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November 18, 2009

バロー、2010年3月期、中間決算、増収減益!

   バローが、11/6、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,713.96億円(101.7%)、営業利益43.28億円(96.1%)、経常利益45.41億円(96.6%)、当期純利益17.94億円(97.9%)となり、増収減益となる厳しい結果となった。バローは、本体のバロー以外にも、食品スーパーマーケット数社、ホームセンター、ドラックストア、スポーツクラブなどをグループで運営しており、食品スーパーマーケットとしては多岐にわたる意欲的なビジネスを展開している。そこで、個別、食品スーパーマーケットのバロー124店舗、ホームセンター36店舗、ペットショップ18店舗の合計178店舗の数字を見ると、営業収益1,124.71億円(101.1%)、営業利益21.22億円(71.9%)、経常利益27.82億円(75.3%)、当期純利益14.65億円(74.8%)と、同様に、増収減益となり、減益幅がさらに広がる厳しい決算結果となった。

   この個別決算において、バローが減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、76.14%(昨年75.22%)と、0.92ポイント上昇しており、結果、売上総利益は、23.86%(昨年24.78%)と下がった。バローも、「・・、消費者の生活防衛意識が日々の消費行動を鈍化させ、低価格志向を加速させるという非常に厳しい環境にあり、・・」とコメントしているように、価格ダウンがそのまま原価ダウンにつながらず、原価の上昇をまねいたものといえよう。それだけ、価格競争は厳しい状況にあるといえ、食品スーパーマーケットは体力勝負の激しい消耗戦に入ったといえよう。一方、経費の方であるが、27.66%(昨年27.56%)と、若干の上昇が見られる。したがって、原価、経費、双方が上昇し、ダブルで利益を圧迫しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力が-3.80%(昨年-2.78%)と、マイナス幅がさらに広がり、厳しい結果となった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が5.80%(昨年5.58%)のり、結果、営業利益は2.00%(2.80%)となり、減益となった。

   それにしても、バローの収益構造はその他営業収入が大きな鍵を握っており、マーチャンダイジング力が原価大(粗利小)、経費大という構図となっているため、今期のように原価上昇圧力が強い経営環境では、売上げが伸び悩み、固定費が重くのしかかり、その幅が拡大する圧力が加わり、利益がとりにくい状況にあるといえよう。今後、利益を生み出す上においては、原価の改善も重要であるが、経費を如何に下げるビジネスモデルをつくるかが経営課題といえよう。バロー自身も今期、「チラシ配布による販促を行わないEDLP(エブリデー・ロープライス=毎日低価格販売)型スーパーの実験店である「バロー師勝店」」をオープンさせており、これらの動向が注目されるところである。

   一方、財務の方であるが、この中間期の連結の自己資本比率は32.3%(昨年32.0%)と若干改善しているが、負債に約70%を負う財務構造であり、厳しい状況である。これは、負債の主要項目である有利子負債が657.08億円(前期決算時684.49億円)と、返済が進んではいるが、総資産1,736.05億円の37.84%と重くのしかかっているためである。決算公開企業約50社の前期決算時の有利子負債の平均は27.7%であり、平均よりも約10ポイント高く、引き続き、有利子負債の削減が財務の安定化にとっては重要な経営課題といえよう。

   食品スーパーマーケットの財務、特に、資産はその大半が出店にかかわる資産であり、これも決算公開企業約50社の前期決算時の平均を見ると63.5%となり、在庫まで入れると約70%と、大半を占める。したがって、自己資本比率が上昇し、財務が安定しないと、負債、特に有利子負債に頼る新規出店構造となり、資金調達が可能な間は出店ができるが、

   いずれ、限界となり、出店が厳しくなり、成長が鈍化しかねない状況となる。バローの出店にかかわる資産、土地、建物、差入れ保証金の合計は1,117.36億円であり、総資産の64.36%となる。また、在庫は187.63億円と、総資産の10.80%と、通常の食品スーパーマーケットよりも、ホームセンター等の在庫の多い業種が連結決算では加わるため、重くなり、在庫まで入れると、出店にかかわる資産は75.16%と巨額な数字となり、これを自己資本比率から差し引いた出店余力は-42.86%と、負債、特に有利子負債に大きく負う出店構造となる。今後、中長期的に継続的安定的な出店をはかってゆくためにも、有利子負債の削減を一層すすめ、自己資本比率を改善してゆくことが、優先的な経営課題といえよう。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益3,590.00億円(106.7%)、営業利益107.00億円(109.2%)、経常利益108.00億円(106.0%)、当期純利益38.00億円(112.2%)と、この中間決算とはうってかわり、増収増益の好決算予想である。ただ、経営環境はより厳しさを増し、原価、経費双方への圧力がより強まることが予想されるので、この数字を達成するには、今後、後半で思い切った経営改善が必要といえよう。その意味でバローが、この後半に向けて、特に、年間最大の売上、利益を確保できるクリスマス、年末商戦においてどのような思い切ったマーチャンダイジング政策を打ち出すかかに注目である。
 
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