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October 20, 2009

大黒天物産、2010年5月、第1四半期、増収増益!

   大黒天物産が10/6、2010年5月期の第1四半期決算を公表した。第1四半期は6/1から8/31までの3ケ月であり、ちょうど、2月期決算の後半部分と重なり、現在公表されている2月期決算の企業と同時期の経営状況といえ、厳しい消費環境、経済情勢を反映した決算結果である。その結果であるが、売上高192.81億円(108.6%)、営業利益10.15億円(127.4%:売上対比5.26%)、経常利益10.11億円(128.9%:売上対比5.24%)、当期純利益5.46億円(129.1%:売上対比2.83%)と、増収増益の好決算であった。ここ最近公表された食品スーパーマーケット業界の中間決算では減益となる決算が多く、多くの食品スーパーマーケットが苦しむ中、大黒天物産の決算は絶好調といえ、改めて、この厳しい消費環境の中で、ディスカウント戦略の優位性が鮮明になったといえよう。

   特に、利益はいずれの段階でも約130%の伸びであり、売上げ以上に利益が大きく伸びているのが特徴である。その要因を原価、経費面から見てみると、原価は77.09%(昨年77.74%)と、0.65ポイント下がっており、多くの食品スーパーマーケットが売価が下がり、原価高になる中、原価が下がっており、結果、売上総利益(粗利)は22.91%(昨年22.26%)と、上昇している。この22.91%の売上総利益であるが、トップクラスの低い数字であり、ディスカウント路線が鮮明である。

   前期本決算の決算公開企業の売上総利益が低い順に見てみると、トライアルカンパニー15.6%、アオキスーパー16.6%、PLANT 19.3%、マルミヤストア19.9%、オーケー19.9%、マルキョウ20.2%、スーパーバリュー20.9%、マルヤ21.2%、タイヨー21.4%、スーパー大栄21.4%、イズミ22.0%、アークス22.8%、大黒天物産22.9%という順であり、大黒天物産は13位であった。今回の第1四半期決算の結果は、22.91%であるので、恐らく、同じ位置にあると思われるが、極めて低い数字である。全体平均が25.2%であるので、同じ原価であれば、約10%は低い売価政策が可能であり、価格訴求力が強いといえよう。

   一方、経費の方であるが、17.64%(昨年17.76%)と、昨年より0.12ポイント下がっており、経費削減も進んでいる。したがって、原価、経費双方が下がり、ダブルで利益への貢献があり、結果、営業利益は5.26%(昨年4.50%)と、大きく利益が改善している。ちなみに、この経費比率であるが、これも決算公開企業の中では、前期本決算の状況を見ると、オーケー14.9%、トライアルカンパニー16.3%、アオキスーパー16.8%、大黒天物産18.0%という状況であり、この第1四半期決算の数字も4番目であり、粗利以上に、極めて低い経費比率である。まさに、ディスカウント業態特有の経費比率といえ、低い数字である。

   これを受けて、大黒天物産のキャッシュフローの状況を見てみたい。本来であれば、これだけ増益となったので、キャッシュフローも好調な状況が期待されるが、今期は、法人税が影響し、営業キャッシュフローが-0.88億円と、マイナスとなった。大黒天物産の営業キャッシュフローの特徴は、通常の食品スーパーマーケットでは当期純利益と減価償却費の関係が50%対40%ぐらいであるが、80%対20%ぐらいであり、減価償却費が極端に少ないのが特徴である。これは、新規出店が少ないわけではなく、出店にかかわる資産が居抜き物件等が多いために極端に小さくなるためであり、これが、経費を大きく下げている一因でもある。したがって、当期純利益がその分大きくなる傾向があり、高収益にもつながっているといえる。

   一方、投資キャッシュフローであるが、-11.40憶円(昨年-1.97億円)と、今期は大きく増加している。これは、今期、10億円の定期預金への預け入れがあったためであり、これを差し引くとむしろ昨年よりも低い状況である。出店関連は1.35億円であり、これは大黒天物産の1店舗当たりの出店関連資産が前期決算では1.65億円であるので、ほぼ1店舗分の新規出店への投資といえよう。営業キャッシュフローがマイナスの分、投資を抑制したのはないかと思われる。結果、フリーキャッシュフローは-12.29億円(昨年1.93億円)と、マイナスとなり、逆流となった。

   当然、このマイナス分を補う必要があるが、財務キャッシュフローを見ると、-3.83億円(昨年-4.19億円)と、さらにマイナスである。その中身は、有利子負債の返済が-2.20億円、配当-1.63億円等であり、ここでもマイナスとなり、結果、トータル、-16.12億円の現金を取り崩しての、キャッシュフローの相殺である。その結果、大黒天物産の有利子負債は24.00億円(昨年26.00億円)となり、総資産207.71億円の11.5%となった。純資産の増加もあり、結果、自己資本比率は54.0%(49.7%)と向上した。

   それにしても、これだけのキャッシュフローのマイナスを現金を取り崩して補った形であるが、現在、大黒天物産の現金は63.83億円であり、これは総資産の33.1%となる。これだけの現金を保有している食品スーパーマーケットはアオキスーパーの34.4%ぐらいであり、豊富なキャッシュを背景にした異例のキャッシュフローの流れであるといえ、通常では見られない、キャッシュの遣り繰りである。

   このように、大黒天物産の2010年5月期のはじめての決算、第1四半期が公表されたが、増収、大幅増益と絶好調な結果となった。その中身も原価、経費双方が下がった上での増益であり、ますます、大黒天物産のディスカウント政策が深まり、消費者に強く受け入れられたといえよう。今後、さらに、消費環境が厳しくなる中、豊富なキャッシュを武器に、さらにディスカウント路線が強みを発揮するのではないかと予想され、今期、大黒天物産の決算は恐らく好決算が期待されよう。

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