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August 29, 2009

現金と有利子負債のバランスを考えてみる!

   前回のブログで、ユニバースの2010年4月度の第1四半期決算を取りあげた。残念ながら、増収減益という厳しい結果であったが、この減益は前倒しでの積極投資を行った上での攻めの減益といえる。通常、食品スーパーマーケットで投資、ほとんどの場合が新規出店に向けての投資であるが、これが行われると、過度の場合は財務バランスを崩し、経営が悪化する場合があり、投資の際には慎重な経営判断が必要といえる。ユニバースの場合は、この点、慎重な経営判断がなされており、営業キャッシュフローを超える投資に対して、新たな借り入れを増やすことなく、自社の現金を取り崩して行っており、しかも、財務バランスを崩すことなく、自己資本比率もわずかであるが、上昇させている。このようなケースは稀であるといえ、強固な財務体質を持つ食品スーパーマーケットでなければできない経営判断であるといえよう。

   今期は、消費環境が急激に悪化し、食品スーパーマーケットを含め、業態間競争も激しさを増すことが予想される中、投資余力が改めて問われることになろう。投資余力がある企業は借入に頼らず、営業キャッシュフローで足りない分の投資資金を自社の現金を取り崩すことで、しかも、財務バランスを悪化させずに、可能となる。そこで、2009年度の本決算から、投資余力、すなわち、現金と有利子負債の差が大きい食品スーパーマーケット、逆に、厳しい食品スーパーマーケットを見てみたい。

   まず、現金であるが、財務諸表の中では、B/Sの資産の流動資産のトップにあり、現金及び預金がそれにあたる。食品スーパーマーケット上場企業および決算を公開している全54社の平均は総資産対比で7.7%である。したがって、7.7%以上の食品スーパーマーケットが平均以上ということになり、その食品スーパーマーケットを見てみると、アオキスーパー34.4%、大黒天物産32.0%、オーケー29.6%、オオゼキ25.9%、マックスバリュ東海24.7%、九九プラス24.1%、マルミヤストア21.6%が20%以上である。ついで、サンエー19.7%、ジョイス18.9%、ユニバース16.1%、ハローズ14.6%、マルキョウ13.9%、PLANT13.8%、カスミ12.2%、トライアルカンパニー11.9%、タイヨー11.6%、ヤマナカ11.6%、スーパーバリュー11.3%、ドミー11.1%、関西スーパーマーケット11.0%、原信ナルスH10.6%、ヤマザワ10.2%、マルヤ9.7%、北雄ラッキー9.5%、スーパー大栄7.9%となる。逆に、現金比率が低い食品スーパーマーケット、5.0%以下を見てみると、マックスバリュ北海道4.2%、エコス4.1%、Olympic3.8%、平和堂3.6%、マックスバリュ中部3.4%、イズミヤ3.3%、マックスバリュ東北2.9%、イオン九州2.8%、アークランドサカモト2.7%、マックスバリュ西日本2.6%、イズミ2.5%、天満屋ストア1.8%である。

   次に有利子負債の対総資産比率であるが、平均は27.9%であり、20.0%を下回る食品スーパーマーケットを見てみると、オオゼキ0.0%、マックスバリュ東海0.0%、ヨークベニマル0.0%、マックスバリュ西日本0.3%、アオキスーパー0.8%、東武ストア3.7%、サンエー4.4%、ヤマザワ5.2%、九九プラス7.0%、ユニバース8.9%、いなげや9.7%、アークス11.3%、大黒天物産11.9%、カスミ12.3%、ヤオコー14.9%、マルキョウ15.1%、マックスバリュ中部15.8%、マルミヤストア18.1%、オークワ19.0%、関西スーパーマーケット19.3%となる。逆に、50.0%を超える食品スーパーマーケットを見てみると、ドミー50.5%、マツヤ52.4%、スーパーバリュー55.2%、PLANT55.6%、天満屋ストア56.3%、マルヨシセンター62.8%となる。

   ここから、現金-有利子負債を求めてみると、プラスになる食品スーパーマーケットはわずか13社であり、しかも、平均は-20.2%であるので、食品スーパーマーケットの財務状況は全体としては、有利子負債に依存する財務構造であることがわかる。その中でも、負債依存度の少ない13社の食品スーパーマーケットは、アオキスーパー33.6%、オオゼキ25.9%、マックスバリュ東海24.7%、大黒天物産20.1%、九九プラス17.1%、サンエー15.2%、オーケー8.1%、ユニバース7.1%、ヨークベニマル 6.0%、ヤマザワ5.0%、マルミヤストア3.5%、マックスバリュ西日本2.3%、東武ストア1.8%である。ちなみに、イオンは-25.5%、セブン&アイHは-3.8%である。

   このような実態を見ると、今回、ユニバースが積極投資により、一時的な減益となり、キャッシュフローが逆流となり、財務キャッシュフローに頼らず、現金を取り崩して、投資を行い、さらに、有利子負債まで返済し、配当も出すということが可能であった背景には、この現金-有利子負債がプラスであり、しかも、10.0%近い余力があったからであるといえよう。この財務余力、現金余力とでもいう力がないと、このような逆流のキャッシュフローを財務バランスを崩さずに補うことは不可能である。

   今期、食品スーパーマーケット業界は後半以降、消費環境の改善は望みにくく、業態を超えた空前の価格競争が予想される。このような厳しい環境では逆流のキャッシュフローとなる食品スーパーマーケットが続出するものと予想されるが、そのような状況の中でも投資が可能な食品スーパーマーケットがまさに、現金余力であるといえよう。今期は、食品スーパーマーケットの現金、キャッシュの力が経営の盛衰を握るのではないかと思う。 

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