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November 06, 2009

時間を科学する、5秒がポイント!

   現在、PI値の研究では、3つの研究が同時並行で進んでいる。ひとつめは、最新のID-POSの研究、これは、これまでのレシートを活用したPI値から、IDを活用したPI値にもとづきマーチャンダイジングの改善につなげる研究である。いわゆる、CRMが研究テーマとなる。最近では、このCRMに財務、キャッシュフローとの連動も視野に入ってきており、まさに、マーチャンダイジング分野では、最先端の研究といえる。2つめは通常のPOS分析、いわゆるレシートを活用したマーチャンダイジングの改善につなげる研究であり、これは、原則、レジ通過総客数を分母にした通常のPI値の研究である。これは約20年間研究しており、定番中の定番であり、ひとつめのCRMの基礎となっている歴史と伝統があり、重みのある研究である。そして、3つ目が、Web上のPI値の研究である。これは、2年ぐらい前から本格的に取り組みはじめた研究であり、ひとつめ、2つめの研究成果をいかした応用発展系の研究である。

   ひとつめ、2つ目がどちらも売上げを科学するというテーマで取り組んでいるが、この3つめも当初は売上げを科学するというテーマで取り組んでいたが、Webを研究するようになってから、Webは売上げではなかなか解けないことがわかり、中断した。変わって、新たに取り組んだのが、時間である。Webにおいて、最大のテーマは時間であるといえ、快適な時間を過ごせるWebほど良いホームページであり、この時間の問題を解くことが、まず、先決であろうと考え、時間をテーマに、時間を科学してみようと思った。当初は各コンテツの時間を把握できるWeb解析の仕組みがなかなか見つからなかったが、Google Analyticsを知ってからは、全コンテツの各コンテンツごとの正確な時間が把握できるようになり、研究が飛躍的に進んだ。

   また、これまでのひとつめ、2つめの研究成果がほぼそのまま応用できることがわかり、これも、研究を発展させることになった。ちょうど、売上げを時間に置き換え、販売点数をベージビューに置き換えると、売上金額と数量の関係を時間と数量の関係に置き換えることができる。さらに、セッションをレシートと置き換えると客数がセッションに変換され、2つ目の研究成果のPI値分析がそのまま活用できる。ただ、残念なことに、Google Analyticsでは、セッション止まりであり、IDに当たるデータが容易に取得できない状況である。したがって、ひとつめの研究成果が生かせないのが残念であるが、いずれ、IDの把握も可能となると思うので、それまでは、理論的な研究にとどめておくしかないが、理論段階でもかなりおもしろい思考実験ができる。

   たとえば、リピートとトライアルを分けて考えたり、あるコンテンツを見たIDが当然他のコンテンツも見るが、その履歴だけではなく、それらを合計した総時間はどのくらいかを分析し、どのコンテンツがベージビュー、セッションだけではなく、総時間を獲得しているか、さらには、CRM特有のコンテンツの相関時間の研究など、様々な取り組みができる。これらの分析を加えることで、より、まさに時間の科学につながってゆくことになろう。

   現在は、これらは思考実験止まりであるが、2つめのPI値の研究成果はほぼ完ぺきに近い形で、応用ができた。時間を科学するための基本方程式が完成し、いわゆる、時間の3D分析がいつでもできるようになった。また、そのためのMD評価表にあたる、TMD(Timeマーチャンダイジング)評価表も完成し、実践に投入しはじめた。ここ最近検証結果があがってきているが、なかなか興味深い結果がでている。

   PI値をはじめて取り組んだ時、1%という基準をつくり、重点商品をPI値1%以上と定義し、マーチャンダイジングの改善が飛躍的に進んだことがあった。今回も、まず、このPI値1%に匹敵する基準をつくろうと思い、勝手に定義したのが、TI値5秒である。PI値に対応して、Time Indexと命名したが、これまでの実証結果からは、TI値5秒が重点コンテンツの基準と考えてよさそうである。TI値5秒とは、ホームページを訪れる顧客の総時間の内、5秒の時間を費やしてくれるコンテンツのことである。いま実証実験につかっているホームページは150から200ぐらいのコンテツがあるが、この内、5秒以上のTI値が15コンテツあり、その中に、10秒以上が8コンテツ、20秒以上が4コンテンツ、1分以上の超重点コンテンツが1コンテツであり、残りはすべて5秒以下、1秒以上でも約50コンテツであり、あとはすべて0秒台である。

   しかも、この5秒を獲得している要因を解析すると閲覧注目度(客数PI値に相当)が高く、閲覧頻度(PPIに相当)が高く、閲覧時間(平均単価に相当)が長いか、この内、2拍子か3拍子はトップクラスにないと5秒以上を獲得することは難しいといえる。逆にいうと、時間を獲得するには、閲覧時間をただ増やすだけでなく、閲覧頻度、閲覧注目度をいかにあげるか、そのバランスが極めて重要である。また、何がその改善に効果があるか、実証研究を積み重ねないと、答えがでないといえ、今後、実証研究の積み重ねがより重要な課題といえよう。

   PI値のひとつめ、2つめは約20年かかったが、TI値に取り組んで約2年であるので、あと3年、何とか5年以内には目途をつけられればと思う。まだ、研究ははじまったばかりであり、IDは未開拓であるが、IDが組み込まれると、おそらく、CRMと融合するのではないかと直感的には思える。その意味で、いずれ、時間と売上は融合することは必至といえ、ごく近い将来、売上げと時間を科学するというテーマ、まさに、時は金なりを科学してみたいと思う。

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