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October 23, 2009

売上げ速報、コンビニ2009年9月度、97.1%、厳しい!

   コンビニ、11社、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの売上速報が、(社)日本フランチャイズチェーン協会から10/20、16:00に公表された。全体42,487店舗の結果は97.1%、既存店は94.4%となる厳しい結果となった。これで、全体は7月以降、既存店は6月以降売上げが昨対を割っており、コンビニ業界の厳しい売上げ状況が鮮明になった。

   ただ、一昨年と比べると、7月全体108.3%(既存店108.6%)、8月全体104.3%(既存店104.5%)、9月全体105.8%(既存店105.6%)と、堅調な伸びを示している。昨年が7月全体114.0%(既存店111.7%)、8月全体107.5%(既存店105.3%)、9月全体108.9%(全体106.6%)という状況であるので、昨年が明らかに異常値であり、今期は正常な堅調な伸びに落ち着いたと見ることもできる。もちろん、この異常値はtaspo効果によるものであり、昨年の5月以降、客単価はほぼ横ばいであったが、既存店の客数が急激に伸び始め、まさに、この4月まで、ちょうど12ケ月続いていることからも明らかである。

   ただ、気になる数字もある。全体の傾向は確かに、このtaspoで説明できるが、客単価の落ち込みが客数以上に大きいことである。特に既存店の客単価の数字を見ると、5月98.5(昨年100.6%)、6月95.2%(昨年101.9%)、7月96.9%(昨年99.0%)、8月96.2%(昨年101.5%)、そして、9月97.0%(昨年100.5%)という状況である。こう見ても、taspo効果は既存店の客数へ効いており、客単価への貢献はあまりなかったといえるが、今年、特に、ここ数ケ月は、既存店の客単価が落ち込んでおり、これは、taspo効果以外の影響があったと考えられよう。

   そこで、少し、細かく、各部門の状況を見てみると、taspoに最も関係するたばこを含む非食品部門の数字を見ると、7月101.8%(昨年133.0%)、8月99.0%(昨年127.7%)、9月98.6%(昨年124.9%)と、昨年と比べると落ち幅は大きいが、昨対はぎりぎりである。これに対して、日配は、7月94.6%(昨年104.5%)、8月95.4%(昨年101.9%)、9月95.7%(昨年102.3%)と、昨対を大きく割っており、日配が伸び悩んでいることが鮮明である。昨年、この時期は既存店の客数が7月は110%以上、8月、9月は105%前後で伸びているにも関わらず、日配は伸び悩んでおり、taspo効果の恩恵は小さかったといえる。したがって、日配はtaspoにあまり影響を受けない部門といえ、今年も堅調な売上げがあっても良かったと思われるが、明らかに、下がりすぎており、気になる兆候である。

   コンビニの日配は、ファストフードが主力であり、米飯、パン、調理パン、惣菜、漬物等で構成されるが、このファストフード関係が厳しかったものと思われる。恐らくこれは、ここ最近の食品スーパーマーケットの惣菜、特にコンビニの主力の弁当、おにぎり等の低価格戦略等の影響もあると思われる。さらに、日配ほどではないが、加工食品も、7月88.2%(昨年109.9%)、8月96.6%(昨年98.1%)、9月96.5%(昨年102.1%)と、昨年の7月は猛暑であり異常値であるが、8月、9月は日配よりは落ち込みは小さいが、これは、ここ数ケ月の天候不順による主力の飲料部門の不振が続いているためといえよう。こう見ると、taspo効果の影響もさることながら、日配の落ち込みは気になるところであり、コンビニの主力、ファストフードをかかえる部門だけに、今後、どの辺で落ち着くかがしばらくは推移を見守る必要があろう。

   こう見ると、今後、コンビニが売上げを確保するのは、特に、既存店商品の活性化だけでは、かなり厳しい状況に入ったといえよう。今後は、まだ、売上構成比が3.9%であるが、サービス部門の充実を図ってゆくか、医薬品等の新たな分野へ商品領域を拡大してゆく等が考えられるが、なかなか、決め手が見えず、この9月度の数字を見ても、いずれも効果がまだ見えない状況といえよう。

   ちなみに、コンビニ各社のここ最近の株価の動向であるが、セブンイレブンは、セブン&アイHの傘下であり、個別にはわからないが、ローソンは4,000円前後で横ばいであるが、8月以降株価は下がり気味で推移し、2,600円強である。サークルKサンクスは9月までは1,500円前後で推移していたが、その後株価は急落、現在1,250円前後である。そして、ミニストトップもほぼ同様な動きであり、9月までは1,550円前後で推移していたが、現在1,250円強で推移しており、厳しい状況である。ローソン以外は、ほぼ株価は大きく下がっており、投資家もコンビニの動向には厳しい目を向けているといえよう。

   このように、この9月度のコンビニの売上げは全体が97.1%、既存店は94.4%とさらに落ち込みが大きく、厳しい状況である。昨年のtaspo効果の影響ももちろん考えられるが、それ以上に、taspoの恩恵が小さかった日配、加工食品の落ち込みが売上げ減に影響しており、コンビニを取り巻く消費環境、他業種、特に、食品スーパーマーケット、ドラックストア等との競合状況が、より厳しさを増した結果ともいえよう。今後、さらに、これら経営環境は厳しい状況が予想され、コンビニ各社が、どのような対策を打ち出すか、注目である。

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