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October 13, 2009

イオン、2010年2月期中間、減収減益、小売事業激減!

   イオンが10/6、2010年2月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益2兆5,266.81 億円(96.9%)、営業利益354.97億円(60.5%:営業収益比1.40%)、経常利益320.77億円(53.7%:営業収益比1.26%)、当期純利益-146.81億円(前期-160.14億円)と、減収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。当期純利益の赤字は前期に続いてであり、イオンの業績が悪化しており、厳しい状況である。特に、営業収益の約70%の構成比となる総合小売業が営業収益97.1%、営業利益わずか6.9%という状況であり、小売事業全体の利益が激減していることが大きく響いたといえよう。

   総合小売業はGMS、SM、コンビニ等からなるイオングループの中核の事業であるが、GMSグループの営業収益は92.4%、営業利益-49.15億円、経常利益-53.50億円、当期純利益-130.49億円という状況であり、赤字の大半がこのGMSグループにあり、GMSは待ったなしのリストラが避けて通れない状況といえよう。また、食品スーパーマーケットも、すでに本ブログでも取り上げたが、厳しい状況であり、増収とはなったが、減益となり、利益面が厳しい状況である。さらに、全体の営業収益の約10%の構成比の専門店も減収減益、当期純利益は-67.51億円の赤字となり、GMSと並び、厳しい状況となった。イオンのこれ以外の事業では、デベロッパー事業とサービス事業があるが、デベロッパー事業は唯一好調、増収増益となったが、営業収益の構成比が2.6%であり、全体を押し上げるまでにはいかなかった。また、構成比約15%のサービス事業であるが、増収減益となり、利益面で厳しい結果となった。

   ちなみに、イオングループ全体の店舗数であるが、GMS 606店舗、SM 1,250店舗、DS 48店舗、HC 127店舗、SuC 33店舗、デパートメントストア1店舗、コンビニ3,383店舗、専門店 4,480店舗、その他129店舗、金融385店舗、外食491店舗、サービス1,121店舗、合計12,054店舗である。

   今回、イオンが2期連続で赤字になった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、72.3%(昨年71.5%)となり、原価の上昇が見られ、結果、売上総利益は27.7%(昨年28.5%)と、粗利が下がっている。本来であれば、トップバリュを強化し、トップバリュの今期売上がグループ全体で3,687億円(126.2%)、イオンリテールにおいては、全体の12.4%にまで構成比が上がっているので、原価改善が図れても良い状況であるが、それ以上にNBの値下げ圧力が大きく、原価の改善につながらなかったものと思われる。

   一方、経費の方であるが、37.4%(昨年36.9%)と、経費も上昇しており、この中間決算では、原価、経費、双方が上昇し、利益をダブルで圧迫している状況である。結果、差し引きマーチャンダイジング力は-9.7%(昨年-8.4%)と、1.3ポイント悪化しており、厳しいマーチャンダイジング構造である。これに物流収入、不動産収入等のその他営業収入が11.3%(昨年10.9%)のり、結果、営業利益が1.6%(昨年2.5%)となったが、大きく減益となっており、厳しい結果となった。

   それにしても、食品スーパーマーケットでは考えられない経費比率とその他営業収入であり、これだけの経費を賄うには、原価を大幅に引き下げるために、トップバリュの構成比を30%から40%にするか、ユニクロ、ニトリなどのSPAの手法を取り入れ、劇的に原価を下げることが必須といえよう。ただ、それでも、この経費構造では厳しいものがあり、経費構造を根本的に組み換える新たな業態開発を行い、GMSを移管するような構造改革が必要といえよう。

   この結果を受けて、キャッシュフローの状況であるが、当期純利益が赤字となったことにより、営業キャッシュフローが370.65億円となり、投資、配当等へのキャッシュ不足が生じている。今期の投資キャッシュフローは-1,922.08億円と多額な投資を実施しており、当然、営業キャッシュフローの370.65億円では賄えず、合計のフリーキャッシュフローは-1,551.43億円と逆流となり、このキャッシュを財務キャッシュフロー、その他で補わざるをえない状況である。特に、投資キャッシュフローの中では、新規出店関連が-1,987.05億円と大半を占め、この投資が重くのしかかっているといえよう。

   一方、財務キャッシュフローであるが、1,032.92億円とプラスになり、その中身は長期借入1,678.99億円、コマーシャルペーパー282.85億円、社債338.64億円に対し、返済1,062.22億円であり、差し引き1,238.26億円の借入となり、有利子負債が増加し、1兆3,359.65億円(前期比118.1%)となり、財務を大きく圧迫する結果となった。ただ、これでもフリーキャッシュフローのマイナスをカバーできず、さらに、現金を486.67億円取り崩している。今期のイオンのキャッシュフローは、多額の投資を補うために新たな借入を行うだけでなく、現金をも取り崩しており、厳しい資金繰りであるといえよう。

   このようにイオンの2010年2月期の中間決算が公表されたが、2期連続の赤字決算となり、特に、中核のGMSを中心とした小売業全体が厳しい結果となった。その結果、キャッシュフローも厳しい状況となり、有利子負債もさらに増加し、現金をも取り崩す結果となり、厳しい経営状況である。今後、後半以降も消費の回復は期待できず、ますます消費環境は厳しいものとなろう。イオンとしては、抜本的な構造改革が必須といえ、後半、この結果を受けて、どのような経営改革を打ち出すかに注目したい。

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