CF(キャッシュフロー)を起点に経営を俯瞰する!
商談前の決算チェックのセミナーも無事終了し、財務3表連環分析表を改めて見直し、現在Vol.4へと改定したが、これにより、CF(キャッシュフロー)の重要性、優位性がより明らかになった。将来的にはIFRS(国際会計基準)が日本の財務会計でも中心となり、CFの重要性はさらに増すものと思われるが、特に、食品スーパーマーケット業界ではCFが今後、財務の中心になってゆくのではと思う。その理由は、この中に、P/L、B/Sが集約され、まさに、CFを中心に財務3表がキャッシュを通じて連環しており、食品スーパーマーケットにとって、最も重要なマーチャンダイジング、新規出店、そして、配当等の経営者の経営決断が、このCFに鮮明に表れているからである。
実際のCFを見ると、その連環度合いが実に分かりにくく、しかも、財務3表の中ではB/S、P/Lの次、3番目に位置しており、重要度が低いといえる。さらに、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローともに、項目が多く、その重要度合いもわかりにくい。また、これを他の食品スーパーマーケットと比較するとなると、至難の業であり、過去のキャッシュフローとの比較も簡単ではない。おそらく、経営者も投資家もCFに関しては、判断に苦労しているのではないかと想像される。
仮に、各社のCFの比較表を作ったとしても、どのように、それぞれの項目を評価したら良いかが難しく、ただ、各項目を羅列してもCFの重要性は見えてこない。CFは文字通り、キャッシュの流れであり、この流れがどのようにはじまり、どのように配分され、最終的にどこに落ち着くかがわかりやすく示されることが重要である。さらに、そのキャッシュの配分がどのようになされ、その結果、P/L、B/Sがどう変化したか、将来的にはどう変化するかまで読み取らないと、CFを見、判断する意義は弱いといえる。CFの重要性、魅力は、まさにここにあり、これを各社と自社を比較することで、自社の経営戦略が鮮明になり、今後、どのような経営方針で臨むべきか、まさに経営戦略の再構築へとつながってくる、これがCFの役割であるといえよう。
そこで、これまで、明らかになった、Vol.4ではすでに盛り込み済みであるが、CFの見方、活用の仕方についてそのポイントをまとめてみたい。まず、CFのはじまりは、すなわち、キャッシュの出どころであるが、こと、食品スーパーマーケットにとっては、たった2項目で説明できる。当期純利益と減価償却費である。この2項目で、営業キャッシュフローの約90%を説明することが可能である。しかも、この2つの項目は、当期純利益がP/L、減価償却費がB/Sと連環しており、さらに、減価償却費は投資キャッシュフローの出店関連への投資とも連環している。したがって、この2つの項目は当期純利益は、P/Lとの連環指標、売上対比、減価償却費はB/Sとの連環指標、総資産対比が必須であり、この指標と見比べ、さらに、各社の違いを見ることで、営業キャッシュフロー、すなわち、キャッシュの出どころが鮮明になる。結果、マーチャンダイジング力をいかに高めるか、計画的な出店戦略をしっかりつくり上げるかが課題となる。
投資キャッシュフローに関しては、何といっても出店関連への投資が食品スーパーマーケットのCFでは最大のポイントである。驚くことに、食品スーパーマーケットの投資キャッシュフローに占める割合は100%を超え、営業キャッシュフローに占める割合も約80%近くになる。食品スーパーマーケットにとって、投資=新規出店といっても過言ではなく、出店がキャッシュの最も配分の大きいところである。したがって、B/Sとの連環は重要であり、総資産対比、さらには、この新規出店への投資が何店舗分に当たるかも推定しておくことが重要である。ちなみに、決算公開企業約50社でこの数字を見ると、2009年度は約500店舗であり、1社平均10店舗の新規出店への投資をしているのが実態である。
そして、財務キャッシュフローであるが、先の投資キャッシュフローが営業キャッシュフローの約80%であるので、当然、財務キャッシュフローへのキャッシュが回らない食品スーパーマーケットもあり、2009年度は約20社弱がマイナスであり、キャッシュの逆流が起こっている。したがって、この場合も含め、財務キャッシュフローでは、最大の経営課題、配当へ十分な配分ができているか、有利子負債がある場合は、どのくらい削減できているか等がポイントとなる。ここでも、特に有利子負債はB/Sと連環するところであり、どのくらい借入を行い、返済し、結果、有利子負債がどのようになったか、また、将来どのようになるかを見極めることがポイントといえる。
最終的に、現金、まさに、キャッシュが増えたか、減ったかが結論といえ、増えても借入で増えているのでは意味がなく、営業キャッシュフローの余力でキャッシュが増えているのが理想といえる。また、減った場合は、どのくらい減り、結果、B/Sの現金の比率が総資産対比でどうなったかを見る必要がある。
このように、CFは、まさに、食品スーパーマーケットにとっては、経営そのものをキャッシュという観点から俯瞰できる財務諸表であり、もっと、CFを活用して、食品スーパーマーケットの経営状況を見極めることがポイントである。また、同時に、食品スーパーマーケット側では、CFを重視したキャッシュフロー経営、すなわち、キャッシュをいかに獲得し、戦略的な投資を行い、その余力で配当を行い、さらにキャッシュをいかに蓄積し、将来へ備えるか、この一連のまさにキャッシュの善循環の連環経営を目指すべきであろう。
食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環表Vol.4、詳細はこちら!
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