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October 21, 2009

マルエツ、2010年2月中間、増収増益、配当3円!

   マルエツが10/8、2010年2月期、中間決算を公開した。結果は、営業収益1,711.01億円(100.1%)、営業利益41.77億円(101.1%:営業収益比2.44%)、経常利益40.41億円(103.1%:営業収益比2.36%)、当期純利益は37.44億円(105.0%:営業収益比2.18%)となり、増収増益の堅調な決算となった。この中間決算では一部食品スーパーマーケットを除き、全体的に減益決算が多い中、増益となり、マルエツの業績が安定していることがうかがわれる。ただ、この9月度の売上速報を見ると、99.0%(既存店97.3%)と、昨対を割り、下がり気味であり、やや気になるところである。

   マルエツは2005年度から配当ができず、無配となる厳しい財務状況であったが、ここ数年で財務体質が改善され、2009年度本決算から、1株当たり6円の配当が復活した。総額7.49億円であり、売上対比0.2%、決算公開企業の平均が0.3%であるので、まだまだ、低い数字であるが、今後、財務体質の改善が進めば、さらに増配となると思われる。食品スーパーマーケット業界のトップクラスの配当は、オオゼキ0.7%、東武ストア0.6%、アークス0.6%、ベルク0.5%、マックスバリュ東海0.5%、ダイイチ0.5%、関西スーパーマーケット0.5%、アークランドサカモト0.5%、オークワ0.5%であるので、今後、まずは、0.3%、そして、0.5%がひとつの目標となろう。

   食品スーパーマーケットに限らず、株式会社にとって最大の利益還元は配当といえ、配当ができない状況にあるということは、それだけ、収益性が低く、財務状況が厳しいということでもあり、マルエツが前期決算で復配となったことは、一定の財務改善の目途がついたといえる。そして、この中間でも、3.0円の配当が決まり、決算数字も増収増益と堅調な数字を維持しており、今期も合計6.0円の配当予想であり、財務状況が明らかに好転しているといえよう。

   そこで、この配当を含め、キャッシュの配分、キャッシュフローの状況をB/Sと連環させ、マルエツの財務状況を見てみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、57.47億円(昨年85.43億円)と、減少しているが、その中身は、最も重要な当期純利益と減価償却費の合計は57.83億円(昨年53.38億円)と、増加しており、堅調な数字である。したがって、それ以外の項目の差が大きいといえ、中身をみると、支払いサイトの関係で、前期は仕入れ債務の増加が27.31億円あり、この分の差が大きく、決算数字通り、堅調な収益を確保しているといえよう。

   次に投資キャッシュフローであるが、-44.46億円(昨年-23.34億円)と、今期は約20億円多く投資への配分が高い。その中身であるが、出店関連の資産取得-45.62億円(昨年-31.55億円)と、今期の方が積極的な出店関連への投資を増やしているのが特徴である。この金額は、マルエツの1店舗当たりの出店にかかわる資産が3.66億円であるので、12.5店舗分にあたり、現在246店舗であるので、ちょうど5%に当たる。したがって、今後、105%前後の堅調な成長を目指しているといえよう。この中間決算でも、新店に関しては、「マルエツナリア武蔵浦和店(埼玉県)、ポロロッカ千石店(東京都)の他、都心型のスーパーコンビニエンス機能を有した小型実験店舗2店舗の合計4店舗を新設し、・・」とのことで、これを見ても、マルエツの財務内容が改善しつつあることがわかる。結果、フリーキャッシュフローは13.01億円(昨年62.09億円)と、プラスとなり、順流のキャッシュフローである。

   この時点で配当への原資が生まれたことになり、数年前と比べ財務の安定度が増していることがわかる。そして、財務キャッシュフローであるが、-13.77億円(昨年-61.74億円)と、昨年よりは、投資キャッシュフローに重点を置き、フリーキャッシュフローが少ない分、配分金額が少なくなった。その中身であるが、有利子負債への返済が-6.21億円(昨年-41.49億円)であったので、この中間では、有利子負債への配分が昨年と比べ減っており、その分が投資、出店関連に回された形である。結果、有利子負債であるが、296.77億円(前本決算時:302.98億円)と、わずかであるが、削減しており、300億円の水準を切ることとなった。これは、総資産1,284.64億円の23.1%であり、決算公開企業の平均が27.7%であるので、この水準を下回っており、財務の改善が進んでいるといえよう。

   そして、肝心の配当であるが、7.47億円(前期無配)となり、配当への配分が中間決算でも可能となった。結果、トータル、-0.76億円(昨年0.33億円)となり、ほぼ営業キャッシュフローの範囲内で投資、財務を賄っており、キャッシュが順調に循環し、財務体質が向上している。この中間では、財務キャッシュフロー、特に有利子負債へのキャッシュの配分が、投資キャッシュフロー、特に出店関連へ厚く配分したため、十分でなかったといえるが、全体としては、順流、善循環のキャッシュフローである。

   このように、マルエツの財務状況は確実に好転しており、営業キャッシュフローの範囲内で投資、財務キャッシュフローをほぼ賄っており、配当もこの中間では1株3円であるが、配分できるまでに回復した。今後、さらにマーチャンダイジングを強化し、収益力をあげてゆければ、有利子負債の削減も進み、さらに、財務体質が改善されよう。ただ、今期後半は、消費環境、競合店の価格訴求等がより厳しくなることが予想されるので、この堅調なマルエツの収益力、財務状況が維持できるかどうか、注目である。

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