イズミヤ、2010年2月期中間、減収減益、赤字決算!
イズミヤが10/6、2010年2月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,866.56億円(98.3%)、営業利益3.35億円(10.2%:営業収益比0.18%)、経常利益-2.79億円、当期純利益-53.04億円となり、減収、大幅減益、特に、経常、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。当期純利益については、店舗の閉鎖費用、減損損失、たな卸資産評価損などの費用が重く、赤字幅が経常利益の金額を大きく上回ることとなった。
一般に、当期純利益が赤字となると、キャッシュフローが厳しい状況となる。実際、この中間決算のイズミヤの営業キャッシュフローを見ると18.62億円と、昨年の中間決算時は125.19億円であるので、約85%ダウンという厳しい数字であり、キャッシュ不足となった。その中身を見てみると、何といっても当期純利益が-73.49億円となったことが大きく、昨年は21.12億円であったので、その差が約95億円と、100億円近い差である。このマイナスをカバーしたのが、減価償却費の33.12億円、店舗閉鎖損失引当金36.0億円、減損損失19.11億円、棚卸資産評価損15.60億円等である。
これに対して、投資キャッシュフローであるが、-23.01億円となり、営業キャッシュフローを足したフリーキャッシュフローは-4.39億円と、マイナスとなり、逆流のキャッシュフローとなった。投資キャッシュフローの主な項目は、短期貸付-46.05億円が最も大きく、ついで、出店関連-28.82億円となる。出店関連の投資であるが、昨年は-24.61億円であるので、昨年よりも若干上回っており、営業キャッシュフローが厳しい中、将来ヘ向けての新規出店への投資は、その水準を下げることなく、投資しており、イズミヤにとっては苦渋の決断といえよう。
そして、財務キャッシュフローであるが、-10.20億円となり、さらにマイナスとなっており、フリーキャッシュフローを財務キャッシュフローで補わずに、内部留保を取り崩す経営決断をしている。通常、フリーキャッシュフローがマイナスとなった場合には、増資をするか、借入をはかるか、内部留保を取り崩すかの3択となるが、イズミヤは3つ目の内部留保を取り崩すことを選んでおり、結果、期首の現金84.90億円が、70.29億円となり、約14億円、現金が減少した。財務キャッシュフローの中身を見ると、有利子負債については、-170.55億円返済しており、借入は155.40億円であるので、差し引き、-15.15億円の返済となる。結果、有利子負債は922.04億円となり、総資産の36.48%となったが、まだまだ、経営に重くのしかかっている状況である。今期自己資本比率は38.7%であり、昨年の40.2%を下回ることとなり、厳しい経営状況といえよう。
では、ここで、経常利益、当期純利益が赤字となった大本の要因を原価、経費、すなわち、営業利益の状況を見てみたい。まず、原価であるが、70.76%(昨年70.22%)と、昨年より、0.54ポイント上昇しており、結果、売上総利益、粗利は、29.24%(昨年29.78%)と、下がった。これは、消費環境の悪化から競争が厳しくなり、売価を下げざるをえなくなったことに加え、ディスカウント食品スーパーマーケット業態、まるとく市場を積極的に出店、業態変更していることが大きいといえよう。
実際、イズミヤの今期の粗利率の変化を衣食住関連別にみると、衣料品34.2%(昨年35.3%)、食品22.6%(23.0%)、住関連22.8%(22.8%)という状況であり、衣料品、食品の粗利の落ち込みが大きかったといえよう。また、既存店の売上げで見ると、衣料品87.8%(売上構成比16.1%)、食品96.0%(60.0%)、住関連96.2%(20.1%)という状況であり、衣料品が特に大きく落ち込んでいる状況である。
一方、経費の方であるが、31.84%(昨年30.83%)と、経費も上昇しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.60%(昨年-1.05%)と、マイナス幅が大きくなっており、原価、経費双方が上昇し、ダブルでマーチャンダイジング力を圧迫した形である。これに、物流収入、不動産収入等の営業収入が2.79%(昨年2.84%)のり、営業利益は0.19%(昨年1.79%)となったが、その数字はわずかであり、厳しい営業利益となった。
こう見ると、この中間決算のイズミヤが厳しい決算に陥った要因は、原価、経費双方が上昇したことが大きく、特に、粗利の高い衣料品の売上が下がったことに加え、売上構成比の高い食品の粗利も下がったことが大きかったといえよう。また、既存店の売上も下がっており、結果、相対的に経費の上昇にもつながったといえる。
このように、イズミヤのこの中間決算は、赤字決算となる厳しい結果となり、キャッシュフローが厳しい状況となり、投資キャッシュフローを営業キャッシュフローで賄えず、内部留保を崩して、キャッシュのマイナスをカバーする結果となった。また、その赤字の原因を探ると、原価、経費双方が上昇しており、特に、衣料品、食品の粗利が下がったことに加え、衣料、食品を含め、既存店の売上げが下がったことにより、相対的に経費の上昇にもつながったといえよう。今後、消費環境はますます厳しくなることが予想され、イズミヤとしては、後半に向けて、原価、経費の改善が最優先課題といえ、まさに、マーチャンダイジング力をいかに高めるかが、喫緊の経営課題といえよう。イズミヤが今後、どのような営業戦略を打ち出すか、注目したい。
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