消費者物価指数(CPI)、デフレ、ピークへ!
消費者物価指数(CPI)、2009年10月度が、11/27、総務省統計局から公表された。政府がデフレ宣言をしたが、まさに、それを裏付ける結果となった。消費者物価指数には総合指数が3つあり、文字通り総合指数と国内相場、国際相場を除いた、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数がある。その結果であるが、総合指数は平成17年度を100として、100.0%、生鮮食品を除く総合指数は100.1%、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.6%となり、一見、さほど落ちていないように見えるが、これを前年比でみると、それぞれ、-2.5%、-2.2%、-1.1%と、すべての指数がマイナスとなった。
さらに、この前年対比を時系列のグラフで見ると、総合指数は過去4年間で最低の数字となり、この10ケ月の傾向は、明らかに右下がりとなっており、しかも、年初来最も低い数字となっている。同様に、生鮮食品を除く総合指数も過去4年間で最低の数字であり、過去10ケ月で最も低い数字である。さらに、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数については、過去4年間のなかでは、大きく数字が下回り、その差の拡大傾向が鮮明である。過去10ケ月で見ても、最も低い数字ではないが、底を這うような動きである。こう見ると、明らかに、消費者物価指数はデフレ傾向が鮮明であり、今後、さらに、状況が悪化する兆候が表れているといえよう。
消費者物価指数(CPI)の過去4年間の月別時系列グラフを見ると、3つの指標がきれいなサイン(sin)カーブとなっており、現在、2009年10月の位置は、マイナスの頂点を目指しつつあるように見える。したがって、まだ、頂点には届いていない可能性が高い。消費者物価指数が、このサインカーブでマイナスに転じたのは、まさに、今年の1月、2009年1月であるので、10月が仮に頂点だとすると、少なくとも、今後10ケ月はマイナスが続くことになる。2009年1月前はプラスの山が2007年10月から始まっており、2009年12月までの15ケ月間の山であった。全く同じ期間の谷を考えても5ケ月は続くことになるが、まだ頂点にはいってないように見えるので、やはり、それ以上のマイナスが継続する可能性が高いといえよう。少なくとも、当面はデフレが深刻化する兆候が、このグラフでも明らかに表れているといえる。
では、何が特にデフレ傾向を示しているかを、10大費目、特に、寄与度で見てみたい。全体が前年同月比-2.5%であるので、寄与度をすべて足すと、-2.5%となるので、寄与度の高い順に見ると、最も大きくデフレ寄与度の高い項目は、光熱・水道の-0.67%であり、ついで、交通・通信の-0.64%、食料の-0.53%である。この3つで合計-1.84%となり、-2.5%の75%弱となり、大半を占め、現在のデフレはこの3つが大きな項目であるといえる。これ以外では、教養・娯楽の-0.36%、家具・家事用品の-0.12%であり、その他はほぼプラスマイナス0に近い数字である。
そこで、最も、デフレ寄与度の高い項目、光熱・水道、交通・通信、食料について、さらに、細目で見てみたい。まず、光熱・水道であるが、灯油の-37.1%が最も大きく、これだけで、寄与度-0.34%である。ついで、ガソリン-19.4%、都市ガス代-10.6%、電気代-6.7%と、すべてのエネルギー項目がマイナスとなっている。ついで、交通・通信であるが、何といっても外国パック旅行が-22.8%と大きく落ち込んでおり、寄与度も-0.15%である。この数字を見ると、これが、JALのここへ来ての急激な経営悪化の一因であるこことがわかる。これについで、高速自動車国道料金が-6.6%、航空運賃-2.5%となる。
そして、食料であるが、食料は大きく生鮮食品と生鮮を除く食料とに分かれるが、この10月度はそれぞれ、寄与度が-0.29%、-0.25%と、どちらも同じくらい、物価が下がっており、ほぼ全面安の傾向が強いといえる。特に、下がっている項目であるが、前年同月比で見ると、食用油-18.8%、チーズ-11.8%、マヨネーズ-10.9%、牛肉B(輸入等)-9.6%、ミネラルウォーター-9.4%であり、円高の影響もあると思われる。また、これ以外でも野菜・海藻-6.5%、果物-5.9%、飲料-3.4%という状況である。
また、消費者物価指数を財、サービスという観点で見た場合、全体の寄与度-2.5%の内、財が-2.21%、サービスが-0.25%であり、圧倒的に財がデフレ傾向を鮮明に示している。その中でも工業製品が-1.56%と大きく、ついで、農水畜産物-0.37%、電気・都市ガス・水道が-0.31%となる。
このように、2009年10月度の消費者物価指数(CPI)は明らかにデフレ傾向が鮮明に表れており、しかも、今年に入ってその深刻さを増しており、まだ、ピークが見えない状況である。過去4年間の流れを見ても、今年に入っての流れを見ても、デフレがすぐに収束しそうな兆候はなく、短期はもちろん、中、長期的にデフレが続く可能性が高まったといえよう。食品スーパーマーケット業界にとっては、中、長期のデフレを前提とした経営戦略を再構築する必要があるといえ、来期へ向けて、政策転換をする決断がまさに迫られる段階に入ったといえよう。
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