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September 20, 2009

PI値を理解するためには?

   最近、PI値の基礎研修をする機会が多い。そこで、PI値を理解し、実践に活用する上で、重要なポイントをまとめてみたい。PI値には、数量PI値、金額PI値、客数PI値があり、状況に応じて、粗利PI値、経費PI値など、様々なPI値がある。さらに、最先端のPI値、ID-PI値、ID-金額PI値も開発され、ID-POS分析が可能な場合は、ID-PI値、ID金額PI値がもっぱら活用される。このように、PI値は様々な指標が開発されてきたが、すべてに共通しているのは、顧客1人当たりの指標という点である。PIがついた指標はすべて、顧客1人当たりの指標であり、分子が数量、金額、客数、粗利、経費と変わる点が大きく違うといえる。

   基本はこれだけであるが、ここ最近の研究により、ID-PI値、ID金額PI値が開発されたことにより、従来のPI値にも変化が表れてきた。最も、大きな変化は、分母の客数をより、細かくとらえることができるようになったことである。従来のPI値、数量PI値、金額PI値、客数PI値、粗利PI値、経費PI値等は原則、分母は総客数、すなわち、レジ通過客数=総レシート枚数が基本であった。したがって、分母に関しては、意識することなく、PI値を活用することが可能であった。

   ところが、ここ最近では、ID-POS分析へのPI値活用が進みはじめ、自然、ID-PI値、ID金額PI値が使われ、分母の客数がレシートだけでなく、IDも使うようになり、というよりも、IDがメインになり、分母の客数を改めて見なおす必要が生じた。しかも、IDとレシートの関係は、ID客数PI値で結ばれ、これまでのレシートの客数はIDの客数に包含される関係となった。したがって、改めて、従来のPI値も再定義が必要となり、IDという観点から、PI値そのものを再構築せざるをえなくなったのが現状である。

   そのPI値の再構築を迫られた転機となった数式が、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値の開発である。これは、ID金額PI値が売上÷IDを示し、ID客数PI値がレシート÷ID、金額PI値が売上÷レシートを示しており、右側はレシートが約分され、左側に一致するので、正しい数式であることがわかる。

   この数式が開発されたことにより、PI値を体系的、総合的にとらえることができるようになり、レシートのPI値、IDのPI値と分けて考えるのではなく、双方は一体であり、ID客数PI値により、関係づけることができるようになった。また、この数式が成り立つことにより、IDとレシートの一体感が維持されれば、自由に、ID、レシートを変換することができるようになり、従来のPI値も総レシートにこだわることなく、様々なレシート、すなわち、客数のPI値をつくることができるようになった。

   たとえば、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値の金額PI値のレシートを総レシートとした場合は、IDもそれに応じて、総IDとなり、左右は一致する。金額PI値のレシートを特定商品の購入レシートとした場合は、IDもそれに応じて、購入IDとなり、左右は一致することになる。これをレシートから見れば、レシート変換と呼び、IDから見れば、ID変換と呼び、レシート、IDが同じ数式を使いながら、次々と変換してゆき、ひとつの商品を様々な角度から捉え、その商品の消費実態を顧客面、ID、レシートから明らかにしてゆこうというのが、ここ最近のPI値理論の最先端の研究課題である。

   すでに、数式、フォーマットの開発は終え、一部、実践投入しているが、中々、おもしろい成果が表れ始めており、今後、次世代の新たなマーチャンダイジング戦略の根幹を占めることになるのではないかと思っている。

   したがって、PI値を理解するためには、どうも、この最先端のPI値を理解した方が早いのではないかと最近では考えるようになり、従来のPI値関連の基礎テキストも、現在、見直しをかけ、ここ最近の研修でも、少しづつではあるが、PI値の全体像を示し、最先端のPI値理論をもとに体系的な内容に差し替えはじめている。

   ただ、残念なことは、ID-POS分析が自由に使える環境が小売業側に整っているケースはまだまだ少なく、PI値の理論、解説が先に走ってしまい、たとえば、ID-PI値、ID金額PI値、ID客数PI値、あるいは、金額PI値のレシート変換の数字を実際に見ることができず、実際の研修の面では歯がゆいことが多い。それでも、PI値を体系的、総合的、そして、実践的に理解するには、従来の総客数(総レシート枚数)だけの単純なPI値だけの解説よりも、理解が早いのではないかと思い、ここ最近では、できるだけ、最新の研究成果も交えて、PI値の基礎研修を実施するようにしている。

   恐らく、3年ぐらいすれば、ID-POS分析はごく普通に、少なくとも、食品スーパーマーケット業界では使える環境が整うではないかと、期待を込めて願っている。その来たる日が来ることを目指し、いまの段階でも、少し早いかもしれないが、PI値の基礎研修に関しても、最先端の研究成果を組み込んだPI値の研修を実施しはじめている。どうも、その方が、多少の歯がゆさは残るが、現状のPI値を理解する上においても、早く、深く理解できるのではないかと、ここ最近の研修を通じて感じる。

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