家計調査データ、2009年8月度、消費横ばい!
家計調査の最新データ、2009年8月度が総務省統計局から10/2公表された。現在は、すでに10月に入っているが、家計調査データは集計後1ケ月後に公表されるため、現時点の最新データは8月度である。その結果であるが、全体の消費支出は1世帯1日当たり9,386.19円(昨対99.9%)であり、ほぼ、昨年と同じ消費金額であった。この内、外食を除く食品は2,065.90円(99.6%)と、全体より若干昨対が下回ったが、ほぼ、昨年並みの消費金額となった。節約志向による消費環境が厳しくなっている状況ではあるが、全体の数字は食品も含めて、この8月度は、ほぼ、昨年並みの消費金額であったといえよう。
ただ、個々に見ると、数字は大分違い、消費金額が上昇した部門と、大きく落ち込んだ部門もある。最も大きく上昇した部門は住居559.19円(113.5%)であり、2桁の上昇である。その中身を見ると、外壁・塀等工事費76.61円(445.6%)が異常値であり、ついで、植木・庭手入れ代12.74円(274.3%)、火災保険料34.68円(165.6%)と、これらを合わせた工事その他のサービスが175.84円(129.0%)と、大きく伸びたことがその要因である。これ以外にも、公営家賃47.13円(122.9%)、給与住宅家賃25.84円(120.3%)と家賃関係も上昇したことが大きく、住居全体をこれらの消費が押し上げた状況である。
これに対して、消費金額が下がった部門であるが、被服及び履物が304.94円(89.7%)と、2桁下がった。天候不順の影響が大きく、特に、昨年は猛暑であったため、その反動も大きかったといえよう。その中身であるが、金額はさほど大きくはないが、和服が12.45円(49.2%)と半分となり、厳しい状況である。これは天候よりも、節約志向の表れといえ、特に、婦人用着物は9.19円(42.0%)と、大きく落ち込んだ。洋服も98.35円(90.2%)と、約10%落ち込んでおり、特に、男子用洋服が23.84円(79.1%)と、婦人用洋服の60.26円(94.6%)と比べ落ち込みが大きい。また、履物類は44.13円(100.0%)と健闘しており、やはり、衣料品の落ち込みが大きかったといえよう。
さて、食品であるが、先に見たように食品は2,065.90円(99.6%)と、消費額はほぼ昨年並みの水準であった。ただ、個々に見ると、野菜・海藻268.61円(104.5%)、穀類218.26円(102.3%)が好調であり、酒類128.42円(93.4%)、果物127.55円(95.9%)、肉類211.87円(96.9%)が不調であった。これ以外の部門は、魚介類221.16円(99.8%)、乳卵類108.06円(101.1%)、油脂・調味料107.16円(101.0%)、調理食品(惣菜)279.19円(97.8%)、飲料148.65円(98.5%)という状況であり、昨対100%前後で推移している。
そこで、まず、伸びた野菜・海藻、穀類について、その要因を見てみたい。野菜・海草を大分類で見ると、生鮮野菜172.81円(107.9%)、乾物・海藻23.77円(101.4%)であるので、生鮮野菜がこの8月度は良く伸びている。その中分類を見ると、葉茎菜46.48円(107.1%)、根菜41.81円(107.0%)、他の野菜84.52円(108.8%)と、満遍なく伸びており、野菜全体が好調であったといえよう。特に、110%以上伸びた野菜であるが、ばれいしょ5.71円(133.1%)、たまねぎ7.35円(125.3%)、キャベツ6.61円(117.1%)、もやし2.97円(116.5%)、にんじん6.00円(115.5%)、きゅうり10.23円(115.3%)、トマト19.29円(114.8%)、なす8.52円(110.5%)、さやまめ10.65円(110.0%)である。
ついで、伸びた部門、穀類であるが、何といっても、小麦粉1.90円(115.7%)の値上げによる上昇が大きく、その関連で、スパゲッティ4.10円(108.5%)、カップめん8.39円(105.3%)と、消費額が上昇している。また、パン76.26円(102.9%)、食パン23.03円(101.9%)も微増ではあるが上昇している。これ以外では、穀類最大の金額である米 78.03円(108.9%)が伸びており、この貢献も大きいといえよう。
一方、消費額が下がった部門であるが、酒類では、何といっても昨年の猛暑の影響が大きく、酒最大の消費金額のビールが53.58円(85.2%)となった。また、発泡酒も18.42円(90.1%)と大きく落ち込んだ。果物では、もも16.71円(81.7%)、みかん3.90円(81.8%)、ぶどう21.90円(89.5%)が80%台と厳しい結果となった。ただ、なし21.35円(112.4%)、バナナ13.29円(107.0%)、キウイフルーツ3.16円(122.5%)は好調であったが、全体を押し上げるまでにはいかなかった。そして、肉類であるが、牛肉は59.94円(100.5%)と、堅調な数字であったが、豚肉64.45円(94.3%)、鶏肉29.42 円(96.9%)、合いびき肉5.32円(94.8%)と伸び悩んだ。さらに、加工肉のハム15.35円(92.6%)、ベーコン5.90円(95.8%)も伸び悩み、肉類は牛肉以外、全体的に厳しい消費額となった。
また、昨年の猛暑の影響で飲料の落ち込みも懸念されたが、飲料全体は98.5%と大きく落ち込むことはなかったが、これも個々に見ると、ミネラルウォーター7.87円(95.3%)、乳飲料3.77円(95.1%)、果実・野菜ジュース31.06円(96.4%)、コーヒー10.71円(95.4%)、緑茶9.16円(92.8%)等は厳しい数字であった。逆に、健闘したのはコーヒー飲料13.97円(103.8%)、炭酸飲料12.23円(106.5)であり、この2つが他の飲料の落ち込みをカバーしたといえよう。
このように、この8月度の家計調査データは、全体としてはほぼ昨年並みの消費状況であり、消費者物価指数(CPI)が明らかにデフレ傾向を示す中、家計の消費は、特に食品は意外に堅調であるといえよう。この8月度の数字を見ても、消費額が下がった酒類、果物等も消費環境の悪化というよりも、昨年の猛暑の影響の方が強く出ているといえる。ただ、野菜、穀類等が伸びたのは、節約志向による内食回帰の流れが表れた結果ともとれ、不況を反映した消費傾向ともいえよう。9月以降、今年後半にかけて、どのように消費傾向が変わるか、注意深くその動向を見てゆく必要があろう。
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