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November 08, 2009

いなげや、2010年3月期中間決算、増収減益!

   いなげやが、10/27、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,144.83億円(100.8%)、営業利益8.63億円(71.4%:営業収益比0.75%)、経常利益10.06億円(74.9%:営業収益比0.87%)、当期純利益2.73億円(96.0%:営業収益比0.23%)となり、増収減益となる厳しい決算となった。また、増収に関しても、100.8%とわずかな伸び率にとどまり、売上げも厳しい状況である。いなげや自身も、「価格引き下げなどにより客数確保には一定の効果がありましたものの一点当たりの買上単価が下げ止まらず、既存店売上高は、前年同四半期比4.4%減と厳しい状況で推移、・・」と、コメントしているように、予想以上の価格競争が経営に大きな影響を与えているといえよう。

   いなげやは、食品スーパーマーケットが126店舗、ドラックストアが90店舗あり、その売上構成比は、合計の売上高が1,093.66億円であり、食品スーパーマーケットが927.31億円、ドラックストアが166.35億円であり、84.7%対15.3%である。また、それぞれの伸び率は、食品スーパーマーケットの売上高98.9%、営業利益46.8%(営業利益率0.45%)に対し、ドラックストアは売上高109.2%、営業利益179.5%(営業利益率1.28%)と、ドラックストアは、売上構成比は低いが、好調であり、食品スーパーマーケットが苦戦したことが、この中間期では厳しい結果となった要因である。

   また、食品スーパーマーケットの既存店の内訳は、SSM(大型店39店舗、96.5%)、SM(中型店39店舗、95.8%)、CSM(小型店42店舗、94.5%)という状況であり、やや小型店が厳しい状況であったといえる。同様にドラックストアの既存店84店舗であるが、104.4%であり、食品スーパーマーケットとは対照的に、既存店の売上高も堅調であり、既存店においても、食品スーパーマーケットの不振が鮮明である。さらに、食品スーパーマーケットにおいて、事業別にみると、生鮮97.9%、日配・惣菜99.5%、加工食品100.5%、ノンフード94.2%となり、生鮮とノンフードが厳しい結果であったといえる。

   さらに、売上高を分解し、客数、客単価、そして、PI値、平均単価で見てみると、食品スーパーマーケットの客数は横ばい、客単価は下落、PI値は横ばい、平均単価は大きく下落という状況である。これに対してドラックストアは客数上昇、客単価上昇、PI値上昇、平均単価下落という状況である。どちらも、平均単価の下落、特に、食品スーパーマーケットでは鮮明であり、この中間期は激しい競合企業との価格競争に伴い、平均単価が下落し、それが客単価、利益にまで影響を与えたものといえよう。ちなみに、売上高は、売上高=客数×客単価(金額PI値)、客単価(金額PI値)=PI値(1人当たり買上点数)×平均単価と分解でき、売上高に変化があった場合には、必ず、これらの指標が変化するので、その要因を全店全商品の単品レベルにまでさかもどって特定することができる。

   一方、利益の方であるが、原価、経費の状況を見ると、ここからは、食品スーパーマーケット、ドラックストア全体の数字で見てみるが、まず、原価は73.40%(昨年73.00%)と、0.40ポイント上昇しており、先に見たように、平均単価の上昇が原価を圧迫したといえ、結果、売上総利益(粗利)は26.6%(昨年27.00%)と下がった。一方、経費の方であるが、29.55%(昨年29.15%)と、経費も0.40ポイント上昇しており、原価、経費双方がダブルで上昇し、利益を大きく圧迫したといえる。それにしても、経費比率29.55%は、前期決算期の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、食品スーパーマーケットとしては、かなり高い数字である。ちょうど、10番目前後となる高さであり、今後、この経費比率をいかに引き下げられるかが、利益を確保するためにも、最重要課題といえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.95%(昨年-2.15%)と、大きくマイナスとなった。これに、不動産収入、物流収入等が3.73%(昨年3.25%)のり、営業利益は0.78%(昨年1.10%)となり、減益となった。その他営業収入は増加したが、原価、経費の上昇が重く経営にのしかかったといえ、既存店の平均単価ダウンが原価だけでなく、既存店の売上ダウンを招き、結果、固定費を上昇させ、経費にまで影響が及んだものと思われる。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益2,328.00億円(102.0%)、営業利益38.20億円(96.5%:営業収益比1.64%)、経常利益41.00億円(97.1%:営業収益比1.76%)、当期純利益18.00億円(107.1%:営業収益比0.77%)と、当期純利益は増益予想ではあるが、営業、経常段階では、増収減益予想であり、依然として厳しい状況が予想される。

   このように、この中間期のいなげやは、ドラックストアは好調に推移したが、売上構成比約85%を占める食品スーパーマーケットが不振であり、特に、平均単価のダウンが大きく、既存店が厳しい状況である。今後とも消費環境の回復は厳しいものがあるといえ、経営環境は悪化することが予想される。いなげやとしても、まずは、平均単価の改善が急務といえ、特に、粗利率でも貢献度の高い生鮮、惣菜、日配等の活性化がポイントといえよう。今後、後半に向けて、これらの部門がどのように強化され、収益の改善がはかられてゆくのか、その動向に注目したい。

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