オオゼキ、2010年2月期中間、増収減益、MBO成立!
オオゼキが10/8、2010年2月期の中間決算を公表した。結果は、売上高347.25億円(104.5%)、営業利益23.68億円(89.8%)、経常利益 24.21億円(90.0%)、当期純利益13.99億円(87.2%)と、増収とはなったが、利益がいずれの段階でも約10%ダウンし、減益となった。これまで公表された食品スーパーマーケット各社も減益となる決算があいついでいるが、食品スーパーマーケットの中でも好調なオオゼキも減益となり、改めて、食品スーパーマーケット業界全体が厳しい経営環境に置かれていることが鮮明になったといえよう。
オオゼキが減益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、75.72%(昨年75.29%)となり、昨年と比べ0.43ポイント上昇している。結果、売上総利益は、24.28%(昨年24.71%)となり、いわゆる粗利が下がっており、この時点で利益が減少している。
一般に、原価が上昇する要因は、仕入れ価格が上昇し、売価に転嫁できない場合が多いが、ここ最近の動向は、各社PB拡販の動きなどもあり、仕入れ価格はむしろ、下がり気味であるといえ、この面からの原価の上昇圧力は弱いといえよう。したがって、原価の上昇は売価面での下落が大きいのではないかと推測される。売価が下がると、それに応じて原価を下げられれば粗利は下がらないが、原価を下げられない場合は、その分、原価が相対的に上昇することになり、結果、粗利が減少することになる。実際、オオゼキのこの中間決算までの累計の平均単価は99.32%(昨年累計101.35%)であり、下がっており、後半スタートの9月度は95.86%とさらに下がっている。したがって、この原価上昇は、消費者の節約志向を踏まえた競争の激化による売価ダウンが大きいといえよう。
一方、経費であるが、18.46%(昨年17.80%)と、0.66ポイント上昇しており、経費の上昇も見られる。経費の上昇については、一般的には既存店の売上が落ちると相対的に固定費が上昇し、経費が上昇することがあるが、オオゼキの第2四半期までの累計の既存店の売上は、102.06%であり、好調である。したがって、経費上昇要因はこれ以外の要因といえ、恐らく、4月に市川店を新規出店、池上店、祖師谷大蔵店の改装を実施しており、これらの費用がかさんだものと思われる。ただ、結果として、原価、経費双方の上昇が見られ、利益がダブルで圧迫を受け、減少しており、これまで、好調に推移してきたオオゼキも経営環境が厳しさを増しつつあるといえよう。
そして、ここから、差し引き、マーチャンダイジング力を算出すると、5.82%(昨年6.91%)となり、昨年と比べ1.09ポイントのダウンであり、厳しい結果といえよう。ただ、昨年の決算で食品スーパーマーケット決算公開企業で5.0%以上のマーチャンダイジング力はオオゼキ6.7%、ホームセンター主体であるがアークランドサカモト5.3%、オーケー5.0%、大黒天物産4.9%であり、以下、3%台であるので、依然として、この中間決算でもオオゼキがNo.1であると思われ、昨対を割ってはいるが、極めて高い数字である。
ちなみに、オオゼキのマーチャンダイジング力を支える商品戦略は圧倒的に青果を強化し、ついで、日配、食品を強く打ち出すところにある。この中間決算での売上構成比を見ると、青果22.8%(伸び率107.7%)、日配19.2%(104.7%)、食品18.3%(104.8%)であり、全体の伸び率が105.72%であるので、青果をさらに強化していることがわかる。他の生鮮食品の鮮魚12.6%、精肉12.0%であるので、青果が突出しており、この青果強化による集客力がオオゼキのマーチャンダイジング力の源泉といえよう。
そして、営業利益であるが、このマーチャンダイジング力に、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.98%(昨年1.03%)のり、結果、6.80%(昨年7.94%)となり、1.16ポイントの減益となった。したがって、減益の要因は原価、経費双方が上昇し、さらに、その他営業収入が若干減少したことにあるといえ、結果、6.80%という食品スーパーマーケット業界としては極めて高い数字ではあるが、減益となった。それにしても、トリプルの数字ダウンは気になるところである。
これに対して、財務面を見ると、依然として超健全な状況であり、自己資本比率は78.3%(昨年77.3%)であるので、さらに上昇しており、有利子負債も0と、負債にほとんど頼ることのない極めて自由度の高い自己資本で可能な経営状況にある。キャッシュフローも営業キャッシュフロー15.00億円(昨年21.09億円)、投資キャッシュフロー-8.86億円(昨年-37.96億円)、結果、フリーキャッシュフローは、6.14億円(昨年-16.87億円)となり、昨年と比べ、フリーキャッシュフローがプラスとなっている。しかも、その中身は、新規出店関連への投資は今期の方が多く、昨年は定期預金、有価証券への支出が増大したことであり、健全なキャッシュフローの流れといえよう。そして、財務キャッシュフローであるが、-5.24億円(昨年-4.88億円)となり、トータル0.88億円(-21.75億円)と改善している。
このように、オオゼキの2010年2月期の中間決算は増収減益と、利益が減少し、しかもその中身は原価、経費上昇、その他営業収入ダウンという、トリプルでの利益への圧迫である。ただ、営業利益率は依然として、食品スーパーマーケット業界、トップクラスであり、しかも、財務面を見ると、キャッシュフローは逆に改善され、自己資本比率も上昇し、超健全な状況である。この10月にはMBOも成立したことにより、ここはじっくり、経営環境を整え、後半に向けての対応が求められよう。オオゼキが今後、どのように収益改善の対策を打ち出すか、注目したい。
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