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October 28, 2009

キャッシュフローとマーチャンダイジング?

   財務3表連環表を作成してから、キャッシュフローの重要性がますます鮮明になった。これまで、財務3表では、P/Lを重視し、B/Sをサブとして見、CF(キャッシュフロー)は参考に見て来たが、この3つを連環させてみると、最も重要な財務諸表はCF(キャッシュフロー)であることが浮かび上がる。しかも、このキャッシュフローの源流、まさにフローの大本は、当期純利益であり、その大本は、原価、経費差、すなわち、マーチャンダイジング力であるので、キャッシュフローはマーチャンダイジングと密接な関係があることがわかる。

   実際どれくらいの重要性があるかは、キャッシュフローの中の最初の数字、営業キャッシュフローの中における当期純利益の割合を見れば一目瞭然である。2009年度の決算公開企業約50社の平均値が51.7%であり、50%を超える。この内、驚くことに100%を超える食品スーパーマーケットは2009年度決算では、関西スーパーマーケット367.7%、マルヤ190.7%、オオゼキ134.5%、アークス133.4%、PLANT133.3%、ヤマザワ116.2%、マックスバリュ西日本109.1%、ヤオコー106.7%、ユニバース104.7%、ダイイチ101.8%、丸久101.1%、オークワ100.9%と、12社もある。100%を超えるとは、営業キャッシュフローの法人税を含め、マイナス項目が大きかったり、そもそも、当期純利益が低かったりする場合もあるが、それでも、100%以上とは大きな割合である。

   ついで、50%以上は、ベルク96.8%、アオキスーパー91.4%、マルキョウ91.0%、マミーマート87.6%、オーケー84.3%、大黒天物産83.8%、マルミヤストア73.4%、いなげや69.8%、サンエー 68.9%、マックスバリュ東海65.8%、東武ストア65.1%、バロー61.0%、マルエツ57.2%、平和堂55.0%、天満屋ストア50.5%の15社である。ここまでの食品スーパーマーケットで、ほぼ、収益性の高いと見られている企業がほぼ網羅されているといえ、キャッシュフローと、マーチャンダイジングはこの点を見ても、極めて関係が深いことがわかる。

   したがって、キャッシュフローはマーチャンダイジングに依存するといってもよく、逆にいえば、マーチャンダイジングはキャッシュフローを強化するための最も重要な経営課題であるともいえる。従来、マーチャンダイジングはその目的が、経営上、P/Lの一部と考えられており、売上アップを目的にする場合もあり、売上総利益(粗利)を目的にする場合もある。あるいは、さらに、営業利益、経常利益、当期純利益を目的にする場合もある。いずれにせよ、マーチャンダイジングは、P/Lの何らかの指標がその目的であり、B/S、CF(キャッシュフロー)とは、あまり結びつけることがなかったといえる。したがって、いまひとつ、経営の本質に迫ることが難しいという状況であった。

   そこで、先に見たように、マーチャンダイジングの目的をP/Lから、CF(キャッシュフロー)で捉え直したらどうであろうか。こうすることによって、マーチャンダイジングの目的がこれまでのP/L的観点から、CF(キャッシュフロー)へと変わってゆき、マーチャンダイジングはCF(キャッシュフロー)をいかに増大させるために取り組むかという課題になる。そして、そのためには、まずは、キャッシュを獲得することが最重要課題であり、単品管理の目的もキャッシュをいかに獲得するかということになろう。

   ただ、これは、従来の売上と同じではないかと思われるが、キャッシュという観点で見ると、これまで捉えてきたような単純な売上だけではなく、その単品が生み出す総キャッシュということになり、もう少し広く、売上げを捉える事が必要である。たとえば、単品が生み出す売上げは従来の単純なその単品の売上に加え、その単品を購入している顧客全員の総購入単品の売上もキャッシュに入ることになろう。単品を購入する顧客はその単品のみを購入しているだけではなく、さらに、その単品以外の数多くの単品を購入しており、その単品がもたらす総キャッシュは、その購入顧客の購入度合いによって、重みが違うはずであり、この顧客の売上げをも考慮したものが、その単品がもたらす総キャッシュといえよう。

   そして、この総キャッシュの大きい単品がキャッシュフローを増大させる単品であり、総キャッシュを増やすためには、単純な売上げだけを見るのではなく、その単品と顧客との関係をキャッシュという観点から再検討し、どの単品を強化すれば顧客からのキャッシュが増えるのかを判断し、総キャッシュを引き上げてゆくマーチャンダイジングを構築することが、結果、CF(キャッシュフロー)の増大につながってゆく第1歩といえよう。最近はやりのクロスマーチャンダイジング、併売分析も、産業連関表のようにとらえ、どの単品とどの単品の連関度合いが高く、結果、双方を同時強化すれば、総キャッシュが増えると解釈すれば、これも、単品の総キャッシュを増やし、CF(キャッシュフロー)を増大させる経営戦略のひとつといえよう。

   このように、マーチャンダイジングをP/Lという観点だけから捉えるのではなく、経営にとって最も重要なCF(キャッシュフロー)という観点から捉え直すと、新たなマーチャンダイジングの世界観ができあがり、マーチャンダイジングを経営の核心、CF(キャッシュフロー)と直結させることができるのではないかと思う。

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