな構成比を占めはじめている。

   一般に食品スーパーマーケットは営業規模が拡大し、年商1,000億円を超えたあたりから、自社の物流センター構築が営業拡大の重要な経営戦略となる。逆に、物流センターなしに、店舗数を増やすことはある一定規模を超えると不可能といえ、物流センターの新設が成長のための最優先の経営課題ともいえよう。したがって、売上規模の拡大と同時に、物流センターを通じた物流収入が増加することになり、それに伴い、その他営業収入が飛躍的に増大することになる。実際、上場食品スーパーマーケットで3%以上のその他営業収入を得ているのは年商1,000億円以上の食品スーパーマーケットがその大半を占め、年商1,000億円以下の食品スーパーマーケットは数社にすぎない。

   また、不動産収入は売場面積の拡大と同時に増加がはじまり、その延長ともいえるNSC化、SC化により、その傾向は一段と強くなる。特に、ここ最近、食品スーパーマーケットはNSC(近隣型ショッピングセンター)がはやりであり、それに伴い、不動産収入は飛躍的に増加しているともいえる。したがって、その他営業収入は、この2つの要因により、増加傾向が鮮明であり、数字を見る限り、いまや、食品スーパーマーケットにとっては、その他営業収入が利益の生命線になりつつあるといえる。

   そこで、マーチャンダイジング力にもどり、2009年度決算でマーチャンダイジング力が高い食品スーパーマーケットを見てみたい。No.1は6.7%のオオゼキである。オオゼキのその他営業収入はわずか1.0%であり、その大半を商品売買から得られる利益で稼いでおり、しかも、経費比率が18.2%という低さも加わり、6.7%と極めて高い数字となった。結果、営業利益は7.6%であり、営業利益においても、上場食品スーパーマーケットではNo.1となった。ちなみに、営業利益では6.4%とNo.2となったサンエーであるが、マーチャンダイジング力は3.4%で約半分がその他営業利益であり、全体ではNo.6であった。

   No.2から、No.5までは決算上では、その他営業収入が0となったマーチャンダイジング力=営業利益の食品スーパーマーケットが占めた。これは、実際に0なのか、集計上別に計上している場合もあるかもしれないが、決算上は0である。その食品スーパーマーケットであるが、No.2はホームセンターに分類した方が良いともいえるがアークランドサカモト5.3%、No.3非上場であるが、オーケー5.0%、No.4大黒天物産4.9%、そして、No.5ユニバース3.5%となる。こう見ると、No.5以下は3.0%台以下となるので、マーチャンダイジング力が4.0%以上の純粋な食品スーパーマーケットは3社しかなく、オオゼキ、オーケー、大黒天物産のみである。しかも、いずれの3社も共通点は経費比率の低さであり、オオゼキが先に見たように18.2%、オーケーにいたっては14.9%と食品スーパーマーケッ業界トップであり、大黒天物産も18.0%という低さである。

   マーチャンダイジング力を高める最良の方法が、粗利率ではなく、経費比率にあるといえ、食品スーパーマーケットがマーチャンダイジング力を強くするためには、経費コントロールがその鍵を握っていることが改めてクローズアップされたといえよう。

   以下、マーチャンダイジング力の高い食品スーパーマーケットを見てみると、No.6サンエー3.4%、No.7アークス3.4%、No.8原信ナルスH2.8%、No.9丸久2.6%、No.10東武ストア2.6%、No.11ヤマザワ2.4%、No.12スーパーバリュー2.1%となり、以上が2.0%以上のマーチャンダイジング力の上場食品スーパーマーケットである。

   これに対して、マーチャンダイジング力が大きくマイナスとなった食品スーパーマーケットを見てみると、イオン九州-6.3%、フジ-4.9%、Olympic-4.2%、相鉄ローゼン-3.8%、ヤマナカ-3.8%、いなげや-3.6%、平和堂-3.6%、バロー-3.1%であり、以上が-3.0%以下の食品スーパーマーケットである。ちなみに、経費比率を見ると、イオン九州33.8%、フジ28.8%、Olympic32.6%、相鉄ローゼン32.3%、ヤマナカ29.0%、いなげや29.5%、平和堂33.1%、バロー27.9%であり、いずれも30%前後と極めて高い経費比率であり、これを見ても、マーチャンダイジング力は経費比率をいかに抑えるかが重要な課題であるといえよう。

   このように、2009年度の上場食品スーパーマーケットの決算数字を見ると、マーチャンダイジング力がいかに大きな格差があるかがわかる。最大6%強から最少-6%強であり、差し引き12%以上の差があり、改めてマーチャンダイジング力をどうプラスにもってゆき、さらに、そのプラス幅を大きくできるかが食品スーパーマーケットの重要な営業戦略であるといえよう。しかも、その鍵が経費比率にあることも鮮明であり、マーチャンダイジング力の強化は、粗利もさることながら、まさに経費との戦いであるといえよう。

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