スーパーバリュー、2010年2月期中間、増収増益!
スーパーバリューの業績が消費環境の厳しい中、好調に推移している。10/13に公表した2010年2月期の売上高は211.89億円(115.8%)、営業利益は5.97億円(112.1%)、経常利益5.20億円(113.0%)、当期純利益2.90億円(105.4%)となり、増収増益、特に、売上げが大きく増加し、好調な決算となった。
スーパーバリューは、食品スーパーマーケットとホームセンターの購買頻度の高い商品を主体としたスーパーセンターに近い新業態であり、その売上構成比は食品約70%、HC約30%となり、食品に強いHCというビジネスモデルである。この中間決算時の客単価が2,452円と、通常の食品スーパーマーケット、HCよりも高く、まさに、ハイブリットの相乗効果の強みを発揮している。その原動力が、経費17%台の強みを生かした、強力な価格訴求による競争力にあり、粗利も20%強と、通常の食品スーパーマーケットと比べても約5%程度低い数字である。
この中間期、特に売上高が好調に推移した要因であるが、既存店の売上高が101.2%と堅調に推移したことに加え、昨年から今年にかけて、あいついで新規出店を果たしたことにある。2008年11月(SuperValue 川口前川店)、12月(SuperValue 入間春日町店)、2009年7月(SuperValue 東所沢店)、2009年10月(SuperValue 荒川一丁目店)と、立て続けに4店舗を出店しており、特に、はじめの3店舗の売上高が中間決算に計上されたために、数字が大きく上昇した結果となった。スーパーバリューは現在12店舗であるので、3店舗の新店は重みがあり、新店による売上増への貢献度が高いといえよう。また、この11月にも2店舗が同時オープン予定であり、さらに、売上高は大きく伸びることが予想される。
スーパーバリューはこの好調な売上高に加え、利益も好調であり、今期、営業利益は2桁の増益となった。その要因を原価と経費面から見てみると、原価は80.08%(昨年79.44%)と、若干であるが、上昇しており、結果、粗利、売上総利益は19.92%(昨年20.56%)と下がった。ただ、これは、結果、原価が上がり、売価が下がったということでもあり、昨年よりも一段と価格が下がり、価格訴求が増したともいえよう。一方、経費の方であるが、17.80%(昨年18.56%)と、大きく削減しており、経費の削減が一層進み、17%台となり、これが原価の上昇を充分にカバーし、強力な価格訴求の原動力となったといえよう。結果、差し引き、営業利益は2.12%(2.00%)と、上昇しており、率にして106%の上昇である。これに好調な売上高があいまって、営業利益率2桁の増益をもたらしたといえる。
では、この好調さを生かして、今後のスーパーバリューの経営戦略をキャッシュフローの流れから占ってみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、-7.64億円(22.77億円)となり、昨年と一転、マイナスのキャッシュフローである。これは決算日と金融機関の休日との関係で、昨年は仕入れ債務が17.80億円増加したが、今期は-12.33億円減少したためである。結果、営業キャッシュフローは厳しい状況である。そして、投資キャッシュフローであるが、-3.87億円(昨年-3.81億円)と、ほぼ、同額である。その内訳であるが、新規出店関連が-3.25億円(昨年-3.35億円)であり、昨年同様の新規出店への投資が大半である。したがって、営業キャッシュフローが厳しい中でも、今期も昨年同様の新規出店による成長戦略が引き続き堅持されるものといえよう。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは-11.51億円(昨年18.96億円)と、マイナスとった。
したがって、キャッシュフローは逆流となり、財務キャッシュフローか、内部留保を取り崩すことになるが、その財務キャッシュフローを見ると、-0.78億円(昨年-7.27億円)であり、さらに、マイナスとなり、結果、内部留保を-12.29億円(昨年11.69億円)取り崩すこととなった。その内訳であるが、配当は-0.41億円(昨年-0.31億円)と、若干、昨年よりも増加したが、有利子負債が-0.36億円(昨年-6.95億円)と、若干の削減にとどまっており、財務状況は、この好決算を生かしての改善にはいたらなかったといえよう。
実際、スーパーバリューの自己資本比率は15.8%(昨年13.7%)と、若干改善しているが、まだまだ、経営がその約85%を負債に大きく依存している状況であり、特に、有利子負債は111.45億円と、総資産190.91億円の58.37%という状況であり、厳しい財務状況である。本来であれば、この好調な決算結果を、有利子負債の削減等に向け、財務状況の改善を図りたいところかと思うが、スーパーバリューは敢えて、新規出店にキャッシュフローを配分し、強気の攻めの経営戦略を選択したといえよう。
このように、スーパーバリューの2010年2月期の中間決算は、増収増益の好決算となった。そして、この好決算をいかし、経営課題の財務改善に踏み込むのではなく、敢えて、内部留保を崩してでも新規出店への投資へキャッシュを配分し、積極的な成長戦略を選択している。それだけ、厳しい消費環境を反映した現在の異常な価格競争による経営環境の悪化は、スーパーバリューにとっては、ビジネスチャンスとの判断が働いたものといえよう。この経営決断が、今後のスーパーバリューのさらなる好調さにつながってゆくか、その動向に注目である。
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