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November 17, 2009

ウォルマート、2010年、第3四半期決算、EPS増益!

   ウォルマートが11/12、2010年、第3四半期の決算を公表した。日本の決算では、まず、増収増益が最初に問われるが、ウォルマートは、EPS(1株当たりの利益)を見出しにも、決算発表の冒頭の文書にももって来ており、株主に対しての経営責任を明確にしているのが特徴である。この第3四半期のEPS(1株当たりの利益)は0.84ドルであり、これは、期初に株主に約束した0.78ドルから0.82ドルを上回り、さらに、昨年の0.77ドルを上回る結果であり、率にして昨対109.0%であり、増益となった。日本の上場食品スーパーマーケットでEPSを冒頭に示し、株主にアピールする企業はまずないといえ、いかに、アメリカ、特に、ウォルマートが株主へ対しての責任を強く意識しているかがわかる。

   これひとつをとっても、日本の西友を完全子会社化し、ウォルマート自ら改革に邁進し、復活しつつある西友がいかに本気であるかがうかがわれる。仮に西友から利益が上がらず、EPSに影響があるようであれば、株主から圧力がかかり、日本市場からの撤退もありうる話であり、ウォルマート経営陣は不退転の決意で、西友の改革に取り組んでいるのではないかと思う。

   さて、ウォルマートの売上げであるが、この第3四半期の累計は2,922.20億ドル(約26.2兆円)となり、昨対では-0.3%と若干のマイナスとなった。ただ、第3四半期のみでは1.1%の上昇であり、第3四半期に入って売上げの回復が見られる。特に、海外部門の回復が目覚ましく、累計では-4.8%と厳しい状況であるが、第3四半期のみでは1.6%と、プラスに転じており、懸案の為替レートも落ち着きつつあり、今後はウォルマート全体の売り上げに貢献してくるものと思われる。ただ、サムズクラブ部門は累計-1.8%、第3四半期のみでも-0.7%と厳しい状況にあり、若干回復が遅れつつあるといえよう。また、既存店についてであるが、ウォルマート部門は0.5%、サムズクラブ部門は-2.3%となり、合計0.0%という状況であり、堅調な売上げとなった。

   では、この第3四半期のウォルマートのP/Lを見てみたい。売上げは先にみたとおりであるが、累計の原価は75.06%(昨年75.75%)と下がっており、結果、売上総利益、粗利は24.94%(昨年24.25%)と、0.69ポイント上昇した。日本の食品スーパーマーケット、決算公開企業約50社の平均が25.2%であるので、ほぼ近い数字といえよう。これに対し、経費は20.02%(昨年19.47%)と、0.55ポイント上昇しており、20%を超えた。本来、ウォルマートはEDLPに加え、EDLC(EveryDay Low Cost)を徹底し、それが最大の武器となっていたが、ここへ来て、コスト上昇が見られるのが、やや気になるところである。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は4.92%(昨年4.78%)と、プラスになり、これに、その他営業利益が0.80%(昨年0.82%)のり、営業利益は5.72%(昨年5.60%)と、プラスになった。結果、売上げの若干のマイナスをカバーし、増益となっており、減収増益という決算結果となった。

   これを受けて、キャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは124.40億ドル(約1兆1,196億円、昨対119.3%)と、大きく増加した。それにしても、営業キャッシュフローが第3四半期累計で1兆円を超えており、すごい金額である。この内、当期純利益が100.63億ドル(80.8%)、減価償却費が52.55億ドル(42.24%)を占めている。日本の決算公開企業約50社の平均が51.7%対42.7%であるので、減価償却費はほぼ同じであるが、当期純利益が極端に高いのが特徴といえよう。

   これに対して、投資キャッシュフローであるが、-86.61億ドル(約-7,800億円、127.4%)であり、今期は積極的な投資がなされている。その中身は、出店関連の投資が-88.85億ドル(昨年-81.74億ドル)と、ほぼすべてであり、今後とも、積極的に新規出店を図ってゆくものと思われる。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは37.79億ドル(約3,500億円、昨年36.29億ドル)となり、営業キャッシュフローの約30%となる。したがって、営業キャッシュフローの約70%を新店開発に振り向け、約30%を財務キャッシュフローに振り向けたことになる。

   その財務キャッシュフローであるが、-49.26億ドル(約-4,400億円、161.6%)となり、トータルでは-12.72億ドル(昨年3.51億ドル)と内部留保を取り崩している。中身であるが、配当が31.79億ドル(昨年28.14億ドル)と、配当を増加させている。売上対比では1.08%であり、日本の決算公開企業約50社の平均が0.28%であるので、約5倍、No.1のオオゼキが0.73%であるので、いかに、ウォルマートが株主に厚く配当をしているかがわかる。また、自社株買いが51.05億ドル(昨年35.21億ドル)であり、これも株主還元といえ、増益による利益を株主に厚く還元しているといえよう。これに対して、有利負債は差し引き、若干プラスとなっており、返済が進んでおらず、気になるところである。ウォルマートの今期の純資産比率は40.27%であり、昨年が40.25%であるので、ほぼ同じで数字であり、今期の増益が財務の改善にはつながっておらず、今後の課題といえよう。

   このように、ウォルマートの第3四半期決算は若干減収とはなったが、増益となり、EPS(1株当たりの利益)が上昇し、利益は回復基調といえよう。特に、これまで、為替の影響で海外部門が厳しい状況であったが、ここへ来て回復基調となっており、これも大きいといえよう。残すところ、あと四半期であるが、減収幅はわずかであり、年間最大の売上となるクリスマス、年末セール次第で、今期決算が決まるといえ、次の第4四半期のウォルマートのマーチャンダイジング戦略に注目である。

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