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September 03, 2009

ユニバース、証券業界が注目!

   ユニバースの株価にここ最近注目が集まっている。9/2現在、1,490円(4円、0.26%)であるが、8/20以降、株価が急上昇、ここ数日は落ち着いているが、チャートは明らかに、右上に力強く上昇しており、2007年4月24日に付けた1,590円の上場来最高値に迫る勢いである。しかも、5日移動平均0.06%、25日移動平均5.82%、13週移動平均14.43%、そして、26週移動平均26.37%という数字が示す通り、中長期的にも上昇トレンドを示しており、投資家からも、ここ最近だけでなく、注目の株価となっている状況である。

   では、なぜ、8/20以降、ユニバースの株価が注目されているかであるが、8/20付けのブルームバーグによれば、野村証券が8/19付けで、「投資判断を「1(買い)」でカバー開始。目標株価は1,850円と、前日の終値(1,415円)を30%以上上回る水準だ。」とのことで、野村証券が買いを推奨したことにあるという。この記事の中では、さらに、野村証券の担当アナリストの皆川良造氏が、東北の厳しい消費環境下で、「新規出店する競合企業は少なく、実質的にユニバースのみが店舗数の純増を維持している」と指摘し、「北東北の食品スーパーで一人勝ちの状態」と、投資家向けのメモを出したとのことである。

   このことが契機となり、8/20以降、ユニバースの株が大商いとなり、株価が急上昇したという。再度、8/20前後のユニバースの株価と売買高を追ってみると、8/19(1,415円、9.7千株)、8/20(1,540 円、78.7千株)、8/21(1,548円、48.5千株)、8/22(1,479円、62.1千株)となり、その後、1,500円をうかがう動きが、現在まで続いている。特に、8/20は、通常の約10倍という大商いとなっており、株価も大きく値を上げているのがわかる。

   本ブログでも、8/21に公表されたユニバースの第1四半期決算の増収減益の状況を解説したが、まさに、その直前に野村証券が投資判断を買いにしており、8/21は若干株価は上昇したが、翌日の8/22の株価は下がっている。投資家は、かなり混乱したのではないかと思う。ただ、ブログでも解説したが、ユニバースの減益は前向きの減益であり、敢えて新規出店の前倒しをしての経費増である。実際、2010年度4月期の決算予想は増収増益であり、この時期に、減益を恐れず、前向きの投資ができること事態が、ユニバースの強さを示しているといえる。その意味で、野村証券の買い判断と、今後のユニバースが北東北の食品スーパーで一人勝ちという予想は順等といえよう。

   ここで改めて、ユニバースの東北の上場企業の中での位置づけを確認してみたい。すぐに東北で思い浮かぶ超優良食品スーパーマーケットはヨークベニマルであり、ヤマザワであると思うが、この3社を様々な角度から比較してみたい。まず、1店舗当たりの売上高であるが、3社の中では、ユニバースがNo.1であり、21.7憶円となる。ヨークベニマルは21.5憶円でわずかであるが、ユニバースを下回る。ただ、その他営業収入を加えた営業収益で見ると、ヨークベニマルが22.2億円と、ユニバースの21.7億円を上回るが、その差はわずかである。ちなみに、ヤマザワは売上高15.2億円であり、やや規模が小さくなる。したがって、北東北というよりも、東北でも、恐らく、全国的に見ても、ユニバースの売上高は1店舗当たり、食品スーパーマーケットではトップクラスといえる。

   また、マーチャンダイジング力、すなわち、売上総利益から経費を引いた利益は3.5%と、これも東北No.1であり、全上昇食品スーパーマーケット約50社の中でも、ベスト5に入る高い数値である。ちなみに、ヨークベニマルは0.3%、ヤマザワは2.4%である。この2点から、ユニバースの収益性は規模、質ともに高い数字であるといえ、これが、キャッシュフローへとつながってゆく。前期決算では、営業キャッシュフローが31.9憶円となり、マーチャンダイジング力が強いため、安定したキャッシュを生み出しているといえる。

   ユニバースの1店舗当たりの出店関連資産は5.4億円であるが、この安定した営業キャッシュフローが確保できれば、毎年、最大5店舗の新規出店が可能といえ、実際、前期決算では、20.5億円の出店関連への投資キャッシュフローを行っており、単純計算で4店舗程度の出店に関する資産への投資となる。また、出店余力、すなわち、純資産と出店にかかわる資産とのバランスを見ると、-5.1%とやや負債に依存する財務構造となっているが、自己資本比率は60.6%と高い。一方、有利子負債は32.71億円と総資産の8.9%であり、現預金が58.76億円と総資産の16.1%あり、実質無借金といえ、出店余力は-5.1%以上に高いといえよう。しかも、キャッシュフローの範囲内で安定した新規出店が可能な強固な財務基盤である。

   したがって、野村証券が8/19に出し北東北で見ると一人勝ちというよりも、東北で見ても、ユニバースは食品スーパーマーケットとしては、競争力、出店余力ともに抜群であり、上場食品スーパーマーケットの中でもトップクラスであるといえ、全国的に見ても勝ち組の食品スーパーマーケットといえよう。今後、ユニバースが、北東北から、北上するのか、南下するのか、あるいは、秋田方面へ西へ向かうのか、その出店戦略、さらには、M&A戦略に注目といえよう。

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