続、マックスバリュ5社の中間決算、CF、B/Sを見る!
前回のブログでマックスバリュ5社の2010年度の中間決算のP/Lについて取り上げた。いずれも厳しい決算結果であり、増収増益は1社もなく、全体として、利益面が特に厳しい決算結果であった。そこで、今回はこの厳しい決算結果を受けて、CFとB/Sがどのような状況となったかを見てみたい。一般に減益となった場合には、営業キャッシュフローが減少し、積極的な新規出店への投資が抑制され、有利子負債が増加するなど財務状況も悪化するケースが多い。また、当然、配当へのキャッシュの配分も十分にできず、減配、配当見合せとなることもある。今回、この厳しい決算結果を受け、マックスバリュ各社がどのような経営決断をしたか、その結果をCF、B/Sから見てみたい。
まず、CFの状況を見てみたい。営業キャッシュフローであるが、北海道-18.25億円、東北20.10億円、東海27.04億円、中部8.60憶円、西日本42.48億円という状況である。西日本が最も規模が大きいこともあり、最も大きく、42.48億円であり、ついで、東海、東北となる。一方、中部は厳しいものがあり、北海道はマイナスの営業キャッシュフローであり、さらに、厳しいキャッシュフローである。北海道は何といっても赤字決算となったことが大きく、減価償却費、その他の項目でカバーできなかった。また、中部は大幅な減益となったことが響き、これに加え、法人税の支払いも大きかったといえよう。
次に、投資キャッシュフロー、および、営業キャッシュフローを足したフリーキャッシュフローを見てみたい。北海道-4.57億円(フリーキャッシュフロー-22.82億円)、東北-25.57億円(-5.47億円)、東海-46.43億円(-19.39億円)、中部-25.65億円(-17.05億円)、西日本-67.60億円(-25.12億円)と、5社ともにフリーキャッシュフローがマイナスとなり、営業キャッシュフローで投資が賄えない状況であり、キャッシュ不足が鮮明である。
そこで、その中身を食品スーパーマーケットにとって、最も重要な新規出店関連の投資を見てみると、北海道-9.03億円(投資キャッシュフローの197.5%)、東北27.03億円(105.7%)、東海54.33億円(117.0%)、中部24.91億円(97.1%)、西日本68.8億円(101.7%)という状況である。営業キャッシュフローの如何にかかわらず、いずれのマックスバリュも新規出店への投資意欲は旺盛であり、単純計算で、投資キャッシュフローのほぼ100%となり、投資キャッシュフロー=新規出店への投資といってもよいくらいの数字である。したがって、フリーキャッシュフローのマイナスの要因は、新規出店への投資が大きいといえ、マックスバリュ各社は営業キャッシュフローが厳しい中でも積極的な投資がなされているといえよう。
ちなみに、出店関連の資産が総資産に占める割合を見ると、北海道148.04億円(総資産対比56.0%)、東北225.68億円(72.25%)、東海350.50億円(62.7%)、中部299.61億円(72.4%)、西日本412.68憶円(57.8%)という状況である。北海道、西日本が低い数字であり、東北、中部が高めである。また、自己資本比率は、北海道21.6%、東北6.9%、東海63.7%、中部32.3%、西日本45.0%であるので、東海以外は自己資本の範囲内で出店関連の資産を賄うことができず、負債、特に、有利子負債に大きく依存している状況であるといえよう。ここから、差し引き、出店余力を出してみると、北海道-34.4%、東北-65.35%、東海1.0%、中部-40.1%、西日本-12.8%であり、東海のみプラスとなり、他の4社は厳しい状況であり、特に、東北、中部の出店余力が極端に低い数字である。
そこで、有利子負債の状況を見ると、北海道87.48億円(総資産対比33.1%)、東北125.40億円(41.8%)、東海10.00億円(1.78%)、中部83.62億円(20.2%)、西日本48.74億円(6.8%)であり、東海、西日本はわずかな有利子負債であるが、他の北海道、東北、中部は有利子負債が重く、特に、東北は総資産対比40%を超え厳しい状況である。
さて、最後のキャッシュフロー、財務キャッシュフローであるが、フリーキャッシュフローが5社ともにマイナスであり、そのマイナスを補う必要がある。したがって、この財務キャッシュフローでどこまで、どのように補っているかであるが、有利子負債の状況を見ると、北海道14.78億円、東北5.07憶円、東海10.00億円、中部6.53億円、西日本46.88億円、とほぼ全社で有利子負債を調達しており、この借入が大きいといえよう。
そして、財務キャッシュフローとトータルを見ると、北海道14.36億円(トータル-8.45億円)、東北5.06億円(0.41億円)、東海3.19憶円(-16.19億円)、中部4.00億円(-13.03億円)、西日本37.75億円(12.63億円)となり、西日本がトータルが大きくプラスとなったが、これは有利子負に負うところが大きい。最後に配当であるが、北海道-0.41億円、東北なし、東海-6.79億円、中部-2.51億円、西日本-9.11億円という状況であり、北海道、東北、中部の3社が十分に配当への配分ができない状況である。
このようにマックスバリュ5社の2010年2月期の中間決算の結果は厳しい状況にあるといえ、これがキャッシュフローに大きな影響を与え、営業キャッシュフローが十分に確保できない状況である。ただ、投資に関しては各社積極的な投資がなされているといえる。そのため財務キャッシュフローでカバーせざるをえない状況といえ、有利子負債の調達と、現金の取り崩しで、補わざるをえなくなっており、経営を圧迫しつつあるといえよう。この苦境を脱するには、営業キャッシュフローを高める以外なく、そのためにも、マーチャンダイジング力、現金を調達する力をいかに高められるかが、今後のマックスバリュ各社の最優先課題といえよう。
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