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August 03, 2009

消費者物価指数(CPI)、2009年6月度、デフレ鮮明!

   消費者物価指数(CPI)、2009年6月度の最新速報が7/31、総務省統計局から公表された。消費者物価指数は3つに分けて集計されており、1つ目が総合指数、2つ目が生鮮食品を除く総合指数、そして、3つ目が食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。すべて、総合指数であるが、生鮮、エネルギーの物価が不安定なため、より、正確な消費者物価指数を把握するために、不安定要素を取り除いてゆくものと思われる。その結果であるが、1つ目の総合指数は、平成17年度比で100.4%、前年同月比で1.8%の下落となった。また、2つ目の生鮮食品を除く総合指数では平成17年度比で100.3%、前年同月比で1.7%の下落、そして、3つ目の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数では、平成17年度比で98.7%、前年同月比で0.7%の下落となり、いずれの総合指数も前年同月比では下落するというデフレ傾向が鮮明な結果となった。

   なお、この3つの数字はいずれも、過去1年間の月別推移で、過去4年間の折れ線グラフ化も同時に公表されているが、それを見ると、下落傾向はより鮮明である。特に、総合指数は4月度までは昨年と同様な傾向であったが、先月の5月度から下落傾向が鮮明になった。昨年は5月から値上げ問題が本格化し、グラフは右上がりに上昇し始め、9月まで急上昇を続け、その後10月は横ばい、11月からは、逆に、急効果をはじめている。まさに、9.15のリーマンブラザーズショックが転機となったといえ、消費者物価指数が、上昇も下落も金融の投機に翻弄された構図となっている。

   この異常な動きが昨年のグラフに鮮明に表れており、それと比べての今年であるので、まさに、グラフは5月度から対照的な動きとなっており、昨年度のグラフと今年度のグラフがちょうど扇型に拡大しており、昨年度が上昇、今年度が下落となり、その開きが急拡大している状況である。しかも、5月までは、一昨年、その前年よりも消費者物価指数は高い状況であったが、これも、この6月度はほぼ同じ水準まで下がり、このままゆくと、7月度は過去4年間では最低の下落率になる可能性が高まったといえる。グラフから見る限り、この10月まではさらにその差が開くことが想定され、今後4ケ月は極めて厳しいデフレとなるものと予想される。

   ちなみに、総合でみた場合の寄与度、すなわち、前年同月比が1.8%の下落となった最大の要因はガソリン0.90ポイント、灯油0.37ポイントと、この2項目の下落率が極端に大きく、ついで、生鮮食品0.15ポイントとなる。逆に、このデフレ傾向が鮮明な中で、逆行しているのが、生鮮食品を除く食料であり、0.11ポイントの上昇である。食品はその意味で複雑な動きをしており、生鮮食品は下落、非生鮮食品は上昇という、この6月度は結果となった。

   そこで、食品関連に絞って、前年同月比の数字を見てみると、まず、大分類では、穀類-0.3%、魚介類-0.9%、肉類-1.6%、乳卵類0.9%、野菜・海藻-1.3%、果物-4.4%、油脂・調味料-2.0%、菓子類3.0%、調理食品1.2%、飲料-2.5%、酒類-0.7%という結果であった。確かに、生鮮食品は全滅であり、すべて、前年同月比が下がっている。特に、果物は深刻であり、食品の中で最大の下げ幅である。

   これに対し、非食品はバラバラの動きであり、油脂・調味料、飲料は特に厳しい数字であり、酒もマイナスである。一方、菓子、調理食品、乳卵類は物価が上昇しており、この3項目、特に、菓子は果物と対照的に大きく上昇しており、食品の物価全体を押し上げているといえよう。

   そこで、さらに、菓子について消費者物価指数、前年同月比が特に上昇した項目を見てみると、キャンデー23.8%、ポテトチップス11.7%と、この2項目が10%以上の上昇である。ついで、プリン5.0%、せんべい(小麦粉)4.9%、カステラ3.3%、ビスケット3.1%が3.0%以上上昇した項目であり、ほとんどの菓子がプラスであり、マイナスの菓子はゼリーの-1.7%のみであり、全面高といってよい様相を呈している。これは、原料となる小麦粉が依然として、7.1%の上昇と高い水準にあることが原因といえ、これに連動した動きであるといえよう。ただ、小麦粉関連の他の項目を見ると、干しうどんは6.2%と上昇がみられるが、即席めんは-0.3%、食パンは-4.8%と下がっているものも見られ、価格競争が厳しい商品は消費環境に沿った動きがみられるといえよう。

   余談だが、イオンが小麦の原料調達に入り、PB等で、より原価を改善し、価格を引き下げる方針を打ち出したが、この消費者物価指数のこの6月度の結果をみる限り、食品はまさに小麦粉問題が大きいといえ、ここにメスを入れることは正解といえよう。ただ、この状況は11月以降は、先のグラフからもわかるように局面がかわる可能性も高く、小麦粉問題もさらに変わる可能性もあり、今後とも、菓子類の高値安定が続くか予断をゆるさない状況ともいえる。

   このように、消費者物価指数が先月5月から明らかに下落傾向が鮮明になり、この6月度さらにその傾向が強くなったことで、今後10月度までは下落傾向がほぼ確定したといえよう。したがって、当面、食品スーパーマーケットとしては、デフレ環境の中での商売となるといえ、昨年とは全く逆の戦略で臨むことが重要な政策となったといえよう。大手小売業はますます価格競争を強めてくることが予想され、食品スーパーマーケットにとっては、平均単価の下落幅を上回るPI値アップ、そして、客数アップが当面のマーチャンダイジング戦略といえよう。食品スーパーマーケットにとっては、厳しい夏となりそうである。

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