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July 16, 2009

食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力!

   食品スーパーマーケットの2009年度決算について、現在、各業界誌が特集しているが、PI研でも独自に集計して見た結果、様々な食品スーパーマーケットの実態が浮かび上がった。おいおい、その実態を本ブログでも取り上げてゆく予定であるが、今回は、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力について見てみたい。

   食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力を決算書からどう読みとるかは実はかなり難しい。何をもってマーチャンダイジングの実態を表しているかを定義するのが難しいからである。決算書の指標の中で、マーチャンダイジングの実態を表す候補となるのは、売上高、粗利(売上総利益)、営業利益の3つの指標であろう。この3つは、いずれも商品売買と密接に関係した指標であり、マーチャンダイジングの実態を表している指標といえるが、それぞれ、根本的に内容の違うものである。

   売上高は、文字通り、商品売買の結果得られる売上金額そのものであり、これをマーチャンダイジング力と定義することもできよう。粗利は売上総利益のことであり、売上高から仕入原価を引いたものである。マーチャンダイジングに仕入れを考慮するのであれば、この粗利の方がマーチャンダイジング力を表しているといえる。そして、営業利益であるが、これは粗利から経費を引いたものである。したがって、マーチャンダイジングに経費も考慮するのであれば、営業利益の方がマーチャンダイジングの実態を表しているといえよう。

   こう見ると、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングの実態を把握するには、仕入原価まで含めてマーチャンダイジングを見るのであれば、粗利、すなわち、売上総利益がふさわしといえ、さらに経費まで含めてマーチャンダイジングを見るのであれば、営業利益がふさわしいといえよう。マーチャンダイジングの実態を把握するには、この3段階のどこまでを見るかにより、決算書のどこに着目するかが決まってくるといえる。

   そこで、本ブログでは、どこまでマーチャンダイジングに含めるかであるが、マーチャンダイジングの目的を考えた場合、売ることが最も重要な要素であるが、それ以上に儲けることはさらに重要な要素であるといえよう。しかも、儲けるとは仕入れだけでなく、経費をも考慮すべきであるといえよう。そう考えると、マーチャンダイジングの実態は営業利益で見るのが、最も、その実態を表しているといえよう。

   ただ、食品スーパーマーケットの決算書の営業利益には商品売買以外の、その他営業収入も入っており、マーチャンダイジングの実態とはズレが生じているのが現状である。その他営業収入とは、不動産収入や物流収入等である。したがって、この、その他営業収入は営業利益から外した方がマーチャンダイジングの実態により近いといえ、この、その他営業収入を差し引いた営業利益をマーチャンダイジングの実態を表した数字と見るのがふさわしいように思う。これを食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力と定義したいが、残念ながら、決算書では、この数字が示されていないので、実際にマーチャンダイジング力を見るには、決算書を少し組み直す必要がある。ただ、組み直してでも、マーチャンダイジング力を算出した方が、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力を正確に把握できるのではないかと思う。

   そこで、このマーチャンダイジング力、売上総利益-経費を2009年度の上場食品スーパーマーケット約50社で計算しなおしてみると、まさに、2009年度の食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力の実態が浮かび上がってくる。ちなみに、決算書の営業利益は売上高-仕入原価+その他営業利益-経費=営業利益となっているので、ここからマーチャンダイジング力を算出するには、営業利益からその他営業収入を引く必要があり、その引いた数字は決算書にはないので、マーチャンダイジング力を見るためには、決算書を組み直す必要があるといえる。

   実際、2009年度の上場約50社の合計の売上高は7兆5,725.63億円、仕入原価5兆6,586.11億円であるので、74.7%となる。したがって、売上総利益は差し引き、1兆9,139.52億円、25.3%となり、ここから経費を差し引いたものがマーチャンダイジング力である。経費は1兆9,470.67億円、25.7%であるので、差し引き、マーチャンダイジング力は-331.15億円、-0.4%と、残念ながらマイナスである。営業利益は、これに、その他営業収入2,290.28億円、3.0%がのり、結果、1,959.13億円、2.6%となる。

   したがって、残念ながら、2009年度の上場約50社のマーチャンダイジング力は-0.4%であり、その他営業収入3.0%がなければ、営業利益はプラスにならかなった状況であり、いまや、その他営業収入が実に食品スーパーマーケットの利益の重要な要素であることがわかる。もちろん、個々に見れば、マーチャンダイジング力がプラスの食品スーパーマーケットは約半分あるが、全体としては、マイナスであり、今後、この実態を見る限り、仕入原価、経費の見直しは急務といえ、マーチャンダイジング力を業界全体として、いかに引き上げ、まずは、プラスにもってゆくことが、今期の最優先の経営課題といえよう。

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