野菜、大田市場、2009年8月までの結果を見る!
東京都中央卸売市場では様々な市場取引データを公開している。その中のひとつに市場統計情報があり、日報、月報、年報があり、さらに週報もある。それぞれ、青果、水産、花木、食肉に分かれている。いずれも、食品スーパーマーケットに直接関係する貴重な統計資料であり、現在の相場を知る上で参考になる。そこで、ここでは、この中から、青果の野菜について、ここ最近の動向を見てみたい。最新のデータは月別では8月度であるので、2009年1月から8月までの8ケ月間の流れを、大田市場で見てみる。
データは、野菜各項目の数量、金額、平均単価の3つの情報である。まず、8ケ月間の合計金額であるが、234,192,481,091円であり、桁を入れると、2,341億9,248万1,091円となり、大田市場では、野菜が8ケ月間合計で2,300億円強の取引があったことがわかる。したがって単純平均では月約300億円の取引となる。月別で見ると8月と4月が最も多く約311億円であり、2月が最も少なく約250億円である。これを数量で見ると、1,030,535,969kgであり、これも桁を入れると、10億3,053万5,969kgとなり、約10万トンとなる。ここから平均価格を計算すると227円/kgとなり、1gに換算すると、0.227円/gとなる。野菜は大田市場では今年、kg当たり227円で取引され、約10万トンの取り引きがなされ、結果、約2,300億円の売上高であったということになる。
では、この野菜の中で、最も金額の大きかった野菜は何であるかを見てみたい。東京中央卸売市場では野菜を143種類に分けて管理しているが、この143種類のNo.1の金額となったのは、トマトである。金額190億5,975万9,811円であり、数量で5,585万588kgであり、平均価格は341円/kgである。No.2がきゅうりの149億7,940万7,140円であり、No.3がキャベツの118億9,081万5,488円、No.4がねぎの92億7,921万0,576円、そして、No.5がレタスの85億9,154万1,723円であるので、トマトが断トツの数字であることがわかる。この数字の中には食品スーパーマーケットも八百屋も、飲食店等もあり、必ずしも、食品スーパーマーケットだけではないが、食品スーパーマーケットの金額PI値の高い野菜とほぼ一致しており、トマトがいかに野菜の中でウェートが高いかがわかる。ちなみに、トマトの構成比は野菜全体の8%強となり、この5品合計で27.2%、約30%近い数字となる。
同様に、これを数量ベースで見てみると、No.1はキャベツであり、1億2,729万3,149kg、No.2はたまねぎの8,499万2,370kg、No.3はだいこんの8,357万6,019kg、No.4ははくさいの6,085万532kg、そして、No.5はにんじんの5,672万1,698kgである。この5品合計で全体の40.1%、約40%であり、ベスト5がいかに取引量が多いかがわかる。逆に、最も取引量が少ないものは、季節性も多分にあるが、だいだいの1,036kg、ほしだいこんの3,366kg、くわいの5,457kg、干ししいたけの1万578kg、そして、ゆりねの1万9,132kgである。
そこで、次に、金額を数量で割った平均価格を見てみると、No.1はめ類であり、9,835円/kgである。これは様々な野菜関連の芽といえ、珍しい野菜もあり、異常値となったと思われる。No.2はわさびであり、3,841円/kgである。1月が最も高く4,673円/kgであり、6月が最も低く、3,207円/kgである。No.3はまつたけの3,649円/kgである。わさびとわずかな差であるが、季節性が激しく、出始めの5月は取引量もわずかであり、93,177円/kgと異常値である。6月には17,844円/kgまで下がり、7月には4,890円/kgと、ほぼ8ケ月平均に近い数字となる。No.4はたらの芽の3,148円/kg、そして、No.5はほじその2,430円/kgとなる。いずれも、全体平均227円の10倍近い数字であり、全体の中で最も価値の高い野菜といえよう。ちなみに金額ベスト5の野菜の平均価格は、トマトが341円/kg、きゅうりが268円/kg、きゃべつが93円/kg、ねぎが255円/kg、そして、レタスが161円/kgである。特にきゃべつは全143種類の野菜の中で141番目の平均価格であり、数量はNo.1と、量で金額を引き上げていることがわかる。
最後に、今後の相場動向であるが、この8ケ月平均と直近の8月の平均価格が大きく上昇しているものを見ると、ほうれんそう151.9%、たまねぎ142.0%、こねぎ136.2%、だいこん134.9%、男爵131.5%、はくさい128.2%、かぼちゃ122.7%、レタス121.1%、ねぎ120.8%、にんじん120.5%である。これらが売上金額ベスト30品の中の120%以上、8月度が上昇した野菜であり、今後相場が高めに動く可能性が高いといえよう。逆に、90%以下となった野菜は、みょうが71.9%、ピーマン73.0%、ながなす73.2%、アスパラガス77.1%、しめじ84.9%、なす86.6%、いんげん87.0%、根しょうが88.4%、なましいたけ89.1%である。これらは比較的低目の安定した価格となりそうである。
このように東京中央卸売市場の野菜に限っての今年の月別の取引データを見てみたが、この数字は過去平成21年から平成14年まで8年間さかもどって、大田市場だけでなく、築地、淀橋、世田谷等、月別に算出することが可能である。特に、今回見たように、平均価格を月別に見ることにより、相場動向も推し測ることができ、1年間の数量の推移を追ってゆけば、旬の把握も可能となり、販促への応用もできるといえよう。食品スーパーマーケットとしては、家計調査データ同様、貴重な生鮮食品の動向をつかむ上で、マーチャンダイジングの参考にしたいところである。
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