消費者物価指数(CPI)、2009年8月度、デフレ鮮明!
2009年8月度の消費者物価指数(CPI)が、9/29、総務省統計局から公表された。消費者物価指数は、結果を3つに分けて公表しているのが特徴で、平成17年度を100として、現在がどのくらいとなったかを表したものである。また、参考として、前月比、前年同月比も合わせて公表される。その結果であるが、まず、総合指数は平成17年を100として100.4、前月比0.3%の上昇、前年同月比は2.2%の下落であった。次に、生鮮食品を除く総合指数であるが、100.1、前月比、前年同月比ともに2.4%の下落であった。そして、3つ目の、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数であるが、98.5、前月比0.1%の上昇、前年同月比は0.9%の下落であった。
また、これらの結果は同時にグラフも公表されるが、それを見ると、総合指数及び生鮮食品を除く総合指数は、良く似た動きをしており、平成17年を100とした場合、昨年5月以降が異常に上昇し、11月頃まで異常値が続いている。特に、過去4年間の折れ線グラフの中で、昨年のみが異常値であるのが特徴である。これに対して、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、前の2つの総合指数と全く違う動きをしており、ほぼ4年間の動きが高い低いはあるが、同じような動きであり、異常値は見られない。したがって、異常値は明らかに、エネルギーに負うところが大であり、このエネルギーの昨年の異常値が消費者物価指数を今期混乱させている最大の要因といえる。
ただ、これを差し引いても気になるのは、いずれのグラフでも、この8月度が、過去4年間で最も消費者物価指数が下落していることである。特に3つ目の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数はこの2月頃から、その差がますます開いており、この8月度は過去4年間で最大の下落幅となったことである。したがって、明らかに、全体としては、消費者物価指数は下落気味に動き始めたといえ、デフレ傾向が鮮明になりつつあるといえよう。
そこで、その要因は何によるかを、見てみたい。消費者物価指数はその分析指標に寄与度という指標を用いており、各項目が全体へ与えるインパクトを明確にしている。ここでは、特に、その寄与度をもとに主要項目の、この8月度の動向を見てみたい。
まず、10大費目の動向であるが、全体は先に見たように全体が前年同月比2.2%の下落であるが、寄与度最大の項目は、-1.10の交通・通信であり、2番目が-0.68の光熱・水道のいわゆるエネルギーである。この2項目で-1.78となり、物価下落のほとんどの説明がつくことになる。ついで、-0.32の教養娯楽、-0.10の家具・家事用品となる。意外なことに食料が出てこないが、食料は-0.03であり、その内訳は、生鮮食品0.07、生鮮食品を除く食料が-0.11である。生鮮食品は全体として見ると、むしろ消費者物価が若干上昇しており、下がっているのは、非生鮮、昨年、原料、資源高で異常高となった小麦関連などが下がったことが要因である。
では、この8月、消費者物価指数を下げた最大の項目、交通・通信の中身は何であるかであるが、最大の項目は外国パック旅行であり、寄与度-0.13である。ついで、-0.03の移動電話通信料、同じく-0.03の高速自動車国道料金である。次に、寄与度の大きかった光熱・エネルギーであるが、何といってもガソリンであり、-1.01と大きく下げており、昨年がいかにガソリン高であったかがわかる。ついで、灯油の-0.46である。
次に、全体への影響は比較的小さかった食品の動向であるが、大分類で見ると、肉類が-0.06と最も大きく、ついで、-0.04の油脂・調味料、飲料であり、-0.03の穀物、-0.02の酒類となる。逆に上昇した項目もあり、0.04の菓子類、0.01の調理食品(惣菜)、そして、外食の0.03となる。
さらに、細目を見てみると、ここからは、8月度の前年同月比となるが、レモン-21.0、いか-15.5、食用油-13.1、いわし-12.7、たこ-11.9、すいか-11.8、コーヒー豆-10.8、液体調味料-10.3が10%以上下がった細目である。ついで、5%以上下がった細目は、牛肉B-9.9 、なし-9.2 、さば-9.1、調理カレー-8.5、風味調味料-8.4、ミネラルウォーター-8.2、鶏卵-7.8、ケチャップ -7.8、スパゲッティ-7.3、納豆-7.2、食パン-7.1、さんま-6.9、ごぼう-6.4、果実ジュース-6.4、調理パスタ-6.3、まぐろ-6.2、マヨネーズ-6.1、えのきだけ-6.0、グレープフルーツ-5.7、えび-5.3、りんごA-5.2、生しいたけ-5.1である。逆に、上昇した項目は、ばれいしょ46.0、レタス45.4、たまねぎ30.8、マーガリン25.0、だいこん24.3、キャンデー22.9、なす20.1、きゅうり19.9、ひじき17.8、トマト16.3、ブロッコリー13.9、キャベツ13.2、牛 乳(配達)12.8、にんじん12.3、ねぎ12.0、ポテトチップス10.7である。
このように、この8月度の消費者物価指数(CPI)は明らかに全体としては、デフレ傾向が鮮明となっており、先行きが厳しい見通しといえよう。ただ、昨年のエネルギーによる異常値の影響が11月頃までは続くので、今後、3ケ月間ぐらいは注視する必要もある。特に、生鮮食品を含め食品の消費者物価指数は一部を除き、全体としては比較的安定しており、こと食品はデフレ傾向の兆しがみえる程度であり、全体の傾向とは一線を画しているといえる。今後、食品がどう動くか、その動向に注目といえよう。
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