マルキョウ、2009年9月本決算、減収減益、財務安定!
マルキョウが11/13、2009年9月期の本決算を公表した。結果は、売上高926.57億円(97.8%)、営業利益18.14 億円(68.8%:売上対比1.95%)、経常利益19.03億円(68.9%:売上対比2.05%)、当期純利益8.12億円(59.9%:売上対比0.87%)と、減収減益の厳しい決算となった。マルキョウ自身も、「客単価の落ち込みにより売上総利益率が下落し、また、価格競争に対応するためのコスト削減も進まず厳しい結果となりました。・・」とコメントしているように、ディスカウント戦略を全面に出しているマルキョウであるが、価格競争に対応せざるをえないほど、消費環境は厳しさを増しているといえよう。ただ、自己資本比率はこの厳しい決算にもかかわらず、70.2%(昨年67.3%)と上昇しており、財務面は安定した決算結果となった。
そこで、まず、マルキョウの今期決算の財務面を見てみたい。自己資本比率が70%を超えた要因であるが、純資産が394.64億円(昨年387.15億円)と、7.49億円上昇したことに加え、負債が167.75億円(昨年188.52億円)と20.77億円減少し、ダブルで自己資本比率を高めたことが大きく、理想的な財務構造である。純資産が上昇した要因であるが、当期純利益が減少したにもかかわらず、利益剰余金がその分昨年よりも上乗せとなったためである。一方、負債が削減された要因であるが、固定負債はほとんど変化がなかったが、流動負債、特に、短期借入金が削減されたためである。結果、有利負債は78.46億円(昨年91.35億円)と、10億円強減少し、総資産562.40億円の13.95%となった。
マルキョウは営業状況の不振とは反対に財務状況が堅固になっており、自己資本比率70.2%は決算公開企業約50社の中でも、おそらくベスト3に入るランクであるといえよう。この有利子負債を全額返済すれば、自己資本比率は80%を超え、No.1となることも視野に入ったといえ、今後、厳しい営業状況をいかに安定させられるかが、最大の経営課題になったといえる。
そこで、その営業状況、特に、今期、減収減益となった要因を、原価、経費面から見てみたい。まず原価であるが、79.68%(昨年79.40%)と、若干上昇しており、原価の上昇が見られる。結果、売上総利益は20.32%(昨年20.60%)となった。この売上総利益20.32%は、食品スーパーマーケット業界ではかなり低い数字であり、まさに、ディスカウント業態の数字といえる。2009年度決算のベスト5は、トライアルカンパニー15.6%、アオキスーパー16.6%、PLANT19.3%、マルミヤストア19.9%、オーケー19.9%という状況であり、20.32%がいかに低い数字であるかがわかる。
一方、経費の方であるが、18.84%(昨年18.30%)と、0.54ポイント上昇しており、この上昇分が、今期の減収の大きな要因であったといえよう。ちなみに、経費比率18.84%も食品スーパーマーケット業界では低い数字であり、ベスト10に入る数字である。決算公開企業約50社の中のベスト5を上げれば、オーケー14.9%、トライアルカンパニー16.3%、アオキスーパー16.8%、大黒天物産18.0%、PLANT18.1%であり、18.84%がいかに低い数字であるかがわかる。こう見ると、ディスカウント=ローコストといってもよく、日本の食品スーパーマーケットのディスカウント業態の経費比率は18.0%以下にいかにおさえられるマネジメントシステムをつくれるかにあるといえよう。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力は1.48%(昨年2.30%)となり、大きく減少することになった。原価、経費、双方がダウンするというダブルでの利益の圧迫となったことが大きかったといえよう。これに、不動産収入等のその他営業収入が0.48%(昨年0.49%)のり、営業利益は1.96%(昨年2.79%)となり、大きく減益となった。こう見ると、ダブルではなく、その他営業収益も減少しており、トリプルでの利益の減少となっており、今期、マルキョウはいかに利益を確保するのが難しかったかがわかる。
これを受けて、来期予想であるが、売上高930.00億円(100.4%)、営業利益19.50億円(107.5%:売上対比2.09%)、経常利益20.40億円(107.2%:売上対比2.19%)、当期純利益9.00億円(110.8%:売上対比0.96%)と、一転、増収増益予想であり、好調な決算が予想される。これは、すでに、ニュースリリースされているが、来年1月にマルキョウのフランチャイジーとして9ケ店の店舗を有する有限会社ポテトの小売部門の営業を譲り受ける予定があることが大きく、これが売上げ、利益を押し上げることが大きいという。また、今期の課題である経費削減にも一層取り組むとのことである。
このように、マルキョウの2009年9月期の本決算は消費環境の激変により、競合状況が一層厳しくなったこともあり、減収減益という厳しい結果となった。このような厳しい経営環境の中では一見、ディスカウント業態が有利になると思われるが、この決算結果を見る限り、ディスカウント業態でも、さらに原価を下げ、経費を下げないと利益がでない構造となっており、いかに、今回のデフレが厳しい状況にあるかがわかる。マルキョウはこの苦境を乗り越えるひとつの解決策として、子会社の連結をはかる予定であるが、今後、同様に、各社が連結を強め、場合によってはM&Aも辞さず営業強化をはからざるをえない状況に入ったといえよう。このような厳しい状況を踏まえ、来期、マルキョウがさらに踏み込んだ経営戦略を打ち出すか、注目である。
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