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October 17, 2009

NHK、特報首都圏、10/16、加熱するポイントサービス!

   10/16、NHKの19時30分から特報首都圏の番組でポイントカードが取り上げられた。テーマは「過熱、ポイントビジネス」であり、ポイントカードの実態を消費者側と企業側、双方から取り上げた興味深い内容であった。冒頭に、ポイントの発行金額の概算が示されたが、現在、日本では約8,000億円のポイントが発行されているという。これに、国が発行しているエコポイントを加えると、優に1兆円を超えたといい、ポイントはいまや、巨大な市場になったという。

   番組では、はじめに、吉田さんというある主婦の方のポイントカードの使い方が紹介された。何と、吉田さんは約40枚のポイントカードをもっており、ポイントを使える店を選んで買い物をしているという。さらに、インタンーネットショッピングもよく使い、特に、米は必ずインターネットで買うという。結果、毎月、3,000円のポイントを獲得しているといいい、吉田さんは、「知っていると得になる。得が主婦のキーワードだ」と、インタビューに答えていた。

   続いて、番組では、経済評論家の森永卓郎さんが、インタビューを受け、ポイントカードの解説をはじめるが、森永さんは、先ほどの主婦、吉田さんよりもさらにポイントカードを持っているといい、40枚から50枚のポイントカードが映し出される。びっくりである。その森永さんは、ポイントカードについて、「消費者はおまけの文化で育っているので、日本の消費者が慣れている。真面目な消費者、忍耐強い消費者が日本の独特の文化となり、普及した」というような趣旨を述べていたのが印象的であった。

   確かに、食品スーパーマーケット業界では、大手以上に中小の方がむしろ早くからポイントカードを導入しており、しかも、首都圏よりも地方の方がポイントカードへの対応は早かったといえる。食品スーパーマーケットの客層の大半は主婦であり、まさに番組のはじめに登場した吉田さんのような主婦が大半である。普及率、使用率も極めて高く、ほぼ来店客の80%ぐらいはポイントカードを使用しており、店舗の商圏のほとんどをカバーしているのが実態といえよう。

   食品スーパーマーケットの場合は、ほぼ0.5%から1%ぐらいの還元率であるので、仮に、同じ食品スーパーマーケットで週3回、2,000円の買い物をしているとすると、週6,000円、5週間で30,000円となるので、月、150円から300円のポイントが付くことになる。ちなみに、家計調査データの最新、8月度を見ると、家計1世帯当たりの月間の消費額は約300,000円であり、仮に、この消費額に1%のポイントがつくと、3,000円であるので、番組に登場した吉田さんは、恐らく、40枚のポイントカードとインターネットを使い、すべての消費をポイントのつく店舗だけで購入しているのではないかと推測される。確かに、300円では得かどうか微妙なところだが、3,000円になれば確かに得であろう。こう見ると、今後、家計すべての支出にポイントをつけようという発想が主婦の間に急激に広がっていってもおかしくないといえよう。

   一方、NHKの番組では企業側についても取材されており、その目的を顧客の囲い込にあるとし、その典型的なポイントカードとして、CCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)のTカードを取り上げている。すでに、カード会員が3,300万人に上るといい、特に、このTカードをコンビニのファミリーマートが採用し、様々な新しい取り組みが始まっているという。たとえば、「相互相客」という手法で、Tカードの加盟店のTUTAYAとファミリーマートの顧客を相互誘導することも瞬時にできるという。購入履歴がリアルタイムでCCCのホストに蓄積されるため、TUYAYAでレンタルビデオを借りたお客さまにファミリーマートのクーポン券を出したり、その逆も可能であり、双方の顧客を共通の顧客として、様々なサービスの提供ができるという。また、ファミリーマートでは、常連客のみポイントを2倍にするなどの試みもしているという。将来的には、Tカードは100社、6,000万人まで増やしてゆく方針であるというので、この「相互相客」がダイナミックに実現する日も近いといえよう。

   さらに番組では、イオンのWAONについても取材がなされ、特に商店街との提携により、街づくりそのものにポイントカードを活用しようという試みである。意外に相性が良いようで、取材を受けた商店街では60店舗がWAONを使っており、リピートのお客様が増えているとのことで、大手小売業と商店街との共存共栄を目指しているという。

   番組ではこれらの取材のまとめとして、野村総研の安岡寛道さんとNHKのキャスターとの間でポイントカードについての議論がはじまるが、印象的であったのは、「主婦は、むかしは1円でも安い店を、いまは、1ポイントでもポイントのつく店を探している」とのことである。しかも、「ポイントを資産と消費者は見ている。87.6%はお金と同じ重要な価値と認識」との野村総研の調査では明らかになったという。一方、企業はポイントをおまけととらえがちであり、ここに、番組でも取材していたが、様々なトラブルが発生する遠因があるといい、今後は、「世界に類を見ないポイント文化を成熟させることも重要では、・・」と結んでいる。

   改めて、ポイントカードを見てみると、確かに、ポイントがいまや、日本の文化といっても良いくらい、身近に、深く浸透し、しかも、ポイント金額が1兆円を超え、経済的にもインパクトを与える数字にまでなった。食品スーパーマーケットのポイントカードも、お店からの視点だけでとらえるのではなく、社会全体の中での役割という視点を導入しても良いのではと、この番組を通じて感じた。

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