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September 16, 2009

神戸物産、2009年10月期、第3四半期、増収減益!

   業務スーパーを全国にFC展開する神戸物産が9/4、2009年10月期、第3四半期の決算を公開した。売上高938.61億円(122.3%)、営業利益3.20億円(47.5%:売上対比0.34%)、経常利益2.13億円(32.4%:売上対比0.22%)、当期純利益0.86億円(24.2%:売上対比0.09%)と、増収とはなったが、利益は大きく減少し、増収減益の厳しい決算となった。すでに、公表された食品スーパーマーケット業界の最新の決算結果も、利益が厳しい状況であり、外食専門の食品スーパーマーケットである業務スーパーも同様に利益が厳しい結果であり、外食を取り巻く消費環境も厳しさが増しつつあるといえよう。

   外食産業関連では、同じく、外食向け事業を展開し、業務スーパーとも激しく競合しているAプライスを展開するトーホーの2010年1月期の中間決算も9/14に公表されたたが、減収減益の決算であり、特にAプライスは昨対3.7%減と伸び悩んだ。ここへ来て、外食を取り巻く、消費環境も厳しさが増しているといえ、食品スーパーマーケット業界も含め、食に関しても、消費環境全体が厳しい状況になりつつあるといえよう。

   さて、神戸物産の売上が好調に推移した要因であるが、新規出店が順調に進み、この第3四半期までに、新店を24店舗出店し、7店舗を閉店、純増17店舗となり、合計497店舗となったことが、売上を大きく押し上げた要因である。神戸物産のこれまでの店舗数の推移をみると、2001年34店舗、2002年66店舗、2003年161店舗、2004年252店舗、2005年362店舗、2006年433店舗、2007年473店舗、2008年481店舗、そして、現在、497店舗である。この推移をみると、2003年から2005年までは、毎年約100店舗を全国に新規出店し、急成長を遂げたが、その後、徐々に伸び率が下がり、2008年度は、中国問題もあり、わずか10店舗弱となった。その流れを受けて、現在、今期は17店舗の純増であり、やや回復傾向となり、今後は急成長から安定成長へ向けての企業基盤をどう作るかが課題といえよう。

   その安定成長を支える出店余力であるが、神戸物産はFCが497店舗の内、495店舗、直営はわずか2店舗であり、自ら土地を取得し、建物を建て、敷金・保証金等を払って出店することはない。したがって、神戸物産の出店余力は、各FCへ商品を安定供給するための、原料調達、商品加工のための工場等への投資が、自己資本でどれだけ賄えるかどうかであるといえよう。神戸物産はその意味で、自らもいっているように、SCMを自社で行う製造小売業といえ、製造、物流への投資がFCの出店余力を増し、安定した成長が可能となるビジネスモデルといえよう。

   これまで、神戸物産はその製造拠点を中国にしかもたず、安く安定した商品供給ができていたが、昨年の一連の中国問題により、中国製品の信頼感が崩れ、生産拠点の分散が大きな経営課題となっていた。そこで、生産拠点をエジプト、カンボジアへと広げるなど、これらの投資が、ここ最近増加しており、この第3四半期は土地37.48憶円(前期決算時:19.17億円)、建物35.29億円(前期決算時:31.85億円)と、約20億円強増加し、合計、72.77億円と総資産の23.3%(前期決算時19.0%)となった。

   一方、自己資本比率が39.4%と昨年の48.3%と比べ10ポイント近く下がっているのが気になるところであるが、それでも、この土地、建物の合計23.3%を上回り、さらに、固定資産の総額30.6%をも上回っており、FCの新規出店を支える財務余力は高いといえよう。

   今期、自己資本比率が下がった要因は、これらの土地、建物等の資金を有利子負債で賄ったためと思われるが、その有利子負債の状況を見ると、46.03億円(昨年の決算時:0.68億円)と、確かに、ほぼ無借金であったところが、今期は、大きく増加しており、この分が、ほぼそっくり負債を増加させていることがわかる。ただ、総資産に占める割合は14.7%であり、現金の106.97億円、総資産の34.3%の約半分と、十分に現金相殺できる金額であり、過剰感はない。

   それにしても、神戸物産の財務構造は、通常の小売業とはほぼ反対であり、流動、固定バランスが70%対30%と、流動率が極めて高いのが特徴である。これまでは、固定資産をほとんど持たず、流動資産で商売をするという、まさにFCビジネスのメリットを十分に享受したビジネスモデルであったが、ここへ来て、今回のエジプト、カンボジア等への投資のように、固定資産を取得し、FCを支える商品の安定供給を可能とする経営基盤の確立が経営課題となってきたといえよう。その意味で、神戸物産にとっても、経営戦略の転換の時期に入ったともいえる。

   このように、神戸物産は、これまでの、FCビジネスによる流動資産中心のビジネスモデルから、自ら土地、工場を建てるなど、商品の安定供給を目指す固定資産を重視したビジネスモデルへと展開しつつあり、新たな段階に入りつつあるといえよう。今後、エジプト、カンボジアの生産拠点がどこまで、中国の生産拠点をカバーし、2極、3極構造をつくり、リスクの分散と商品の安定供給体制をもたらすことができるか、神戸物産の今後の動向に注目といえよう。

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