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October 30, 2009

サンエー、2010年2月中間、増収増益、当期は減益!

   サンエーが10/5、2010年2月期の中間決算を公開した。結果は、営業収益690.55億円(104.6%)、営業利益47.47億円(103.7%:営業収益比6.87%)、経常利益48.37億円(103.6%:営業収益比7.00%)、当期純利益25.85億円(93.5%:営業収益比3.74%)と、営業、経常段階は増収増益となったが、当期純利益が減益となった。これは、この中間決算で固定資産の減損損失3.65億円を計上したためであり、営業面では増収増益の堅調な結果となった。

   また、サンエーは、財務基盤も健全であり、この中間期の自己資本比率は67.5%(昨年64.8%)と、さらに上昇しており、決算公開企業約50社の中でも、トップクラスである。ちなみに、前期本決算では、純資産比率(自己資本比率)のトップクラスは、ヨークベニマル79.0%、オオゼキ77.3%、マックスバリュ東海69.4%、マルキョウ68.4%、東武ストア68.2%、サンエー64.8%という状況であり、今期67.5%は極めて高い自己資本比率である。今期この自己資本比率が高まった背景には、利益剰余金が約20億円増加し、純資産が増加したことに加え、負債の買掛金が約20億円、有利子負債も約3億円削減され、ダブルで自己資本比率を高めており、財務状況がより、堅固になり、重厚な財務基盤となったためである。

   これら、財務の健全化の背景にあるのは、サンエーが食品スーパーマーケットとしては類稀な高収益のビジネスモデルを構築したことにある。この中間決算でも、営業利益は営業収益比で6.87%、売上対比では7.09%であり、7%を超えた。この数字は前本決算時で、決算公開企業約50社のベストを見ると、オオゼキ7.8%、サンエー6.4%、アークランドサカモト5.3%、丸久5.1%、オーケー5.0%、大黒天物産4.9%という状況であるので、オオゼキと並び、断トツの収益力であり、際立っているといえる。この高収益が財務を強固にしている最大の要因である。

   そこで、この収益力を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、69.71%(昨年70.05%)であるので、若干であるが、原価が下がっている。各社値下げによる価格競争が厳しく、原価が上昇するケースが多いが、サンエーは原価を下げており、結果、売上総利益(粗利)は30.29%(昨年29.95%)と、とうとう30%を超えた。30%を超える売上総利益は、食品スーパーマーケット業界では断トツの高い数字である。サンエーの高収益の秘訣は、この原価の低さにあるといえる。これは、サンエーが食品スーパーマーケット以外にも原価の低い外食、ホテル、衣料品などの業態をもっているからであり、これらの原価貢献度が極めて高いためである。

   一方、経費の方であるが、26.25%(昨年25.68%)と、昨年よりも0.57ポイント上昇しており、やや気になる数字である。26.25%は、前本決算時の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、やや高めといえ、原価とは一転、経費は高めであり、しかも、昨年よりも上昇気味である。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、4.04%(昨年4.27%)となり、やや下がったが、食品スーパーマーケット業界ではトップクラスの数字である。マーチャンダイジング力はこのサンエーのように、原価小、経費大というケースは稀であり、通常の食品スーパーマーケットは原価大、経費小となり、原価よりも経費を重視し、収益を高めるケースが多いが、サンエーは、業種ミックス、業態ミックスを行い、原価最小を目指している食品スーパーマーケットであり、どちらかというと、総合小売業、GMS等に近い食品スーパーマーケットといえよう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.05%(昨年2.88%)のり、結果、営業利益は7.09%(昨年7.15%)となり、営業利益率は、昨年と比べ若干下がっているが、営業収益が104.6%伸びたために、金額ベースでは、増益となった。こう見ると、この中間決算時のサンエーは経費の上昇がやや利益を圧迫しており、今後、原価は限界に近いところまで下げているので、経費をいかに引き下げるかが、高収益を維持してゆくには重要な経営課題となりつつあるといえよう。その意味で、これまでの原価小、経費大から、経費小への取り組みも課題となったといえよう。

   サンエーはこのように、食品スーパーマーケットとしては類稀な収益構造を確立し、高収益なビジネスモデルを作り上げ、この高収益が強固な財務基盤をもたらし、自己資本比率を業界トップクラスの67.5%にまで高めたが、まだ、有利子負債が32.81億円、総資産802.95億円の4.08%ある。したがって、この分の自己資本比率の増加はまだ可能であり、今後、70%台にいつでも、もってゆくことが可能な状況にあるといえよう。

   このように、サンエーの今期の中間決算は増収増益の堅調な決算であるが、原価はさらに減少したが、経費の上昇が見られ、これが営業利益率を落としており、やや気になる結果である。ただ、財務基盤は極めて堅固な状況にあり、さらに、その基盤が強化されており、健全である。したがって、今後、課題の経費面の改善をどうはかってゆくかが、収益をより高めるためにも当面の経営課題であるといえ、サンエーが今後、どのように経費改善に踏み込むか注目したい。

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