消費者物価指数(CPI)、2009年7月度、-2.2%!
8/28、消費者物価指数(CPI)が総務省統計局から公表された。結果は、総合指数が昨年同月比で-2.2%となり、デフレ傾向が鮮明になった。8/29の日経新聞でも、「デフレ懸念じわり」、「日用品や衣料、下落品目広がる」という見出しで、記事が掲載されているが、昨年のインフレの反動もあり、デフレ傾向は当面続きそうである。日経新聞にはデフレの解説が掲載されているが、IMFなどでは、2年程度、物価の下落が続いている状況をデフレというとのことで、ここから判断すると、日本では、消費者物価指数がマイナスに転じたのは、ここ数ケ月であるので、現段階ではデフレではないという。ただ、デフレ基調であることは明らかであり、今後の動向が気になるところである。
消費者物価指数は3段階に分けて計算されており、1つ目が総合指数であり、前年同月比で-2.2%となった。2つ目が生鮮食品を除く総合指数であり、これも、前年同月比は-2.2%の下落となった。そして、3つ目が食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数であり、前年同月比は-0.9%の下落となった。したがって、ここからもわかるように、現在のデフレ基調は、食料とエネルギーの影響が大きいといえる。実際、その寄与度を見てみると、食料は生鮮食品が-0.18ポイント、光熱・水道が-0.61ポイントと大きいが、もうひとつ、実は、これ以上に大きい項目があり、交通・通信-1.06ポイントである。10大費目の中では、最大の落ち込みであり、しかも、寄与度が大きい。また、これ以外にも、教養娯楽も0.30ポイントと生鮮食品よりも大きく、この7月度のデフレ基調は、この4つ、交通・通信、光熱・水道、教養娯楽、そして、生鮮食品がその原因であるといえよう。
そこで、さらに、踏み込んで、この4つの項目の中で、特に、消費者物価が昨年同月比で下落した項目を見てみると、交通・通信では、何といっても自動車関係費が-11.7%と大きく下落している。その中でも自動車維持費が-14.7%と大きく、さらに、その中のガソリンの-30.5%が最大の落ち込みである。次に、光熱・水道であるが、-8.1%であり、その中でも、灯油が-43.4%と半値近い数字の落ち込みであり、ついで、電気代の-4.4%、都市ガス代の-4.1%と続く。3つ目の教養娯楽であるが、これは教養娯楽用耐久財が軒並み下落しており、パソコン(ノート型) -48.4%、パソコン(デスクトップ型)-39.0%、テレビ(薄型) TV sets (LCD)-30.6%、カメラ-30.6%、ビデオカメラ-24.1%、携帯オーディオ機器-23.5%、DVDレコーダー-22.8%、ステレオセット-15.8%と大きく下落しており、家電関連は厳しい価格競争となっている状況といえよう。
そして、4つ目の生鮮食品であるが、魚介類が-1.1%、その項目を見ると、たこ-13.7%、いか-11.0%、いわし-9.9%、さば-7.2%、あじ-4.5%、まぐろ-4.2%、ほたて貝-4.1%、えび-3.5%、たい-1.9%、かれい-1.4%、ぶり-1.2%である。主力の鮮魚が軒並み、下落している状況である。肉類はさらに下落しており、-2.1%である。その項目を見ると、牛肉B-9.8%、鶏肉-3.3%、牛肉A-1.9%と、特に、牛肉の下落が大きく、さらに、昨年は絶好調であった鶏肉が下落している。生鮮野菜、生鮮果物も-4.8%、-5.2%と下落しており生鮮3品すべての消費者物価が前年同月比を大きく割り込んでいる状況である。
その生鮮野菜の項目では、にんじん-18.4%、かんしょ-17.7%、はくさい-15.7%、れんこん-13.4%、キャベツ-13.1%、ピーマン-12.7%、えだまめ-12.0%、なす-12.0%、さといも-11.0%、アスパラガス-8.3%、レタス-8.0%、えのきだけ-7.7%、ごぼう-6.7%、ブロッコリー-6.1%、もやし-4.7%、生しいたけ-4.7%、しめじ-4.6%、かぼちゃ-4.5%、きゅうり-4.4%、さやいんげん-4.3%、ながいも-2.2%と、軒並み、しかも、大きく下落している。また、生鮮果物はレモン-21.6%、もも-8.9%、ぶどうA-8.5%、すいか-8.3%、グレープフルーツ-6.9%、りんごB-6.2%、ぶどうB-6.1%、キウイフルーツ-3.3%、さくらんぼ-2.7%、メロン-2.4%という状況である。こう見ると、食品の中では、生鮮3品の落ち込みが、この7月度はいかいに大きかったかがわかる。
総務省の公表データには、過去1年間の月別の折れ線グラフも掲載されているが、これを見ると、昨年の4月頃から10月までインフレ基調であり、10月がピークである。まさに、9.15のリーマンブラザーズショックまではインフレ基調、その後はデフレ基調、となっており、このデフレ基調は少なくともこの10月までは続き、しかも、加速傾向となることが予想される。したがって、あと3ケ月間はデフレ基調が強まるといえるが、その後は、グラフを見る限り、落ち着いてくるのではないかと予想される。ただ、昨年以上に、落ち込み幅が大きれば、デフレ基調が継続することも懸念され、ここ数ケ月の動向が、今後のデフレ基調を決めることになろう。その意味で、来月、再来月の消費者物価指数がどこまで下がるか、その動向に注目である。
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