オークワ、2010年2月期、中間、増収減益、厳しい決算!
オークワが2010年2月期、中間決算を10/2、公表した。結果は営業収益1,444.58億円(113.6%)、営業利益22.63億円(60.9%:営業収益比1.56%)、経常利益23.63億円(62.9%:営業収益比1.63%)、当期純利益6.28億円(30.4%、営業収益比0.43%)と、増収とはなったが、減益となる厳しい決算結果となった。特に、当期純利益は、棚卸試算の評価が変更となり、在庫の評価損が11.95億円発生し、大幅な減益となった。また、営業利益、経常利益ともに、減益幅が大きく、今期は利益の確保が厳しい決算結果となった。
その利益の状況を原価、経費面から見てみたい。特に、原価に関しては、先にも述べたように棚卸資産の評価方法の変更にともない期首の在庫の評価が下がっており、今期の原価は75.39%(昨年74.76%)と、原価の上昇が見られる。これは、在庫評価の問題もあると思われが、厳しい価格競争に伴い、売価が下がり、相対的に原価の上昇が影響していると思われる。結果、売上総利益は24.61%(昨年25.24%)と、-0.63ポイント下がっており、粗利が減少した。一方、経費の方であるが、26.65%(昨年25.86%)と、こちらも0.79ポイント上昇しており、今期は、原価、経費双方が上昇し、大幅な減益となった。
ここから差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力を計算すると、-2.04%(昨年-0.62%)と、マイナス幅が大きく拡大しており、厳しい数字となった。食品スーパーマーケットにおいて、マーチャンダイジング力が-2.0%以下となる企業は決算公開企業の中でも数社であり、この中間決算でのオークワのマーチャンダイジング力はかなり厳しい数字であったといえる。
そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.67%(昨年3.65%) 加わり、結果、営業利益は1.63%(昨年3.03%)となった。この中間では、原価、経費双方が上昇し、利益を大きく圧迫しており、厳しい中間決算の結果となったといえよう。さらに、今期は、先にも述べたように、在庫評価損による特別損失も発生しており、最終利益の当期純利益は2重、3重の利益の減少が発生し、大きく、利益が減少する結果となった。
これに対し、売上げの方は逆に順調であり、113.6%となった。その要因は、新たなオークワのドミナントエリアである中京地区へ新規出店したことによる。スーパーセンター業態「岐阜養老店」(岐阜県養老郡養老町、7月)、SSM「岡崎インター店」(愛知県岡崎市、8月)を、それぞれ新設したことに加え、前期連結子会社となったパレにおいても、「パレマルシェかじ町店」(静岡県浜松市、5月)、大型ショッピングセンター「ららぽーと磐田」内に「パレマルシェららぽーと磐田店」(静岡県磐田市、6月)をそれぞれ新設しており、これら新店が寄与し、売上を大きく伸ばした。既存店が97.1%と厳しい数字の中、これら新店の果たした役割が極めて大きかったといえよう。
では、オークワの出店余力はどうかを見てみたい。出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金等の合計であるが、中間では、差入保証金の明細が明示されていないので、前本決算時の金額で計算すると975.70億円となり、これは、総資産1,373.45億円の71.0%となる。オークワの本決算時の店舗数が143店舗であるので、今回の新店4店舗を加え、147店舗で割ると、1店舗当たり6.8億円となる。これは、決算公開企業の平均が5.00億円であるので、やや高い数字であり、恐らく、ここ最近の積極的なスーパーセンター業態、SSM等の新規出店により、出店関連の資産が重くなったためであるといえよう。
一方、自己資本比率であるが、54.7%(昨年55.9%)と、やや減少しており、結果、差し引き、出店余力は-16.3%とマイナスとなり、負債に依存する出店構造であり、気になるところである。その負債を見ると、有利子負債が243.75億円(前期本決算時255.54億円)であるので、総資産の17.7%であり、ちょうど、自己資本比率を加えると出店関連の資産となり、相殺する形である。したがって、ほぼ有利子負債分、負債に頼る状況であり、やや重い出店構造といえよう。
ちなみに、出店余力の高い食品スーパーマーケットは、前期本決算時の決算公開企業約50社のトップレベルを見ると、ヨークベニマル29.4%、オオゼキ28.7%、マックスバリュ東海16.6%、東武ストア11.2%、大黒天物産9.8%、サンエー7.9%、アオキスーパー7.8%、いなげや6.8%、九九プラス5.4%という状況であり、この9社がプラスとなった食品スーパーマーケットである。オークワは、この時、-14.9%で21位であるので、この中間の-16.3%は25位前後ではないかと思われ、ちょうど、真ん中あたりのランキングとなろう。
このように、この中間決算のオークワは、在庫の評価損も響き、原価、経費双方の上昇が見られ、利益が、ダブル、トリプルで圧迫され、すべての段階で大きく減益となる厳しい決算となった。また、積極的な新規出店に支えら、売上げは好調に推移したが、出店余力は、負債、特に有利子負債に頼らざるを得ない状況であり、既存店も厳しい中、今後、積極的な新店を出店ゆくには、やや厳しい財務状況であるといえよう。今後、後半にかけて、消費環境はますます厳しくなることが予想される中、オークワが、後半、どのような収益改善ヘ向けての思い切った対策を打ち出すかに注目である。
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