日経MJ新製品週間ランキング8/7、カバー率から見る!
日経MJ新製品週間ランキングが8/7公表された。この日経MJのランキングは金額PI値でのランキングであり、名称は来店客千人当たり金額(円)である。POSデータを集計する場合、通常金額PI値には2つの種類があり、ひとつは、集計全店舗の売上金額を集計全店舗の客数で割って算出する金額PI値であり、いわゆる金額PI総店である。そして、もうひとつは、その商品が販売されている店舗のみの客数で割って算出する金額PI値であり、これが金額PI扱店である。そして、この2つは、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店で関係づけられ、客数PI値が扱い店舗の客数÷全店舗の客数である。
では、日経MJはどちらの金額PI値を使っているだろうか。名称は来店客千人当たり金額(円)であるので、判別がつかず、解説でもこのことについては触れていないので、わかりにくい。ただ、ヒントが集計データに隠されており、それが、カバー率である。日経MJでは、この金額PI値に加え、平均単価、カバー率を同時に公表しているので、ここから推測すると、この金額PI値はカバー率でカバーされた店舗での金額PI値、すなわち、金額PI扱店であると推測される。また、実際のデータをみると、カバー率が低い新製品でも金額PI値が高い数字のものが数多くあるので、金額PI総店では、カバー率が低い場合は金額PI総店は分母の客数が極めて大きくなり、数字は小さくなりがちであるので、ここからも、金額PI扱店であると推測される。
ここで、カバー率とは何かであるが、これは、扱い店舗数を集計店舗で割ったものであり、客数PI値に近い指標である。ただ、客数PI値と違うのは各店舗の客数がほぼ同じであれば、客数PI値もカバー率もほぼ同じ数字となるが、客数が大きく違う場合は、客数の多い店舗が客数PI値を引き上げてしまったり、逆に、カバー率は高いが客数の少ない店舗ばかりの場合は客数PI値が低くなったりし、双方の差が大きくなる傾向がある。また、理論的には、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店となるが、カバー率で金額PI総店と金額PI扱店をつなぐことはできず、カバー率は客数PI値に近い参考指標ということになろう。
そこで、ここでは、カバー率を客数PI値に近い参考指標として、特に、今回はカバー率に重点をおいて、各新製品を見てみたい。また、すでに、本ブログでも3回に渡って取り上げてきた「PI値を商談に活用するには、その1、その2、その3!」も参考にしていただければと思う。
まずは飲料であるが、今週、カバー率1位は花王、ヘルシアスパークリング500mlペットボトルであり、92.4%である。しかも、金額PI値も491円と飲料1位であり、安定度抜群である。これだけのカバー率で、金額PI値がAクラス500円に近い商品はめったになく、しかも、登場日が5/17ということでもあり、約3ケ月目ということで、十分、定番の重点商品として導入しても問題がない信頼度の高い数値といえよう。2位のアサヒ飲料、三ツ矢サイダーオールゼロ500mlペットボトルもカバー率87.2%と高い数値であり、しかも、金額PI値も407円と高く、登場日も5/14であるので、これも信頼度の高い新製品といえよう。一方、3位の森永乳業、MORINAGAミルク1000mlはカバー率が27.6%と低く、金額PI値は362円と高いが、カバー率からみると不安定な金額PI値といえよう。今後、カバー率が50%以上になっても、この数字が確保できるかはここからは判断できず、金額PI値は飲料3位の362円であるが、もう少し、カバー率が高い段階での数字をみたいところである。
次に菓子であるが、1位はカルビー、じゃがりこツナマヨ58gであり、カバー率79.2%と高い数字であり、金額PI値169円である。2位もカルビー、かっぱえびせんフレンチサラダ味75g、カバー率は81.2%、金額PI値164円、そして、3位はロッテ商事、コアラのマーチ<チョコ>50g、カバー率は何と98.4%と極限に近く、今週の全新製品の中でNo.1である。金額PI値は132円であり、この3品が信頼度抜群といえよう。
その他食品でも、菓子と同様、トップ3は森永乳業、ビヒダスプレーンヨーグルトBB536 450g、日清食品、カップヌードルシーフードヌードル75g、明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81脂肪0 450gであるが、カバー率は90.0%、90.8%、86.8%と極めて高く、金額PI値も655円、487円、425円とAクラス、Aクラスに近い数値であり、信頼度が高いといえよう。冷凍食品でも、1位のロッテアイス、爽ソーダフロート味190ml、2位のハーゲンダッツジャパン、クリスピーサンドクッキー&クリームホワイトチョコレート66mlのカバー率は92.8%、61.6%、金額PI値246円、174円であり、61.6%はやや気になるがいずれも信頼度が高い数値といえよう。
そして、家庭用品であるが、残念ながら、カバー率の高い新製品はなく、1位のマックスファクター、SK-Ⅱフェイシャルトリートメントエッセンス215mlがカバー率わずか17.6%である。ただ、金額PI値は745円と今週の全新製品の中でNo.1であり、この信頼度をどう判断するかが難しいところであろう。平均単価も13,870円であるので、需要の見込める店舗をしっかり選定することが必須といえよう。
このように、金額PI値の信頼性を判断するにはカバー率、可能であれば客数PI値が最適な指標であるといえ、高い金額PI値の新製品は、必ず、カバー率を確認し、新規導入を検討することが望ましい。カバー率が低い場合は、新製品の開発メーカーに開発の意図、導入成功事例等を確認し、さらに、今後のカバー率アップのための宣伝活動などを見て、品揃えに加えるかどうかを検討したいところである。
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