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September 12, 2009

CRMデータのみの広告登場!

   日経MJには、様々な商品の広告が掲載されるが、9/11にも、ヤクルトの番爽麗茶の全面広告が掲載された。通常、この種の広告の場合は、何らかの検証データが提示され、その数字を根拠に、強く、消費者、小売業に訴えることが多いが、このヤクルトの全面広告では、その検証データに、CRMデータがメインで取り上げられた。しかも、対象は小売業への訴求であり、そのCRMデータを根拠の一つとして、棚割の提案、売場づくりへの提案も写真入りで、提示されており、CRMデータを全面に出した広告としては、かなり思い切った試みであるといえよう。

   現在、商品の検証には通常のPOSデータが活用されることがほとんどである。その背景には、CRMの研究開発は進んでいるが、小売業側に、CRMデータを検証する仕組みが十分でないことが大きいといえよう。通常のPOSデータは、小売業、特に、食品スーパーマーケットでは、ほぼ100%、自店で検証ができるため、メーカーが広告に、通常のPOSデータを検証結果として掲載した場合、そのデータが正しいか、正しくないかの判断を、自ら、追検証できるため、数字の客観性が確認できる。ところが、CRMデータの場合は、小売業側に自社で十分に分析できる体制がほとんど確立されていないために、自社での検証は難しいものがあり、広告に掲載されたCRMのデータの数字をそのまま受け入れることが難しいのが現状である。

   今回のヤクルトの広告では、番爽麗茶の小容量と大容量のユーザー、及び、両ユーザーの割合を数字と円グラフで示し、大容量のユーザーは51%、小容量のユーザーは35%、両ユーザーは14%、合計100%という検証結果を提示している。さらに、そのグラフの上に、アンケート調査結果として、番爽麗茶を飲むユーザーの91.8%が毎日飲むとの円グラフを掲げており、シンプルな数字の提示である。また、CRM特有の解説として、小容量はトライアルユーザーが多く、大容量はロイヤルユーザーが多いと付け加えており、まさに、CRMデータを全面に押し出した広告である。

   ここで、提示されたデータ、解説は、すべてCRMデータに基づくものであり、通常のPOSデータ分析からはけっして得られない数字であり、恐らく、ほとんどの食品スーパーマーケットでは、いずれのデータも検証することができない数字である。

   一見すると、大容量51%、小容量35%は売上構成比とどこが違うのかと思ってしまうかもしれないが、これは、IDの数を表しており、数字の算出過程が全く違う。売上は、売上金額=ID数×ID金額PI値と分解でき、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値と、落とし込むことができる。したがって、売上金額とID数とは正の相関関係にはならず、ID数が少なくても、ID金額PI値が高い場合もあり、逆に、ID数が多い場合でも、ID金額PI値が低い場合もあり、売上金額とID数とは正の相関というよりは、むしろ、逆相関となることすらあるといえる。一方、通常のPOS分析で可能な金額PI値は、客数を一定とした検証の結果は、売上げ構成比そのものを表しているといえ、直感的に理解しやすい数字である。

   その意味で、今回のCRMデータで最も大事な数字は、両ユーザー14%という数字であろう。この数字も、CRM特有の数字であり、これは、小容量と大容量との相関性は弱く、容量の違いが、客層の違いになっている可能性が高いことを表しており、双方の品揃えが必要であるという根拠を示す数字ともいえ、容易にイメージができるからである。また、今回、ヤクルトでは、新たに、中間の1000mlの中容量を新発売したということであるが、これは、1000mlが、小容量、大容量と違う新たな客層をつかむ可能性が高いという仮説の提示といえ、小容量、大容量と、ユーザーがどう重なるか、その結果、総ユーザーが拡大するのかが、今後の検証ポイントといえよう。

   今回、この広告の主要なテーマが、ロイヤルユーザーの囲い込みと新規トライアルユーザーの獲得を目指すということであるが、CRM分析を全面に出すのであれば、さらに、店舗のロイヤルユーザーの囲い込みと新規トライアルユーザーの獲得を目ざすための、検証データを示しても良かったのでは思う。ロイヤルユーザーはメーカーにとっては、その商品のヘビーユーザーであるが、食品スーパーマーケットにとっては、店舗に貢献度の高いユーザーのことであり、必ずしも、メーカーのロイヤルユーザーと重ならない面がある。番爽麗茶がどれだけ、店舗貢献度が高いか、すなわち、商品はもちろん、店舗のロイヤルユーザーをつかんでいるかを示せたら、より、この広告はCRMデータを駆使し、食品スーパーマーケットに強く訴えることができたように思う。

   このように、今回のヤクルトの番爽麗茶の日経MJでの全面広告は、CRMでの検証データをメインにした内容となっており、これまでの通常のPOSデータでの検証ではなく、非常に興味深い内容であり、新たなCRMデータの検証結果を広告に活かす可能性を示したものといえよう。CRMデータの検証は、まだまだ始まったばかりであり、特に、食品スーパーマーケット側ではこれから検証体制が構築される段階といえ、今後、有望な検証データとなってゆくものといえよう。今回の広告はその意味で、今後につながる試みであり、次の、第2弾に期待したいところである。

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