売上速報、食品スーパーマーケット、2009年10月度!
食品スーパーマーケット月次売上公開企業24社の2009年10月度の売上速報を独自に集計した。結果は、全体が102.0%、既存店は96.4%となった。この1年間の推移を見ると、9月度102.2%(既存店97.1%)、8月度101.2%(96.1%)、7月度100.4%(96.0%)、6月度101.3%(96.5%)、5月度104.9%(99.0%)、4月度102.2%(96.9%)、3月度101.5%(96.4%)、2月度102.3%(96.9%)、1月度104.7%(99.7%)、2008年12月度104.0%(99.2%)、11月度106.2%(101.5%)、10月度103.9%(99.5%)という状況である。こう見ると、2月以降、売上げが明らかに下がっており、しかも、既存店の落ち込みが大きく、この10月度も、同様に売上げが伸び悩んでいる状況である。
この売上速報を公開している食品スーパーマーケットの内、約半分が客数、客単価まで公開しており、さらに、その約半分がPI値、平均単価まで公開しているが、その状況を見ると、既存店は客数、客単価ともに落ち込んでおり、しかも、PI値は昨対を超えているが、平均単価の落ち込みが大きい状況である。やはり、ここへ来て、価格競争が激化し、価格を下げざるをえない状況が、この結果に反映されたものといえよう。
このような状況の中で、売上げを大きく伸ばしている食品スーパーマーケットが2社ある。スーパーバリュー124.2%(既存店100.4%)、マックスバリュ東海121.9%(92.9%)である。どちらも、店舗数が大きく増加しているのが特徴である。スーパーバリューは、ここへ来て、積極的に新規出店を行っており、最近では居抜き物件での新規出店をはじめ店舗数が現在14店舗となった。ここ最近の新規出店の状況を見ると、2008年11月川口前川店、12月入間春日町店、2009年7月東所沢店、10月荒川一丁目店と4店舗増加している。さらに、10月度の売上げには入っていないが、11月に大宮天沼店、見沼南中野店と同時に2店舗新規オープンしている。まだ、店舗数が14店舗であるので、1店舗の新規オープンの全体へ与える影響も大きく、率では124.2%と高い伸び率となった。今後、1年間はほぼ、このペース以上の伸び率となるものと予想され、食品スーパーマーケット業界では当面、No.1の伸び率を維持するものと思われる。
一方、マックスバリュ東海であるが、121.9%とスーパーバリュー同様、好調な売上げである。これは、新規出店よりも、M&A効果によるところが大きく、昨年8月のM&Aにより、シーズンセレクト11店舗を譲り受け、昨年11月度から売上げ計上されており、さらに、今年に入り、この9月にはイオンリテールから6店舗を譲り受け、これに、独自の新店も加わり、大きく売上げをのばしている状況である。ただ、既存店が92.9%と厳しい状況であり、今後、既存店の活性化が急務といえよう。
この2社以外にも、昨対を超え、堅調な売上げを維持している食品スーパーマーケットであるが、103.0%以上の食品スーパーマーケットを見てみると、ハローズ109.0%(既存店95.9%)、バロー106.9%(100.0%)、オオゼキ105.0%(101.4%)、カスミ104.9%、ダイイチ104.5%(96.9%)、マックスバリュ中部103.0%(99.2%)である。いずれの食品スーパーマーケットも既存店は伸び悩んでいるが、新店により、堅調な売上げを維持している。特に、大黒天物産、バローはエリアを超えての新規出店に積極的であるのが特徴である。
ハローズは、地元は広島県であるが、早くから瀬戸内海全体を意識したエリア拡大の構想を示しており、来年11月には、この構想を実現するための早島物流センターが稼働する予定である。すでに、四国エリアに4店舗オープンしており、四国エリアが第2ドミナントとなりつつある。また、バローは地元中部エリアに加え、東海エリア、北陸エリア、そして、関西エリアへの参入もはじまり、4エリア目のエリア拡大となった。今後、それぞれのエリアにおいて、さらに、M&A、新規出店がなされてゆくものといえ、売上げの拡大が続くものといえよう。
また、オオゼキは3年ぶりに、新エリア千葉県への新規出店を果たし、カスミはディスカウントストア、フードoffストッカーの既存店の改装を加速しており、現在22店舗にまでになった。そろそろ、新店の開発もはじまるものといえ、他の業態とともに、新店の増化が増えるものといえよう。ダイイチ、マックスバリュ中部も新店の効果が大きく、既存店が伸び悩む中、堅調な売上げを維持しているといえる。このように、新店を出店できる食品スーパーマーケットは、この10月度も売上げは好調に推移しているといえる。
一方、全体の売上げが厳しい食品スーパーマーケットであるが、マックスバリュ東北97.9%(既存店97.6%)、Olympic 97.7%( 95.5%)、トーホー97.7%(98.1%)、マックスバリュ北海道97.0%(94.8%)、PLANT97.0%、いなげや95.2%(92.1%)、エコス94.0%(95.0%)、アークランドサカモト 92.4%(93.9%)という状況である。いずれも、新店が十分に出店できない状況であるといえ、新店の有無での差が大きいといえよう。
このように、2009年10月度の食品スーパーマーケットの売上速報は明暗が分かれ、新店、M&Aに積極的に取り組めた食品スーパーマーケットは売上げが好調であり、新店が十分に出店できなかった食品スーパーマーケ
ットは売上げが厳しい状況となった。また、全体的には平均単価の下落傾向が鮮明であり、既存店の数字が伸び悩んでおり、当面、食品スーパーマーケット業界はデフレへの対応が最優先課題となろう。来月以降、明暗がさらに広がることが予想され、食品スーパーマーケット業界では、今後、2極化が拡大してゆくのではないかと懸念される。
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