ファミリーマート、11/13、am/pmを子会社化!
11/13、ファミリーマートが正式に、am/pm(株式会社エーエム・ピーエム・ジャパン)の子会社化を公表した。この日、ファミリーマートの取締役会で決議され、記者会見も開き、その中で12/24日付けで全株式を実質120億円で買い取り、来春に合併するということを明らかにした。その理由について、ファミリーマートは、「・・、厳しい経営環境の中、さらに当社の競争力を高め、本部、加盟店共に中長期的な成長を確実なものとするためには、国内におけるファミリーマートブランドのマーケットシェアを効率的に獲得することが最善であると考え、このたびam/pmを子会社化することを決定いたしました。・・」とコメントしており、「市場シェアを効率的に獲得する」ことが狙いであるとしている。
これを受けて、11/14の日経新聞は、「ファミマ、am/pm買収発表、12月までに店名統一」、「セブン追撃へ再編口火」、「市場は低迷、成長に危機感、首都圏一気に強化」との見出しの記事を掲載した。その記事を読むと、ファミリーマートの筆頭株主、30.65%を所有する伊藤忠商事は当初はこのM&Aに消極的であったという。伊藤忠商事は、国内よりも、海外市場を優先すべきという考えが強かったというが、伊藤忠商事、食料部門出身のファミリーマートの上田社長がここは勝負時と見て、リスク覚悟の主戦論を展開し、自ら、am/pmの親会社、レックスホールディングスと交渉を開始したという。
実際、今回の買収金額は120億円であるが、11/15の日経ヴェリタスによれば、これ以外に、買収後のam/pmの店舗改装に80億円、250店舗の不採算店の閉鎖に90億円、ここから節税効果110億円を引くと、合計実質180億円の投資になるという。これは、すでに、この5月に白紙にもどったローソンとam/pmの直接の買収金額145億円、これに店舗改装150億円、節税効果150億円、さらに保証金のもどしなどで50億円、計95億円と比べると、かなり割高であるという。それでも、そのリスクを負ってでも、今回、上田社長がam/pmの買収を決断した理由は、首都圏という、最も重要な市場で劣勢にたっていたファミリーマートを一気に、この市場でNo.1にするには、このM&Aが「市場シェアを効率的に獲得する」最良の選択肢と判断したためであるという。
実際、日経新聞によれば、現在、都内の主要コンビニの店舗数は、No.1がセブンイレブンジャパン1,650店舗、No.2がローソン1,250店舗、No.3がファミリーマートの1,150店舗である。これにam/pmの550店舗が加わると、ファミリーマートは1,800店舗となり、一気にトップシェアとなり、首都圏でのまさに、「市場シェア」を獲得することになる。そのためには、買収金額が高くついても、市場シェアを優先した方が、経営戦略上は重要であるとの判断が働いたものといえよう。
ちなみに、am/pmの経営状況であるが、ここ3年間の純資産は、2006年12月期26.20億円、2007年12月期-122.62億円、2008年12月期-139.22億円と、2007年度から債務超過に陥っている。今回のファミリーマートの交渉に当たっても、日経新聞によれば、am/pmの本多社長は、「当社の経営資源では加盟店を守りきれない」と語ったということで、この100億円以上の債務超過は、経営の限界を超える、ギリギリの状況であったことがわかる。また、チェーン店全体の売上高も、2006年12月期1,733.12億円、2007年12月期1,625.36億円、2008年12月期1,515.06億円と、厳しい状況にあり、店舗の活性化が急務であった状況であり、債務超過を相殺するだけでなく、既存店の活性化の資金も必要な状況であり、am/pmの親会社、レックスホールディングスでは、支えきれない状況にあったといえよう。さらに、営業利益は2006年12月期-11.43億円、2007年12月期-34.90億円、2008年12月期6.10億円と、厳しい状況であり、収益の改善もまったなしの状況であったといえる。
さて、今後であるが、11/15の日経に、「そこが知りたい」というコーナーで、伊藤忠商事の小林社長のインタビュー記事が掲載された。これを読むと、すでに、伊藤忠商事は次の一手に目が向いており、ひとつは、海外、特に中国市場の開拓であり、もうひとつは、国内でのバリューチェーンの構築である。特に、伊藤忠商事がすでに出資を決めたユニーを中心に、グループのファミリーマート、そして、今回のam/pm等のコンビニ、またユニーと業務提携先のイズミヤ、フジ等の食品スーパーマーケットとの連携、さらに、これらを起点に国内の有力コンビニ、食品スーパーマーケットとの連携である。
その意味で、今回のファミリーマートのam/pm買収は、伊藤忠商事がキーカンパニーとなった小売業の第3極、セブン&アイH、イオンにつぐ一大小売りグループづくりへの大きな一歩ともいえよう。ファミリーマートがいつ、ユニー傘下のサークルKサンクスと資本・業務提携に踏み切ってもおかしくない状況であり、ユニーがいつイズミヤ、フジともう一歩踏み込んだ連携をはかっても不思議ではなく、さらに、全国の有力食品スーパーマーケットが、この連合にいつ加わっても違和感がない状況であるといえよう。今回のファミリーマートのam/pmへのM&Aが、食品スーパーマーケット業界を含め、流通業界再編の口火を切るきっかけとなった可能性が高く、今後、各社の動向に注目である。
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