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September 29, 2009

日経MJで西武池袋店、ベニマルに学ぶ、を特集!

   9/28の日経MJで、西武池袋店の特集が組まれた。見出しは、「西武池袋、覚悟の船出」、「ベニマルに学ぶ新百貨店モデル、意識も改革、従業員にセブン流浸透」、「百貨店価格と決別、PB衣料、価格4割安く」である。記事を読むと、そごう・西武が、これまで否定的だったセブン&アイHグループとの連携強化に舵を切り、PB商品の開発などで新しい百貨店ビジネスモデルの構築を急ぐという内容である。

   そのさきがけとなったのが、ヨークベニマルによる食品売場の活性化支援であるという。記事の冒頭が、「サンマ一尾100円、・・」という書き出しではじまるが、西武池袋店の鮮魚売場が急激に変化し、従来の高級感中心の商品だけではなく、割安品を展開したり、魚とポン酢とのクロスマーチャンダイジングを実施したりと、食品スーパーマーケットの鮮魚のマーチャンダイジングが、西武百貨店の鮮魚売場のテナント、魚喜、魚耕でも実施されてはじめたという内容である。また、鮮魚売場だけでなく、生鮮食品全体も急激に食品スーパーマーケットのノウハウが導入され、変わりつつあるという。

   そのノウハウを伝授したのが、ヨークベニマルとイトーヨーカ堂であるという。特に、ヨークベニマルの貢献度は大きいとのことで、各テナントの店長自らヨークベニマルの店頭などで研修を積み、その成果を売場に活かしはじめたという。結果、生鮮売場全体の売上高は3月以降、前年同月比で1割以上伸びているとのことである。また、ヨークベニマルの大高社長が指揮をとっているPB、セブンプレミアムも、この8月には西武池袋店内に700品目を集めた本格的なコーナーができあがったという。

   これ以外にも、セブン&アイHのグループをあげて、来春にはグループ企業の「赤ちゃん本舗」やドラックストアの「アインズ&トルペ」等の専門店も西武池袋百貨店に入る予定であるという。特に、今回は約30年ぶりに300億円に上る改装に着手しており、内、200億円を来年秋までにつぎ込むとのことで、ソフトだけでなく、ハード面でも西武池袋店が新たなビジネスモデルづくりに挑戦するとのことである。

   また、衣料品でも新たなビジネスモデルづくりが始まっているとのことで、9/9に婦人衣料のPB、「リミテッドエディションbyアツロウタヤマ」を新規投入したという。鮮魚の「サンマ一尾100円、・・」の衣料版ともいえ、4,800円のデニムパンツ、5,800円のカットソー、6,300円のスカート、・・等、従来の百貨店の価格よりも約4割安い割安感があるという。すでに、目標の3倍の売上で推移しているとのことである。これだけの割安感を出せた背景には、原価を下げるために、中国の工場を活用したり、原料調達に踏み込んだり、完全買い取りに移行したりと、ユニクロ等のSPA的な手法が随所に取り入れられているという。

   このように、日経MJによれば、西武池袋店がセブン&アイHグループの総力を挙げて、脱百貨店の新たなビジネスモデルに取り組み始めたとのことであるが、ビジネスモデルを変えるには、売場、商品政策だけでなく、P/L、B/S構造の変革も伴うことが必要といえる。そこで、現状の西武百貨店、ヨークベニマル、そして、イトーヨーカ堂の財務構造を比較してみたい。2009年2月期本決算の数字を見ると、原価、西武76.7%、YB75.7%、IY74.4%であり、原価は極端な差がないといえる。結果、売上総利益は、西武23.3%、YB24.3%、IY25.6%となる。意外に、西武百貨店の売上総利益、粗利が最も低い数字である。

   ついで、経費であるが、西武22.3%、YB24.0%、IY26.7%であり、ここでも意外に西武百貨店の経費比率が最も低い数字である。ここから、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、西武1.0%、YB0.3%、IY-1.1%と、何と、イトーヨーカ堂のみマイナスであり、しかも、西武百貨店が最も高い数字となった。西武百貨店は粗利も低く、経費も低く、マーチャンダイジング構造は、この数字を見る限り、3業態の中では最も良い数字である。そして、営業利益であるが、これに、その他営業収入が加わるので、その他営業収入を見ると、西武1.5%、YB3.2%、IY1.8%となり、結果、営業利益は西武2.5%、YB3.5%、IY0.7%という数字である。マーチャンダイジング力では西武百貨店の方が良かったが、その他営業収入でヨークベニマルが抜き去り、結果、営業利益ではヨークベニマルが1.0%の差を付け、トップとなり、ついで、西武百貨店、イトーヨーカ堂となる。
 
   こう見ると、ことP/L構造では西武百貨店はヨークベニマル、イトーヨーカ堂と比べ、むしろ、優位性があるといえ、粗利が少し低いのが気になるが、それ以上に経費が低いため、利益もしっかり確保しており、その他営業収入がそのまま営業利益に加算され、利益も確保できているといえる。したがって、今回の西武池袋店のセブン&アイHグループをあげての新たなビジネスモデルづくりは、ことP/Lの観点から見る限りでは、売上高を引き上げ、原価を下げ、結果、粗利を引き上げることが目的といえ、現状の23.3%の西武百貨店の粗利をどこまで改善し、結果、営業利益2.5%をどこまで引き上げられるかにあるといえよう。なお、B/S構造に関しては、稿を改めて、取り上げてみたい。

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