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October 29, 2009

ベルク、2010年2月期中間決算、増収減益!

   ベルクが、10/5、2010年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高510.67億円(102.9%)、営業利益23.30億円(99.6%:売上対比4.57%)、経常利益24.69億円(101.2%:売上対比4.83%)、当期純利益13.55億円(98.7%:売上対比2.65%)と、増収、わずかに減益となるやや厳しい決算となった。ベルクは、この中間決算期において、Low Price & Better Qualityを掲げ、購買頻度と消費頻度の高い商品の価格訴求をかけ、さらに、イオングループのトップバリュの拡販を推進し、価格にこだわったマーチャンダイジングを実践した。特に、消費頻度にはこだわっており、当初、4/1の時点では約560品の値下げであったが、その後、4/24より、400品以上の商品を追加し、合計1,000品以上の値下げが敢行された。

   その結果を受けての、今回の中間決算であるが、売上高が微増、営業利益が微減となった。売上高の微増に関しては、これら強力な価格訴求に加え、川口差間店(埼玉県川口市、3月)、ベスタ大泉店(群馬県邑楽郡大泉町、7月)と、2店舗の新規出店に加え、2店舗の改装を実施したことも大きかったといえよう。一方、利益の方であるが、原価、経費の状況を見てみると、原価は74.27%(昨年74.53%)と、若干下がっており、売価が下がったにもかかわらず、原価も下がり、結果、売上総利益(粗利)は、25.73%(昨年25.47%)と、若干改善した。

   これに対し、経費の方であるが、25.20%(昨年24.55%)と、0.65ポイント上昇しており、経費増が営業利益の減益を招いた要因であるといえよう。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は0.53%(昨年0.92%)と、0.39%下がった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.04%(昨年3.80%)のり、営業利益は4.57%(昨年4.72%)となり、微減であるが、減益となった。それにしても、ベルクのその他営業収入はかなり大きな数字であり、マーチャンダイジング力を大きく上回り、営業利益の大半、率にして、90%弱を占めており、貢献度が高いといえよう。営業利益が増収になるか、今回のように減益となるか、その鍵を握っているともいえ、利益の重要な柱といえよう。

   ちなみに、決算公開企業約50社の、前本決算期のその他の営業収入を見ると、平均が3.0%であるので、ベルクはかなり高い方である。トップグループは、平和堂6.7%、イオン九州6.5%、フジ5.4%、マルヤ 5.1%、Olympic5.0%、イズミ4.8%、ヤマナカ4.7%、天満屋ストア4.4%、ヤオコー4.3%、相鉄ローゼン4.1%、ベルク3.9%という状況であり、GMSタイプの食品スーパーマーケットが上位に来ているのが実態である。

   これを受けて、キャッシュフローの状況であるが、ベルクの営業キャッシュフローは30.05億円(昨年36.09億円)と約6億円減少している。これは、営業キャッシュフローの大半を占める当期純利益、減価償却費の差ではなく、明細はわからないが、その他が、今期は-5.02億円(昨年4.16億円)となったためである。したがって、当期純利益の影響は営業キャッシュフローではほとんどなかったといえる。

   一方、投資キャッシュフローであるが、-23.70億円(昨年-17.12億円)と、今年は投資が昨年と比べ多かったといえよう。その内訳であるが、新規出店関連への投資が-29.55億円(昨年22.76億円)であり、今年は、昨年と比べ、積極的な投資を行っている。ちなみに、ベルクの1店舗当たりの投資は、前期決算数字では6.44億円であるので、4.5店舗(昨年3.5店舗)と、今期の方が1店舗多い出店関連への投資金額である。

   結果、差し引き、フリーキャッシュフローは6.35億円(昨年18.97億円)と、順流とはなったが、昨年と比べると、大きく減少しており、やや気になる結果である。これを受けて、財務キャッシュフローであるが、-0.84億円(昨年-15.43億円)と、今期の財務キャッシュフローが極端に少ない結果である。これは、昨年度は、-12.92億円有利子負債を削減しているのに対し、今期は、1.67億円と、わずかではあるが、借入が上回ったためである。結果、有利子負債は116.23億円(昨年本決算時114.56億円)と、若干増加しており、総資産538.85億円の21.57%である。結果、自己資本比率は52.9%(昨年53.1%)と若干、下がっている。ただ、52.9%は、決算公開企業約50社の平均が純資産比率で40.7%であるので、ベルクは高い数字であり、財務は安定しているといえよう。また、配当であるが、2.5億円(昨年2.51億円)と、昨年とほぼ同じ配分であった。したがって、トータルのキャッシュフローは5.49億円、(昨年3.53億円)と、内部留保へのキャッシュが多くなった。

   このように、ベルクのこの中間決算は新店の貢献度と強力な価格訴求が功を奏したと見え、増収とはなったが、経費が若干上昇したため、営業利益はわずかな減益となった。これを受けて、キャッシュフローであるが、今期は新規出店関連への投資にキャッシュを厚く配分し、有利子負債への返済にキャッシュが割けなかったことが気になるが、自己資本比率は52.9%と、財務は安定しており、後半の決算で調整しても問題はないといえよう。こう見ると、当面の経営課題は経費削減にあるといえ、今後、ベルクがどのように経費削減に取り組み、収益改善をはかるかに注目したい。
 
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