マミーマート、2009年9月期決算、増収増益!
マミーマートが2009年9月期の本決算を11/13、公表した。9月期決算の食品スーパーマーケットはめずらしく、上場企業では、マミーマートを入れて、ダイイチ、PLANT、マルキョウの4社である。その結果であるが、売上高832.30億円(102.4%)、営業利益14.97億円(123.8%:売上対比1.80%)、経常利益18.44億円(105.2%:売上対比2.21%)、当期純利益8.24億円(104.1:売上対比0.99%)となり、増収増益の好決算であった。マミーマートは本社は埼玉県さいたま市にあり、現在、埼玉県41店舗、千葉県10店舗、東京都2店舗、栃木県1店舗の計54店舗を展開している食品スーパーマーケットである。また、傘下には、ディスカウントストアのギガマートもあり、現在10店舗を展開している。
今期決算が好調であった要因であるが、売上高に関しては、今期、マミーマート沢口町店(埼玉県東松山市)、ギガマート北越谷店(埼玉県越谷市)の2店舗をオープンしており、この2店舗が売上げを押し上げたといえよう。一方、利益の方であるが、原価、経を見てみると、原価は75.99%(昨年75.35%)と、やや上昇している。マミーマート自身も、「各社は、集客対策として価格訴求を一層熾烈化しており、少子・高齢化に伴う世帯人数の減少で販売数量の減少、販売単価の低廉化など厳しい経営環境が続いております。・・」とコメントしているように、価格競争が原価を押し上げた要因といえよう。結果、売上総利益は24.01%(昨年24.65%)となった。
一方、経費の方であるが、23.68%(昨年24.76%)と、大きく下がっており、今期の増益の要因はこの経費の削減に負うところが大きかったといえる。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、0.33%(昨年-0.11%)と、昨年のマイナスからプラスへと反転しており、マーチャンダイジング力が強化されたといえよう。一般に、マーチャンダイジング力がプラスになるには、粗利を引き上げるか、経費を引き下げるかにあるが、今期のマミーマートは、経費を引き下げて、マーチャンダイジング力をプラスにもっていっており、経費削減効果が大きかったといえる。ここへ来て、食品スーパーマーケットを取り巻く消費環境が一層厳しさを増しており、原価の削減が売価のダウンに追いつかない状況であり、食品スーパーマーケットが利益を算出するには、経費を削減するしか打つ手がなくなりつつあり、まさに、デフレスパイアラルに陥りつつあるといえる。
そして、営業利益であるが、このマーチャンダイジング力にその他営業収入が1.47%(昨年1.61%)のり、1.80%(昨年1.50%)と、プラスになり、これに、売上増102.4%があいまって、昨年対比では大幅な増益となった。このように、マミーマートの増収増益要因は原価の減少を経費削減でまかった結果といえ、この時期、いかに経費の削減が経営を安定させる上に重要であるかがわかる。
これを受けて、マミーマートのキャッシュフローの状況を見てみたい。今期の営業キャッシュフローは当期純利益が増収となり、21.13億円と堅調な数字となった。ここから投資キャッシュフロー25.74億円を配分し、フリーキャッシュフローは-4.61億円のマイナスとなった。営業キャッシュフロー以上のキャッシュを投資キャッシュフローで配分しており、強気の投資である。結果、キャッシュフローは逆流となり、キャッシュの調達が必要となる。その投資キャッシュフローの中身であるが、出店関連の資産への投資が32.96億円と、ほぼすべてといえ、今期は積極的な攻めの経営であるといえよう。
マミーマートの出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計は199.92億円であり、これは総資産317.45億円の62.97%にあたる。現在、マミーマートは54店舗であるので、1店舗当たり3.70億円であり、通常の食品スーパーマーケットと比べ、かなり低い数字である。したがって、出店にかかわる投資キャッシュフロー32.96億円を3.70億円で割ると8.90店舗であり、54店舗の16.49%にあたり、積極的な新規出店への投資である。そして、財務キャッシュフローであるが、0.97億円のプラスであり、その中身は短期借入金10.60億円を調達し、返済7.78億円と配当1.83億円にあてており、トータル-3.63億円のマイナスとなり、内部留保を取り崩す結果となった。結果、現預金が減っており、財務的にはやや気になるキャッシュフローの流れである。ちなみに、有利子負債であるが、36.53億円(昨年33.71億円)と、若干増加し、総資産の11.5%である。今期、マミーマートの自己資本比率は52.7%(昨年52.4%)と、若干増加しているが、その伸びはわずかであり、もう一段、改善したいところであろう。
このように、2009年9月期のマミーマートの決算は増収増益となり、各社が減益となる中間決算を余儀なくされる厳しい経営環境の中、経費を大きく削減し、好決算となった。しかも、この好決算を背景に、積極的な新店へ向けての投資を行っており、ここへ来て、マミーマートが守るのではなく、逆に敢えて攻めに転じる積極策を打ち出している。来期、マミーマートがどのような新店を展開してゆくかに注目したい。
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