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November 26, 2009

ダイイチ、2009年9月期、本決算、増収増益!

   ダイイチが11/10、2009年9月期の本決算を公表した。結果は、連結決算では売上高280.66億円、営業利益5.21億円(売上対比1.85%)、経常利益4.75億円(売上対比1.69%)、当期純利益2.80億円(売上対比0.99%)となった。連結決算は第3四半期からの公表であるので、昨対が算出されていない。そこで、昨対については、個別で見てみたい。結果は、売上高271.35億円(104.2%)、営業利益4.79億円(101.7%:売上対比1.76%)、経常利益4.46億円(100.6%:売上対比1.64%)、当期純利益2.49億円(114.5%:売上対比0.91%)と、増収増益の好決算となった。

   ダイイチは北海道を3つのブロックに分けて管理しており、現在、帯広ブロック11店舗、旭川ブロック9店舗、札幌ブロック2店舗、合計22店舗である。したがって、1店舗当たり12.75億円となる。今期は2009年5月から連結子会社となった北海道河東郡音更町においてショッピングセンターの核店舗として、スーパーマーケットを運営しているオーケーを子会社化し、5月に新たに改装オープンしたので、この売上げが連結に加わっており、その分、個別よりも売上増となっている。

   北海道市場はアークス、カウボーイが激しいディスカウント競争を繰り広げており、さらに、コープさっぽろ、イオングループを含め、厳しい競争の中にある。その中で、ダイイチは、「競合他社のディスカウント戦略やポイントサービス戦略などに対し、情報の収集と分析による的確な対応を心がけ、・・」と、ディカウント路線にはのらず、「基本方針を確認・徹底することにより、お客様の満足度の向上と信頼の強化・拡大に努め、・・」との営業方針で臨んでいる。特に重視している課題は、「これまで以上に普段の食生活を重視した商品作り、品揃えを徹底することや、より買い易い価格、量目に重点を置いた商品作りを徹底すること、・・」などであるという。

   では、これらの基本方針とマーチャンダイジング政策により、原価、経費が営業利益にどう反映したかを個別決算から見てみたい。まず、原価であるが、76.75%(昨年76.19%)と、0.56ポイント上昇している。競合対策として、売価を下げざるをえず、その影響が原価上昇に表れているといえよう。結果、売上総利益は23.25%(昨年23.81%)となった。一方、経費の方であるが、22.45%(昨年23.00%)と0.55ポイントと、経費削減がほぼ原価の上昇分下がっており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は0.80%(昨年0.81%)と、ほぼ昨年並みの数字を確保した。これに、その他営業収入が0.97%(昨年1.01%)のり、結果、営業利益は1.77%(1.82%)と、率ではわずかに下がったが、額では、売上分の上昇があり、増益となった。

   こう見ると、やはり、北海道の価格競争は厳しい状況にあるといえ、経費削減が原価の上昇に相殺され、率では営業利益をカバーできず、売上高のアップ、額でカバーした状況である。したがって、このような状況で利益を生みすには、原価の上昇は避けられず、経費削減と売上高のアップがポイントといえる。ダイイチにかかわらず、食品スーパーマーケット業界は現在、同様な経営環境にあるといえ、極めて難しい経営を余儀なくされているといえよう。

   これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは、4.67億円(昨年3.93億円)と、大きく増加した。その中身は、増益となり、当期純利益が4.74億円(昨年3.95億円)と、増益による増加が大きいといえる。減価償却費は2.94億円(昨年2.36億円)であるので、わずかな増加であり、営業キャッシュフローの差は、当期純利益が大きな鍵を握っているといえる。そして、ここから投資キャッシュフローであるが、-4.61億円(昨年-6.08億円)と、今期は、圧縮しており、結果、フリーキャッシュフローは0.13億円(昨年-2.15億円)と、わずかではあるが、プラスの順流となった。その要因であるが、食品スーパーマーケット最大の投資である新規出店関連への投資が、-4.96億円(-7.87億円)と抑制していることが大きいといえる。

   そして、財務キャッシュフローであるが、1.10億円(昨年0.70億円)となり、トータルは1.16億円(昨年-1.44億円)となった。その中身であるが、配当は-0.67億円(昨年-0.59億円)と若干上昇し、配当を昨年よりもやや厚くしている。ただ、気になるのが有利子負債であり、1.87億円(昨年1.30億円)と、昨年同様、増加していることである。結果、有利子負債は49.30億円(昨年29.65億円)と大きく増加しているが、これは、オーケーを完全子会社化したことにより、その負債がさらに加算されたためといえよう。結果、自己資本比率は下がるかと思われたが、それを相殺する形で、増益分が純資産にのり、41.5%(昨年41.4%)と、ほぼ同水準を維持した。ただ、ダイイチとしては、この好決算を生かし、もう一段、財務の安定をはかりたかったところであろう。

   このようにダイイチの2009年9月期の決算は増収増益の好決算となり、この好決算により、子会社化したオーケーの負債分をも相殺し、財務のバランスを崩すことなく、財務の安定も図れた。ただ、原価は下がっており、今後とも、北海道市場はより、消費環境、競合状況が厳しくなることが予想される。来期、ダイイチがどのように収益を維持してゆくか、その動向に注目である。

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