ヤマザワ、2010年3月期中間、減収増益!
ヤマザワが10/30、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、売上高458.15億円(99.3%)、営業利益12.07億円(102.0%:売上対比2.63%)、経常利益12.18億円(101.9%:売上対比2.65%)、当期純利益5.99億円(145.5%:売上対比1.30%)と、売上高は減少したものの、利益は増益、特に当期純利益は大幅な増益となった。売上高が減少した要因は新店が1店舗に留まり、既存店の客数が96.1%、客単価が98.8%となり、売上高が94.9%となったことが大きかった。また、客単価の中身であるが、買上点数は101.0%とやや上昇したが、平均単価が97.8%と下落したことが大きい。平均単価97.8%は昨年が101.4%、一昨年が101.2%であるので、この3年間では最も大きな落ち込みであり、消費環境の悪化による価格競争の結果を反映しているといえよう。
ただ、このような既存店の厳しい売上の結果を受けても、利益は増益となり、その要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、71.94%(昨年72.15%)と、0.21ポイント減少した。今期は各食品スーパーマーケットが激しい価格競争の中、原価が上昇する食品スーパーマーケットが多いにもかかわらず、ヤマザワは、原価の改善をはかっており、これが利益に貢献したといえよう。しかも、先に見たように、平均単価は下がっており、それ以上に原価を改善したといえ、この面での改善効果は大きかったといえる。結果、売上総利益は28.06%(昨年27.85%)と、粗利が改善した。
一方、経費の方であるが、25.42%(昨年25.27%)と0.15ポイント上昇しており、経費面では若干の増加が見られた。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は2.64%(昨年2.58%)と、上昇した。ヤマザワはその他営業収入が0であるため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、今期、売上げが伸び悩む中、利益は原価を抑えたことにより、増益となり、堅調な決算となった。
これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは14.55億円(昨年6.59億円)となり、約8億円と、大きく増加しているが、これは、当期純利益が大きく増加したことではなく、減価償却費が増加したことに加え、法人税等の支出面が減少したことが大きい。結果、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローへの配分が大きく増加した。その投資キャッシュフローであるが、-14.22億円(昨年-12.04億円)と、営業キャッシュフローの大半を当てており、これを見る限り、積極的な投資にキャッシュを配分していることがわかる。その中身であるが、新規出店関連への投資が-13.91億円(昨年-11.81億円)と、昨年よりも増加しており、新店への積極的な投資がなされている。ヤマザワの1店舗当たりの出店に関する資産は4.49億円であるので、逆算すると、3.1店舗となる。
ヤマザワは、この中間期では7月に神町店(山形県)の1店舗のみの新規出店であり、後半の予定が富の中店(山形県)、中の島店(宮城県)の2店舗、計3店舗の予定である。このキャッシュフローの配分を見ると、今後とも堅調な店舗増を目指しているといえよう。結果、現在、山形県44店舗、宮城県17店舗、合計61店舗となった。年3店舗はちょうど5%の店舗数に当たり、105%の堅実な成長を目指した投資への配分といえよう。
結果、フリーキャッシュフローは0.33億円(昨年-5.45億円)と、昨年の大幅なマイナスと比べ、プラスの順流となったが、その金額はわずかであり、投資キャッシュフローへの厚い配分がなされ、財務キャッシュフローへの配分が厳しい状況である。その財務キャッシュフローであるが、-1.00億円(昨年-6.17億円)と、さらにマイナスとなり、内部留保を取り崩す結果となり、トータルのキャッシュフローは-0.67億円(昨年-11.62億円)となった。ただ、昨年よりは、減少している。その中身であるが、配当は-1.46億円と変わらなかったが、有利子負債の返済が1.20億円(昨年-4.66億円)と、昨年と比べ、増加しており、気になるところである。
結果、ヤマザワの有利子負債は21.70億円(前期本決算時20.50億円)と若干増加したが、総資産401.03億円の5.41%であるので、財務的にはほとんど問題のない数字である。また、現金及び預金は40.83億円であるので、実質、無借金経営であるといえ、安定した財務状況である。したがって、自己資本比率も63.4%(昨年62.7%)と、健全であり、負債に大きく頼ることなく、経営が可能な財務状況といえる。この自己資本63.4%は食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の前決算時の平均が40.7%であるので、トップクラスであり、ベスト10に入る高い数字である。この安定した財務状況があって、今回のキャッシュフローのように、思い切って投資へキャッシュを振りむけることが可能となったといえよう。
このように、ヤマザワの2010年3月期の中間決算は、わずかな減収とはなったが、利益はしっかり確保しており、財務状況も安定している。後半は新規に2店舗の出店が予定されており、通期予想を見ても、100.4%の増収を見込んでいる。今期は、この中間の堅調な増益を背景に増収増益となるものといえよう。課題は、既存店の活性化に絞られたといえ、平均単価の落ち込みによる客単価ダウンをどうカバーしてゆくか、今後、ヤマザワのマーチャンダイジング戦略に注目したい。
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