2010年度、中間決算公表はじまる、丸和、減収減益!
食品スーパーマーケット業界、2010年度の中間決算の公表がいよいよはじまった。9/4に1月決算期企業の丸和が、第1号となり、いち早く、中間決算を公表した。今後、2010年度の中間決算公表予定は、1月期が9/9、マックスバリュ中部、9/14トーホー、9/18マックスバリュ北海道、同じく、9/19、2月期決算企業、第1号として、マックスバリュ東北、9/29、CFSコーポレーション、マックスバリュ西日本、そして、10月に入ると、10/1、セブン&アイH、10/2、オークワ、アオキスーパー、平和堂、10/5ベルク、カスミ、サンエー、10/6イオン、イオン北海道、イズミヤ、マックスバリュ東海、10/7、イズミ、丸久、天満屋ストア、10/8オオゼキ、イオン九州、マルヤ、10/9、ハローズ、ダイエー、マルエツ、北雄ラッキー、・・と続く。本ブログでは中間決算については、いち早く、財務3表の連環分析を実施し、その結果を解説してゆく予定である。
さて、9/4に公表された丸和の2010年度1月期の中間決算の結果であるが、残念ながら、厳しい結果となった。売上高188.47億円(95.6%)、営業利益-1.96億円、経常利益-3.36億円、当期純利益-4.09億円となり、減収減益、しかも、すべての段階で利益は赤字となる厳しい結果であった。この3/17に、広島のユアーズが丸和の株式66.62%を取得し、親会社となり、経営再建に取り組んでいる真っ只中であり、その成果が問われる決算でもあったが、まだ、結果が表れていないといえよう。ただし、通期予想は、売上高400.00億円(99.3%)、営業利益3.60億円(前期赤字)、経常利益1.70億円(前期赤字)、当期純利益3.60億円(前期赤字)であるので、赤字は脱却する予想であるが、依然として、厳しい経営が続くものといえよう。
丸和は、この9/4の中間決算の公表と同時に、業績予想の修正を公表し、今回の公表はその修正後であるが、それを見ると、当初予想よりも、売上高が-3.3%、営業利益が黒字から、赤字への転換であり、ここへ来て急激に数字が悪化したことがわかる。その要因を丸和は売上げについては、7月の集中豪雨の影響が大きく、利益に関しては、固定資産の減損損失の影響等が大きかったという。また、同じく、9/4にこのような厳しい経営環境の中、事業構造改革下の取り組みを公表しているが、それによると、「エリアドミナント戦略の見直しを軸として、付随する不動産賃貸借契約、光熱費等含めた固定費の総合的な検討を行い、店舗利益の極大化を目指して取組む方針」を、3ケ月を目途に取り組むとのことであり、9/4に開催された取締役会で決議したとのことである。
では、今回の丸和の営業利益が赤字となった要因を原価、経費面からみてみたい。まず、原価であるが、74.2%(昨年76.2%)となり、原価は下がっており、結果、売上総利益は25.8%(昨年23.8%)と2.0ポイントと大幅に上昇しており、原価の上昇は見られず、むしろ、原価は改善されている。一方、経費であるが、27.3%(昨年25.4%)と大きく上昇しており、原価とは対照的な結果となった。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、-1.5%(昨年-1.6%)と、昨年よりは若干プラスとなったが、依然として、マイナスのマーチャンダイジング力である。これに不動産収入等の当期純利益が1.0%(昨年0.9%)のり、営業利益が-0.5%(昨年-0.7%)と、マイナス幅はやや縮まったといえ、依然としてマイナスとなり、厳しい結果となった。特に、今期は、経費が予想以上に上昇したことが大きかったといえ、仮に、昨年並みに抑えられれば、営業利益が黒字に転じたといえるが、経費増が原価の改善をカバーできなかったことが、営業赤字となった要因といえよう。
これに対して、丸和の財務状況であるが、昨年の自己資本比率9.3%(株主資本と累計損失(-58.18億円)との差がほぼイコールとなる経営のぎりぎりの厳しい状況)からは、ユアーズの資本増強により、13.5%まで上昇し、やや改善した。ただ、自己資本比率13.5%は上場食品スーパーマーケットの中ではワースト5に入る厳しい状況であり、今後、一層の改善が必要といえる。また、有利子負債は121.12億円(前期決算時121.14億円)と、当期純利益が赤字になったり、営業キャッシュフローが厳しい状況にあり、その削減も進まず、総資産に占める割合は46.2%(前期決算時44.6%)と、若干増加している。今後、経営の最優先課題が、負債の削減となり、食品スーパーマーケット本来の成長戦略、出店へ原資を回すことが厳しい状況である。9/4の取締役会で決議した「店舗利益の極大化」により、原資を生み出すこと以上に、待ったなしでの資産の圧縮、さらなる資本の増加も経営課題となろう。
このように、ユアーズの子会社として、経営再建に取り組んでいる丸和であるが、この中間決算は減収減益、赤字決算となる厳しい結果となった。親会社ユアーズの資本増強により、自己資本比率はやや改善したが、累積損失は依然として大きく、有利子負債の削減も進んでおらず、今後、経営改革を一層加速させる必要があろう。今期は黒字予想、残り後半で経営状況が反転する予想ではあるが、消費環境はより厳しさを増しており、丸和としては、より、思い切ったリストラ案が必要といえ、後半、どのような経営改革を打ち出すかに注目したい。
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