セブン&アイH、減益、ヨークベニマルも不振!
すでに、新聞各社でも報じられているように、10/1に公表されたセブン&アイHの2010年2月期の中間決算が純利益35.3%減という厳しい結果となった。10/2の日経新聞では、「セブン&アイ、再構築急ぐ、3~8月、純利益35%減、スーパー・百貨店不振」、「コンビニ事業にも陰り」、「不採算店閉鎖進む、縮小均衡の恐れも」という、衝撃的な見出しの記事が掲載された。これを受けて、株価も10/2現在、2,120円(-55円、-2.53%)と、下がった。この株価水準は、4年前の持ち株会社設立当時の最高値5,420円と比べると、半値以下となっており、株価はその後、ほぼ右下がりのトレンドであり、厳しい状況である。
セブン&アイHの優良企業、食品スーパーマーケットのヨークベニマルも、詳細な数字は公表されていないが、売上高101.5%、営業利益87.7%と、増収減益であり、惣菜のライフフーズを入れても、営業利益は89.2%と、減益となった。特に、既存店が-1.6%(客数-0.1%、客単価-1.6%)となり、相対的に経費が上昇したものと思われ、さらに、商品粗利も26.6%(-0.1%)となったことが、営業利益を圧迫した要因といえよう。売上高でも食品は103.2%と堅調であったが、衣料品が92.9%(売上構成比4.9%)と、大きく下がったことに加え、売上構成比15.0%のテナント収入が97.1%に落ち込んだことも影響があったといえよう。
さて、セブン&アイH全体の中間決算の結果であるが、10/1公表の1ケ月前、9/1に、すでに、業績予想の修正を公表しており、今回の減益予想は織り込み済みとはいえ、実際の確定数字を見るとやはり、厳しい結果であったといえよう。この9/1の業績予想の修正では、この中間決算に関して、決算時に公表した予想よりも、営業収益-6.5%、営業利益-20.9%、経常利益-19.3%、当期純利益-33.3%としており、その理由を、「・・お客様の消費マインドは低調に推移、・・。更に、夏場の天候不順に伴う飲料等の夏物商品の売上不振や、衣料品に加えて食料品や生活雑貨等における市場価格の低下が顕著となったこともあり、・・」としていた。
実際、今回、10/1の中間決算の結果は、営業収益2兆5,464.05億円(前年同期比11.0%減)、営業利益1,181.38 億円(前年同期比20.2%減)、経常利益1,184.64億円(前年同期比19.9%減)、当期純利益436.87億円(前年同期比35.3%減)と、大幅な減収減益となり、9/1時点の予想よりも、減収減益幅が若干広がっており、より、厳しい数字となった。特に営業収益が減収となった要因は、「主に北米におけるガソリン単価の大幅な下落と円高による減収の影響が約2,200 億円あったことにより、・・」とのことであり、円高がセブン&アイHを直撃したともいえる。
セブン&アイHは北米比率が、昨年は31.8%の9,102.70億円であったが、この中間決算では、6,894.02億円と、コメントにあるように、27.1%へと激減している。この事業のほとんどは米国セブンイレブンであり、コンビニエンス事業の営業収益が9,678.67億円であるので、その比率は約70%にもなり、コンビニエンス事業そのものが、国内はFC展開がほとんどであるので、北米依存度が極端に高いのが特徴である。したがって、円高はセブン&アイHのコンビンニ事業の約70%、セブン&アイH全体の約30%へ影響を与えることとなり、海外依存度が極めて高い輸出産業のような事業構造といえる。したがって、円高が続く限り、セブン&アイHは今後とも減収減益の圧力を受けることとなり、為替相場の動向がセブン&アイHにとっては経営の根幹にかかわる課題のひとつともなっている。
この中間決算の不振要因は、すでに報じられているように、この海外要因だけでなく、国内要因の方がさらに大きく、特に、イトーヨーカ堂が初の営業赤字に転じ、-43.47億円の営業利益となったことに加え、収益の柱であるセブンイレブン・ジャパンも89.8%の営業利益(米国セブンイレブンは118.0%の営業利益が増益)となり、百貨店のそごう・西武は30.9%に営業利益が落ち込み、セブン&アイ・フードシステムズは-7.34億円の営業赤字となったことである。
これを受けて、セブン&アイH全体の財務状況であるが、自己資本比率は47.1%(昨年47.9%)と、若干下がっているが、ほぼ横ばいで安定している。有利子負債も7,865.75億円(昨対89.3%)と、削減されており、総資産に占める割合も21.1%であり、自己資本に対する比率も44.7%と、安定している。また、キャッシュフローであるが、営業+投資のフリーキャッシュフローは1,000.97億円のプラスの順流であり、昨年の1,510.40億円と比べると、減っているが、財務キャッシュフローを加えたトータルキャッシュフローは525.96億円(昨年684.68億円)と、大きな減少は見られない。減収減益という厳しい決算となったわりには、財務状況は安定した数字を示しており、堅調な財務状況であるといえよう。
このように、セブン&アイHの中間決算は、純利益が-35.3%と極めて厳しい営業数値となり、今後、リストラが避けて通れない状況とはなったが、財務は安定しており、思い切った経営改革を打ち出す財務余力は十分にあるといえる。ここは、中長期を見据え、戦略的な事業構造の見直しも含め、不採算店の大胆なリストラ、収益の高い事業への経営資源のシフトに踏み込むチャンスともいえよう。後半以降、セブン&アイHがどのような経営改革を打ち出すかに注目である。
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