デジタルサイネージと食品スーパーマーケット!
チェーンストアエイジで昨年12月にデジタルサイネージの特集が組まれた。当時は見過ごしていた資料ではあるが、最近、よく、デジタルサイネージが話題になり、コンビニ、食品スーパーマーケットでも導入がはじまっており、改めて、この資料を読み直してみた。当時、わずか半年前と比べても、デジタルサイネージは着実に進化しており、恐らく、急激に、今後、食品スーパーマーケットではデジタルサイネージが拡大してゆくのではないかと思う。
この特集記事では、4つのケースを取り上げている。JR東日本、ヨドバシカメラ、エーエム・ピーエムジャパン、カスミである。さらに、海外事情として、ウォルマートの事例を取り上げており、特に、この中でも、カスミとウォルマートが食品スーパーマーケットにとっては、興味深いケースといえよう。
まず、カスミのケースであるが、まだ実験段階ということで、フードスクエアカスミつくばスタイル店1店舗のみのであるという。デジタルサイネージは、小売業側からだけでは、すべてのシステムを構築することは難しく、少なくともネットワーク関係の企業、広告代理店等が必要といえ、今回のカスミのケースでも、富士通とアサツーディ・ケイが全面フォローする体制で取り組まれているという。店内には入口に1台の大型ディスプレイ、各売場に13台(内レジに4台)のディスプレイが置かれ、ここが情報発信の場となっているという。カスミはすでに、毎週発行する情報誌、「ちゃーぶる」をもっており、今回のデジタルサイネージは、この「ちゃーぶる」とも連動しており、カスミ、独自の販促も可能であるという。1クルー10分弱の内容であり、「ちゃーぶる」の合間合間にメーカーの広告が流れるという。
カスミのこの実証実験を見る限り、まだ、大型ディスプレイ中心であり、棚そのものに小型ディスプレイを付け、まさに、メーカーと共同で販促を行うというところまではいっていないようであるが、今後、小売業がデジタルサイネージを活用してゆくには、POPの代替としての活用が大きなテーマとなろう。POPはまさに、Point of Purchaseの略であるように、顧客と商品との接点での販促を意味しており、現在、ここは紙ベースがほとんどであるが、これがデジタルに置き換わる、すなわち、デジタルサイネージ化することが、食品スーパーマーケットにとっては本命であるといえよう。
しかも、その背後に、POSデータ、特に、CRMデータがあり、そのデータとリアルタイムで連動し、次々に、販促内容が映像で切り替わってゆくことが課題となろう。通常の紙ベースのPOPでは十分に説明できなかった詳細な解説やメーカーの生産過程、産地の状況なども映像に流すことができ、まさに、販促に直結することになろう。特に、ワイン、チーズなど、初回購買が決め手になる商品、リピート購買の中から、さらに、付加価値の高い商品を推奨することなども、CRMデータから判断することができ、デジタルサイネージと連動することで、販促効果は高いと思う。
一方、ウォルマートのデジタルサイネージは次元の違う活用ともいえ、スケールメリットを生かした本格的なデジタルサイネージネットワーク、いわば、ウォルマートの放送局を作り上げるような活用である。その名前も、「ウォルマート・スマート・ネットワーク」というものであり、全米2,700店舗のウォルマートに27,000台のディスプレイを導入し、一大ネットワークを構築しようというもので、2010年第1四半期までに完了する予定であるという。すでに、10億円の投資をし、本格的な展開が始まっているという。
ディスプレイも入口は、「ウエルカムスクリーン」、各売場には「カテゴリースクリーン」、さらには、「エンドキャップスクリーン」をエンドに設置し、商品ごとに週次、日次のほか、店舗ごとに検証が可能であるといい、広告効果の測定が可能な仕組みを目指しているという。ここまで来ると、もはや、放送局と広告代理店とが一体となったデジタルサイネージの仕組みともいえ、実際、10秒間の広告を2週間、2,500店舗に流した場合の広告料金が10万ドルという相場もできつつあるという。現在、ウォルマートの客数は週1億4,000万人という数字であるといい、確かに、これをデジタルサイネージでネットワーク化すれば、十分な広告効果が生まれるといえよう。
こう見ると、デジタルサイネージは、食品スーパーマーケットにとっては、自社の売場の活性化につなげる方向と、ウォルマートのように、ネットワーク化をはかり、マスメディアと同等のパワーを作りあげ、メーカーに広告料を促す方向があるといえる。日本ではウォルマートのような店舗数をもっている小売業がなく、まずは、自社の活性化に活用する方向からデジタルサイネージが広がり、ある一定の段階にいたった時、これらのデジタルサイネージがネットワーク化され、そこに、巨大な広告市場が生まれるような流れになるのではないかと思う。いずれにせよ、今後、デジタルサイネージは食品スーパーマーケットにとっては、新たな販促手段として、まずは、広まってゆくのではないかと思う。
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