マックスバリュ5社の中間決算、いずれも苦戦!
マックスバリュ3社、西日本、東海、東北の2010年2月期の中間決算が出そろった。これで、すでに公表された2010年1月期の決算、中部、北海道を含め、マックスバリュグループの食品スーパーマーケットの中間決算がすべて出そろった。いずれも厳しい決算であり、増収増益となった食品スーパーマーケットはなく、特に、利益面が急激に悪化している様子がうかがえる状況である。
まず、売上(営業収益)であるが、北海道384.43億円(102.8%)、東北459.42億円(96.6%)、東海685.67億円(113.1%)、中部572.93憶円(101.4%)、西日本1,087.30億円(103.5%)であった。東北以外は増収とはなったが、東海を除き微増であり、東海も昨年8月のシーズンセレクトのM&Aを含んでの数字であり、こう見ると、マックスバリュグループは、全体的に売上が伸び悩んだ結果となった。
これに対して、利益の方であるが、営業利益は、北海道-5.95憶円、東北0.73憶円(昨年は赤字、営業収益比0.15%)、東海11.43憶円(50.2%、売上対比1.66%)、中部3.08億円(41.8%:営業収益比0.53%)、西日本29.33億円(77.2%、営業収益比2.69%)という結果であり、北海道の赤字を除き、いずれも厳しい決算であった。しかも、ほぼ昨年と比べ営業利益が半減しており、この中間決算では、利益を確保することがいかに難しかったかがわかる。
そこで、営業利益が半減した要因を原価、経費の両面から見てみたい。まず、原価は、北海道77.31%(昨年76.10%)、東北76.90%(昨年77.48%)、東海74.99%(昨年74.50%)、中部75.59%(昨年75.08%)、西日本75.44%(昨年75.29%)という結果である。東北を除き、いずれも原価が上昇しており、結果、売上総利益(粗利)は北海道22.69%、東北23.1%、東海25.01%、中部24.41%、西日本24.56%という状況であり、減益とはなったが東海の売上総利益(粗利)が25.0%を超え、最も高く、ついで、西日本、中部の順であり、東北、北海道は厳しい状況である。
次に、経費面であるが、北海道26.16%(昨年25.98%)、東北24.47%(昨年25.52%)、東海25.19%(昨年23.65%)、中部26.46%(昨年26.08%)、西日本23.99%(昨年23.07%)という結果であった。赤字になった東北を除き、すべて経費が上昇しており、原価に加え、経費もダブルで経営を圧迫している状況である。
ここから差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力を算出してみると、北海道-3.47%、東北-1.37%、東海-0.18%、中部-2.05%、西日本0.57%と、西日本を除き、すべてマイナスであり、営業利益をプラスにもってゆくには、その他営業収入、すなわち、物流収入、不動産収入等に頼らざるをえない状況にある。特に、北海道、中部はそのマイナス幅も大きく、いかに、この中間決算が厳しい状況であったかがうかがわれる。
その物流収入、不動産収入等のその他営業収益の状況であるが、北海道1.90%(昨年1.82%)、東北2.56%(昨年2.31%)、東海1.86%(昨年1.91%)、中部2.54%(昨年2.51%)、西日本2.20%(昨年2.06%)という状況であり、東海を除き、いずれも、上昇がみられる。原価、経費の上昇を、その他営業収入で賄おうとしている状況がうかがわれるといえよう。ここから、営業利益を計算すると、北海道-1.57%(赤字)、東北1.19%、東海1.68%、中部0.49%、西日本2.77%となり、西日本がマーチャンダイジング力がプラスになった分、その他営業収入が、そのままのり、2.77%と、昨年の本決算の食品スーパーマーケット業界の平均3.0%に近い数字となった。ただ、その他は、いずれも、厳しい状況である。
マックスバリュグループ全体の傾向として、売上げが伸び悩み、原価、経費ともに上昇気味となり、マーチャンダイジング力が双方から圧迫を受け、厳しい状況となった。それを物流収入、不動産収入等のその他営業収入で補おとしたが、マーチャンダイジング力の減少分をカバーできず、営業利益がいずれも厳しい結果となった状況である。
今期、マックスバリュグループは、総力を挙げて、イオングループが開発したPB、トップバリュを積極的に導入し、原価改善をはかったが、それ以上に、消費環境は悪化し、競争が厳しく、NBの値下げが響いたものと思われる。PBの構成比は急激に伸びてはいるが、まだ、その構成比は10%前後といえ、圧倒的にNBの構成比が高く、PBの導入による原価改善には数字を見る限り、結びついておらず、さらに、20%、30%へ向けて取り組む一方で、競争の中心となるNBの原価改善が必須といえよう。
また、経費に関しては、経費削減も当然重要な対策ではあるが、それ以上に既存店の活性化により、既存店の売上を引き上げること、特に、坪当りの売上げがポイントであるといえ、これにより、相対的に経費を引き下げることが可能となる。この中間決算のマックスバリュ各社の売上げは伸び悩んでおり、既存店も厳しい状況にあり、経費面での圧迫も大きいといえよう。
今後、今回の厳しい中間決算の結果を踏まえ、後半、利益改善が急務といえ、まずは、既存店の活性化を最優先で取り組む必要があろう。そして、より、原価改善を行うためにも、PBの強化もさることながら、NBの原価改善がポイントといえよう。すでに、2010年度の後半に突入しているが、マックスバリュ各社が本決算に向けて、どのような利益改善の政策を打ち出すかに注目したい。
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