PI値を商談に活用するには、その3!
これまで、2回に渡って、「PI値を商談に活用するには、・・」について解説してきた。特に、新規商品について中心に解説をしてきた。そこで、今回は、もうひとつの、商談のポイント、すでに採用された商品について、どうPI値を商談に活用するかを解説してみたい。商品の新規採用ためのPI値活用に関しては、できるだけ多くの店舗のPOSデータをもとに、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店を算出し、特に、客数PI値をもとに提案を行ってゆくことがポイントであることを示した。では、すでに採用されている商品に関してはどのようにPI値を活用すれば良いだろか。
結論からいえば、2つの角度からのPI値の活用が望ましい。ひとつは、新規採用にも活用した、できるだけ多くの店舗のデータをPI値分析した、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店の活用である。ただ、これには、多少の工夫が必要である。その工夫とは、前回、商談をし、採用が決まってから、現在までの、推移を示すことである。そして、もうひとつは、その数字を補うことにもなるが、商談した小売業側のPOSデータをもらい、独自に分析し、工夫を凝らした独特の提案を行うことである。特に、ここでは、後者、独自工夫の独特の提案を重視した解説をしてみたい。
まず、新規採用の際にも活用したPI値分析のデータであるが、これは、原則、時間的推移を入れ、自社のポジションがどのように変化したかを示すことがポイントである。さらに、その数字と、実際の小売業側との数字を見比べ、全体よりも高い数字であれば問題はないといえるが、低い場合は、商品カットされかねず、ひと工夫が必要となる。それが、小売業からもらうPOSデータの独自分析となる。
ここ数年、小売業はすごい勢いでPOSデータの公開が始まっており、データの公開に関しては、まず、問題がない状況にあるといえ、入手の難しさはないといえよう。そこで、まず、どのようなデータを入手するかであるが、そのためには、PI値をどのように活用するかが先である。
メーカーにとって活用すべきPI値は新規商談の時にも活用したPI値分析をできればそのまま活用したいところである。すなわち、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店である。ただし、他店を分析したデータの時とは若干違い、金額PI総店は小売業側の全チェーン店全店であり、金額PI扱店は小売業側の商談で導入した商品の扱店舗の金額PI値であり、客数PI値は導入店舗の客数を全チェーン店の総客数で割った数字である。さらに、新規採用の時は、金額PI扱店までで、提案が十分に可能であったが、既存商品の場合は、もう一歩すすめ、金額PI扱店=数量PI扱店×平均単価まで落としたいところである。ここまで、落とし込むことによって、金額PI扱店が高い場合も、低い場合もその原因が数量PI扱店にあるのか、平均単価にあるのかを突き詰めることができるからである。
数量PI扱店に問題がある場合は、欠品、鮮度劣化、販促、棚割、レイアウト等に原因があると思われ、平均単価に問題がある場合は、プライスライン、他の商品との価格差、あるいは、品揃え等に問題があると思われ、次の、金額PI扱店の改善に踏み込みやすいからである。さらに、もうひとつのポイントは、全店舗のサマリーデータだけでなく、店舗別の個々の店舗のデータも小売業から入手することである。このデータを入手することにより、どの店舗、あるいは、どの店舗グループに問題があるかが一目瞭然となり、店舗グループの作り方を工夫すれば、自社の商品がなぜ、そのチェーンで伸びているのか、あるいは伸び悩んでいるかまでわかるからである。
一般にバイヤーはその主な役割が商品の仕入れと物流(配荷)にあり、店舗個々の状況まで目が行き届かないのが実情である。まして、個々の単品ごとの問題点については重点商品であればある程度把握しているが、それ以外の商品に関しては店舗ごとの問題点を把握するのは困難といえ、まして、店舗グループを自由に組み替え、問題を発見するところまで、落とし込んでいる余裕はないといえよう。したがって、そこをメーカー側が単品レベルで、バイヤー以上に店舗ごとに把握し、自由に店舗グループを組みかえるなどし、商品が伸びている要因、逆に伸び悩んでいる要因を落とし込んで、レポートしてあげれば、既存商品のさらなる売上アップに結び付くものと思われる。
特に、金額PI総店と金額PI扱店のギャップが大きいものほど効果が高いといえる。当然のことであるが、客数PI値100%、すなわち、全店にしっかり品揃えされた場合は金額PI総店=金額PI扱店となり、この場合は、金額PI扱店=数量PI扱店×平均単価に落とし込み、これを各店舗ごとに分析し、さらに、自由に店舗グループを作り、課題と今後の対策を明確にすることがポイントである。できれば、売場写真を添えてあげれば、さらに、良い改善提案に結びつくといえよう。
このように、PI値を商談に活用するには、メーカーとしては、商品の新規採用と既存商品の活性化に分けて考えるのがポイントであるといえよう。そして、どちらも、基本のPI値分析は、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店であり、新規採用の場合は、他社のPOSデータをできるだけ多く集約した分析結果が望ましく、既存商品の場合は、そのチェーンのPOSデータに比重を移し、個店にまで踏み込み、独自の視点を入れて提案することが望ましいといえよう。
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