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September 09, 2009

品揃えをどう評価するか?

   これまで、品揃えの数字評価は、POSから上がってくるデータをもとに、様々な分析を行い、その結果をもとになされてきた。基本はABC分析であり、売れ筋をA、死に筋をCとし、A商品を強化し、C商品をカットし、新商品と入れ替えることによって、結果、品揃えが改善されるという考え方が基本にあった。ただ、売れ筋、死に筋を数量で見るか、金額で見るかは長い間、論争が繰り広げられ、中々、決着がつかず、多くの場合、両方を見比べながら、バランスをとるという形で、売れ筋、死に筋を判断してきたといえる。

   その後、PI値分析が普及しはじめてからは、売れ筋、死に筋を金額PI値で判断し、さらに、その中身をPI値(数量)と平均単価、双方から判断するようになり、売れ筋の中にも、PI値の高い商品、平均単価の高い商品、PI値、平均単価、双方が高い商品を区別するようになった。同様に、死に筋も、PI値が低い商品、平均単価が低い商品、PI値、平均単価双方が低い商品を区別し、この死に筋の中でも、PI値、平均単価双方が低い商品を、品揃えの優先度が低いと判断し、カット対象とし、新商品と入れ替えるという流れができあがった。

   従来の売上金額、売上数量だけでは、単純な判断しかできなかった売れ筋、死に筋も、PI値分析ができるようになってからは、少し、顧客の購買実態に踏み込むことができ、品揃えを以前よりは、深く考えることができるようになったといえよう。ただ、どちらも、基本は2元論の域を出ず、高いか低いかを1次元で見るか、2次元で見るかの違いであり、2次元で見た方がやや深く、高いか低いかを判断できるというにすぎない。

   本来、品揃えは、売れ筋、死に筋という2元論的な捉え方ではなく、必要か必要でないかという観点が先にあるはずであり、この点を最優先に考えて品揃えを決めるべきであるといえる。ところが、現状のPOSからは、必要であるか、必要ないかの判断に足るデータはあがってこないため、極論すれば、売れ筋は必要、死に筋は必要ないと同義語となり、品揃えの基準が本来の必要、必要ないから、売れ筋、死に筋に置き換わってしまっているのが現状であるといえる。

   よく、コンビニなどでは経験することであるが、いつも、いきつけのコンビニで買っていた商品が突然なくなってしまうということが起こる。これは、まさに、売れ筋、死に筋のことであり、自分にとっては売れ筋でも、コンビニにとっては死に筋であると判断され、カットされてしまうケースである。A商品を残し、C商品をカットすれば、C商品をよく買っていた顧客のA商品は当然カットされてしまう。この背景には、A商品は売れ筋であり、誰でもが買う商品であり、誰でも必要な商品であるという暗黙の了解があり、同様に、C商品は誰も買わない商品であり、必要ない商品であるという無意識の認識があるからであろう。

   ここ最近、CRM分析に取り組むようになって、どうも、この暗黙の了解、無意識の認識がおかしいのではないかと思うようになった。すでに、約20年に渡って、PI値分析をあらゆる商品で行ってきたが、金額PI値の高いもの、すなわち、A商品である売れ筋を強化しても、売上げが上がらない商品群が厳然としてあり、しかも、A商品を強化して売上が上がった商品群でも、ある段階に来ると、限界が訪れ、そこから先にゆくには、C商品を強化することが決め手となる場合が多々発生している。

   ところが、C商品の評価は従来の売れ筋、死に筋論では歯がたたず、全く、別の角度、次元の違う分析が必要といえ、どうも、その決め手として、CRM分析が有力な手法であることが、わかってきた。CRM分析には様々な方法があるが、品揃えを評価する方法としては、相関分析、ID金額PI値分析が有効である。

   いくつか事例を上げると、たとえば、牛乳の売れ筋は1,000mlであるが、500ml、200mlの品揃えは必要か必要でないか、また、同じ1,000mlの中でも、ABCがあり、C商品の品揃えは必要か必要でないかをどう判断するかである。この時、同じメーカーの同じ牛乳の1,000ml、500ml、200mlの相関分析をしてみると、当然、価格は大容量がお買い得であり、小容量が高めであるが、CRM分析で相関関係を見ると、あまり高い相関関係がないことが多い。それぞれが、独自の顧客を獲得し、相互交流があまり起こっていないことが見られる。このようなことが明らかになれば、いずれも、しっかり品揃えすべきであることが明らかになる。また、同じ、1,000mlのAとC商品のID金額PI値分析を試みると、C商品の方がA商品よりもID金額PI値の高い商品、すなわち、優良顧客がしっかり購入している商品がたくさん見つかる。これを果たしてC商品というのか、ID金額PI値で見れば、むしろ、A商品と定義でき、これまでのAとCが逆転する商品が見つかる場合が多い。

   このように、品揃えとは、本来、商品の単純な売上金額だけで判断できない要素が厳然として存在しているといえ、CRM分析は、これまでの分析では見えなかった判断基準を新たに提示する分析手法であり、特に、品揃えの評価には、必須の分析手法といえよう。CRM分析はまだ始まったばかりともいえるが、まずは、品揃えの再評価に活用してゆくところから入ると、実践的で、わかりやすく、また、効果も期待できるのではと思う。

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