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August 27, 2009

もうひとつのデシル分析?

   CRMの典型的な分析手法のひとつにデシル分析がある。デシルとは、容量の単位のデシリットルのデシと語源が同じであり、1Lを1/10に分けた単位から来ているように、デシル分析も顧客の購入金額を1/10に分けて、顧客のランクづけを行う分析手法である。何のためにデシル分析を行うかであるが、食品スーパーマーケットにおいて、デシル分析を行い、デシルごとに売上を見てみると、デシルの上位の顧客が大半を占めており、デシル下位の顧客の貢献度は圧倒的に低いことがわかり、顧客の重点管理が売上げアップに有効ではとないかと思われるからである。

   いわば、デシル分析は商品のABC分析に対する顧客のABC分析ともいえ、その応用が商品の単品管理であったように、個別管理、個人管理ともいえる手法である。当然、単品管理で培ってきたノウハウがすべて応用されることになり、A商品を重点管理し、C商品をカット、新商品を導入というように、この単品管理のサイクルを繰り替えし、商品の売上げを上げてゆくように、顧客も同様な手法で顧客の売上げをあげてゆくことになる。

   その具体的な手法のひとつが、デシル1の顧客のみに、何らかの特典をつけ、優遇することである。たとえば、ポイント還元率を、デシル1の顧客のみ高くし、デシル1の顧客を優遇し、他の顧客と決定的な差をつけたり、デシル1の顧客のみにDMを送り、何らかの特典を提供するなどである。こうすることによって、デシル1の顧客がより、固定客化され、さらに、デシル1の売上げが上がり、結果、店舗全体の売上げが上がるはずだという予想であり、信念である。

   ただ、この手法はCRMの分析システムを導入した企業は比較的簡単にできるため、実際に取り組んでいる食品スーパーマーケットも多いが、これまでのところ、芳しい結果が出ていないのが実態といえよう。また、食品スーパーマーケット側も、顧客側も何となく違和感があり、気が進まないという状況もあるようである。特に、日本の小売業は、「店は客のためにある」、「顧客は神様、平等である」という思想が強く、これが心にひっかかるということも大きいように思う。

   また、単品管理で取り組んだ、C商品カット、A商品の強化が行き過ぎ、商品の品揃えがA商品過多となり、縮小均衡に陥り、思ったほど、単品管理の効果が得られなかったという苦い経験もあるといえよう。その応用が、デシル分析であり、デシル分析の結果自体は事実であるので認めるが、デシル1を特別に優遇することに思い切って踏み込めないというのが実情のように思える。

   さらに、もうひとついえば、デシル分析は顧客へ直接アプローチする、典型的なCRMの手法であるが、食品スーパーマーケットの場合は、マーチャンダイジングという言葉が定着しているように、商品へのアプローチが見えないということもあり、顧客へのアプローチで商品の売上げが上がるのかという単純な疑問もあるようである。これまで、食品スーパーマーケットは創業以来、商品部を経営の中核組織に据え、商品戦略を中心に経営してきた歴史でもあり、CRMと商品政策とが一致せず、もっと、商品への踏み込みが欲しいというのがCRMへの大きな要望、裏返せば、不信感ともいうものがあるように思える。

   そこで、デシル分析を応用して、商品政策と一致させる方法はないのかということになるが、そのひとつの試みが、デシル1の顧客のみが購入する商品を抽出し、その商品をデシル1の顧客の重点商品とし、売場を通じて密かに訴求することである。これは、従来の商品部が選定する特売商品とは一線を画した商品であり、思いもつかないような商品が次々にピックされることになる。従来のPOS分析に基づく商品の販売データをいくら駆使しても抽出することは不可能な商品であり、CRM、すなわち、ID-POSデータからのみ抽出される商品であるので、次元の違う、異次元の商品がピックアップされることになる。

   ちょっと考えると、デシル1の売れ筋をピックアップすれば良いように思えるが、そこからピックアップされるのは、従来のPOS分析のA商品であることが多く、デシル1だけの購入商品はそう単純にピックアップできるわけではない。理論的には、ID金額PI値の高い商品ということになるので、全単品のID分析を行い、そこから、ID金額PI値の高い商品を抽出するか、デシル1の顧客の購入商品から、デシル2以下の購入商品を外してゆくということになり、ことはそう単純ではなく、また、簡単ではないといえる。

   ただ、このような商品がピックアップされた場合は、その商品にポイントをつけるなり、定期的に購入を促すために価格訴求をおこなったり、POPを付けてアピールするなり、様々な訴求をすることによって、商品を通じて、密かにデシル1の顧客にメッセージを送ることができ、ごく自然に、デシル1の方にとって、店舗が快適な買い物空間となってゆくことになる。これは、従来とは全く次元の違う商品分類を行うことでもあり、CRMデータにもとづく、商品分類の試みのひとつともいえよう。CRMはまだはじまったばかりといえ、食品スーパーマーケットでは、これから、様々なノウハウが開発されてくるものといえるが、顧客へ直接働きかけるだけではなく、商品、マーチャンダイジングにどこまで踏み込めるかが、今後の大きな課題といえよう。

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