ハローズ、2010年中間、増収減益、原価、経費上昇!
ハローズが、9/25、2010年2月期の中間決算を公表した。売上高344.10億円(110.2%)、営業利益10.25億円(91.0%:売上対比2.98%)、経常利益9.91億円(86.8%:売上対比2.88%)、当期純利益5.51億円(86.7%:売上対比1.60%)となり、2桁の増収とはなったが、いずれの利益も減益となる厳しい決算となった。その要因をハローズは、「消費者の低価格志向の強まりによる価格競争の激化に加え、業態・業種を超えた競争も激しさを増しており、販売面のみならず収益面でも厳しい経営環境となり、・・」とコメントしており、価格競争が激化している影響が大きいとのことである。
ハローズも、この価格競争に対し、「特にプライベートブランド商品の「ハローズセレクション」の開発を引き続き進め、売上高構成比は前事業年度末の6.7%から1.0ポイント上昇し7.7%となり、・・」と、低価格訴求ができるPB商品を強化している。さらに、生活防衛企画商品として、「低価格そのまんま宣言」、「くらしらくらく宣言」、「うれしい値」などを1,200品目から1,480品目へ増やしており、一段とディスカウント戦略を強化しており、売上げへの貢献はあったと思われるが、逆に、利益への圧迫が大きかったともいえよう。
実際、この中間決算の原価(粗利)、経費を見てみると、原価は77.08%(昨年76.89%)となり、0.19%上昇している。結果、売上総利益(粗利)は、22.92%(昨年23.11%)と、減少しており、粗利が激しい価格競争の結果、思うように確保できなかったといえよう。一方、経費の方であるが、22.63%(昨年22.00%)と、経費も上昇気味で推移した。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、0.29%(昨年1.11%)と、原価、経費がダブルで上昇した分、厳しい結果となった。これに不動産収入等のその他営業収入が2.69%(昨年2.69%)のり、営業利益は2.98%(昨年3.80%)と、減益となった。
ハローズのここ数ケ月の売上速報を見ると、8月度109.8%(既存店96.8%)、7月度107.0%(既存店94.2%)、6月度108.0%(既存店95.1%)、5月度115.4%(既存店101.0%)、4月度111.5%(既存店99.0%)、3月度110.3%(既存店97.5%)と、既存店が厳しい状況で推移しており、相対的に固定費が上昇し、経費を圧迫していると思われ、結果、経費が上昇したものと思われる。これに加え、特に、この夏の天候不順、消費環境の悪化による低価格競争の激化が粗利を圧迫したと思われ、ダブルでの利益の減少になったといえよう。ハローズに限らず、これまで公表された食品スーパーマーケットの結果を見ても、増収減益の中間決算が多く、ここへ来て、食品スーパーマーケット業界も、原価、経費双方の上昇圧力が強く、利益を確保するのが難しくなってきた状況といえよう。
これを受けて、ハローズのキャッシュフローであるが、営業キャッシュフローが、通常ではあまり見られない-8.54億円とマイナスとなった。これは、営業キャッシュフローの大本である当期純利益と減価償却費が昨年の15.16億円から10.40億円と約5億円減ったこともあるが、それ以上に、昨年が金融機関の定休日と中間決算が重なり、仕入れ債務が増加し、今年は、逆に仕入れ債務が、減少し、-21.53億円となったことが大きい。これは、B/Sでは負債の買掛金、流動負債の減少となり、実際、昨年の61.81億円が40.28億円と減っており、その差、-21.53億円となった。したがって、営業キャッシュフローがマイナスとなり、現金が足りず、投資キャッシュフローの-25.91億円を財務キャッシュフローと現預金で賄わざるを得なくなり、財務キャッシュフローで長期借入を53.78億円借入、さらに、現預金を4.70億円取り崩す結果となった。本来であれば、自己資本比率が33.7%(昨年33.9%)と、負債に大きく依存する財務構造であるため、有利子負債を増加させたくなかったところであるが、この中間期は104.51億円(昨年72.77億円)と、大幅に増加しており、総資産に占める割合は34.29%とかなり重い負担となり、経営を圧迫している状況である。
ハローズは先に売上速報を見たとおり、既存店は厳しい状況にあるが、全体は2桁に近い数字で好調に推移している。これは、新店を積極的に出店しているためであり、この投資キャッシュフローを見ても、25.15億円(昨年21.72億円)の出店関連の資産を取得しており、積極的な新規出店への投資を継続している。ただ、自己資本比率33.7%では、現在の出店関連の資産194.84億円、総資産の63.60%を賄えず、負債、有利子負債に大きく依存する出店構造となっている。今後、キャッシュフローの増加が見込みにくい状況では、新規出店が経営に重くのしかかるともいえ、まずは、収益改善によるキャッシュフローの増大が当面の最優先の経営課題といえよう。
このようにハローズの2010年2月期の中間決算は増収減益となり、特に、今年は昨年の金融機関の休日との関係もあり、キャッシュフローが回らず、自己資本比率が厳しい中、新たに借入をせざるをえない状況となり、経営を圧迫しつつある。ただ、通期予想は売上高710.00億円(112.7%)、営業利益 22.80億円(109.6%)、経常利益21.80億円(105.3%)、当期純利益12.00億円(105.3%)と堅調な増収増益予想を崩してはいない。したがって、今後、後半、収益改善のための思い切った対策が打ち出されるものと思われ、ハローズの当面の動向に注目である。
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