コンビニ売上速報、2009年7月度、-5.0%!
コンビニの売上げが予定(予想)通り?、大きく下がった。この7月度は、-5.0%(95.0%)となった。既存店はさらに、落ち込みが大きく、-7.5%であり、日経新聞8/21付けでも報じられているように、この数字を公表している(社)日本フライチャイズチェーン協会が統計を取り始めた平成10年(1998年)12月以来、最大の落ち込であるという。実際、平成10年(1998年)12月以降の公表データを見てみると、この7月まで139ケ月間あるが、マイナスになったのは、わずか10回(月)であり、この7月度が11回目のマイナスの月であり、コンビニがこの10年間、右肩当たりのトレンドであったことがわかる。
この7月、売上が大きく落ち込んだ要因は大きく2つある。ひとつは昨年7月度が猛暑であり、過去139ケ月で最高の伸び率14.0%(既存店11.7%:過去最高)であったことに対し、今年が、曇りや雨の日が多く、日照時間が少なかったことである。そのため、コンビニの主力商品であるアイスクリーム、ソフトドリンク、冷やし麺などの夏物商材が不調になったことが大きく売上げに響いたという。そして、もう一つは、taspo効果が一巡し、taspoによる客数増が望めなくなったことである。
そこで、その数字的な裏付けを探ってみると、客数が-2.3%(既存店-4.5%)、客単価が-2.8%(既存店-3.1%)となっており、客数、客単価ともにダウンしており、ダブルでの数字ダウンが売上げを押し下げていることがわかる。さらに、商品別に売上げの状況を見てみると、加工食品が-11.8%、日配食品が-5.4%と、この2部門の落ち込みが大きく、taspoと関係するたばこの入った非食品は+1.8%と、依然としてプラスとなっており、商品で見た場合は、先の夏物商材の影響が大きかったといえよう。日経新聞では個々のコンビニの数字も掲載されており、セブンイレブン・ジャパンが-5.5%と1年4ケ月ぶりに前年割れ、ローソンが-8.7%、ファミリーマートが-7.3%と、いずれもコンビニの平均以上に落ち込みが大きく、大手ほど、この7月は苦戦したことがわかる。
問題は、この傾向が来月以降も続くのかどうかであるが、昨年の7月がtaspoと猛暑というダブルでの売上増となり、異常値であったといえ、8月度も同様な数字となるかは微妙な状況といえよう。単純に計算してみると、昨年7月度は14.0%の伸びで、今年は、-5.0%であるので、差し引き、今年は、一昨年と比べると9.0%伸びている状況である。そして、昨年の8月が7.5%であるので、仮に、来月8月度がこの7月同様、一昨年の9.0%で落ち着けば、差し引き1.5%のプラスとなることが予想される。もちろん、天候等の不確定要因があるので、単純には予想できないが、この厳しかった7月度の状況から見ると、8月度は横ばいかプラスになる可能性もあるといえ、ここまで落ち込むことはないといえよう。したがって、来月以降は微増か微減となる可能性が高いといえ、この7月度が特に異常値と見た方がよさそうである。ただ、いずれにせよ、taspo効果は一巡したのは確かといえ、今後、コンビニは、taspoに変わる新たなマーケティング政策が必要といえよう。
ところで、taspo効果とは客数か客単価、どちらに効果があったかといえば、明らかに、客数である。この1年間の客数の伸び率と客単価の伸び率を月別に見てみると、まず、客数は7月13.9%、8月5.6%、9月8.1%、10月9.5%、11月8.6%、12月9.5%、1月10.0%、2月6.0%、3月7.2%、4月8.7%、5月4.6%、6月 4.9%、7月-2.3%という状況である。これに対して、客単価は、7月0.1%、8月1.8%、9月0.7%、10月0.9%、11月1.2%、12月-0.9%、1月-0.4%、2月-1.2%、3月-0.7%、4月-2.0%、5月-1.4%、6月-3.8%、7月-2.8%という状況である。これを見比べる限り、明らかに、taspo効果は客数に表れており、客単価への押し上げは、一部商品では効果があったが、全体へのインパクトはなかったと判断せざるをえない結果である。
したがって、taspo効果による次のマーケティング政策は、大きく2つにわかれてくることになろう。ひとつは、taspoにより、伸び悩んだ客単価の見直しをはかることであり、もうひとつは、taspo効果が見込めなくなった客数をどう増やすということであろう。
ただ、客単価はコンビニの現状の商品構成では中々上げるのは難しい段階にあるといえる。平成11年度(1999年)からの、年間の客単価の推移を見てみると、平成11年(1999年)-0.8%、平成12年(2000年)-2.2%、平成13年(2001年)-1.6%、平成14年(2002年)-1.8%、平成15年(2003年)-1.5%、平成16年(2004年)-1.2%、平成17年(2005年)-1.1%、平成18年(2006年)-0.5%、平成19年(2007年)-0.8%、平成20年(2008年)0.5%、という状況である。
この数字を見る限り、今後、客単価を上げるのは至難の業であり、逆に、客数を上げる方が、対taspo対策としては、現実的であるように思える。ただ、既存店の客数を上げるのは、客単価同様に難しいことが予想されるので、恐らく、今後は新規出店、M&Aにより新たに店舗数を増やす方向に各社は動かざるをえないのではないかと予想される。したがって、競争激化はさらに激しさを増し、結果、業界再編へとつながるのではないかと思われる。結果、taspoにより一時、休戦状況であったコンビニ競争が今後ますます深刻になるのではと懸念される。まずは、来月、8月がどのような数字となるか、注目である。
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