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November 10, 2009

原信ナルスH、2010年3月期中間決算、増収増益!

   原信ナルスHが11/2、2010年3月期、中間決算を公表した。結果は、売上高が593.30億円(101.9%)、営業利益16.19億円(113.1%:売上対比2.72)、経常利益15.38億円(112.0%:売上対比2.59%)、当期純利益7.72億円(133.4%:売上対比1.30%)と、増収増益、特に利益は2桁増となる好調な決算となった。また、通期予想も、売上高1,190.00億円(102.4%)、営業利益36.00億円(111.8%:売上対比3.02%)、経常利益35.00億円(114.6%:売上対比2.94%)、当期純利益18.00億円(169.0%:売上対比1.51%)と、同様に増収増益であり、今期、原信ナルスHの決算は好調な決算が予想されよう。

   そこで、今期、特に利益が増収になった要因を原価、経費面から見てみたい。まず原価であるが、73.64%(昨年73.22%)となり、0.42ポイント上昇した。やはり、ここへ来ての価格競争の激化により、売価が下がり、原価の上昇を招いたものと思われる。実際、今期の平均単価は168.0円(昨対98.5%)と下がっている。PI値は逆に1,048%(昨対101.4%)と上昇しているが、結果、金額PI値(客単価)は1,758円(99.7%)と下がっており、平均単価のダウンが原価を引き下げた要因と思われる。結果、売上総利益、いわゆる粗利は26.36%(昨年26.78%)とダウンした。

   一方、経費の方であるが、23.62%(24.30%)と、0.68ポイント下がっており、今期は経費の改善が進み、これが、利益を押し上げた要因である。結果、原価の上昇を経費の削減で抑え、差し引き、マーチャンダイジング力は、2.74%(昨年2.48%)と、0.26ポイント、率にして110.48%の改善となった。原信ナルスHはその他営業収入が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益であるので、これがそのまま営業利益となり、売上増とあいまって、営業利益が2桁の大幅な伸び率となった。

   これを受けて、原信ナルスHがどのようにキャッシュフロー戦略をとったかであるが、まず、営業キャッシュフローは29.75億円(昨年24.94億円)と、当期純利益が増益になった分、営業キャッシュフローも増加した。この増加したキャッッシュをどのように投資に回したかであるが、その投資キャッシュフローを見ると、-6.74億円(昨年-18.32億円)と大幅に削減している。その中身を見ると、新規出店にかかわる投資が-6.91億円(-17.09億円)と大幅に削減されている。原信ナルスHの1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.31億円であるので、店舗数に直すと1.6店舗(昨年4.0店舗)であるので、新規出店への投資を大きく削減していることがわかる。結果、フリーキャッシュフローは差し引き、23.01億円(昨年6.62億円)と、昨年と比べ潤沢なキャッシュを確保した。

   これを投資、有利子負債の返済等へ配分することになるが、財務キャッシュフローを見ると、-21.56億円(昨年5.93億円)と、昨年と対照的なプラスからマイナスへの財務キャッシュフローとなり、キャッシュフロー戦略の転換がはかられている。その中身であるが、まず、配当は-2.16億円(昨年-2.87億円)と若干配分が減っており、投資家への配分を厚くしているわけではないことがわかる。次に、有利子負債であるが、短期、長期の借入と返済を相殺すると、-19.40億円(昨年8.81億円)と、ここでも、プラスからマイナスへと逆転が起こり、昨年と比べ一転、大きく有利子負債を返済している。結果、トータルのキャッシュフローは1.44億円(昨年12.54億円)となった。

   こう見ると、今期のキャッシュフロー戦略は、大幅な増益となったキャッシュを昨年は新規出店への投資に大きく振り向けたが、今期は、新規出店への投資を大幅に削減し、その余力のほとんどを有利子負債の削減に当てており、財務基盤の確立にキャッシュを厚く配分したといえよう。実際、有利子負債の状況を見ると、146.79億円(前期決算時158.84億円)と削減されており、負債が削減されている。結果、利益の増加もあり、純資産の改善もはかれたために、自己資本比率は43.5%(昨年41.8%)と若干改善した。ただ、この自己資本比率は決算公開企業約50社の平均に近い数字であり、原信ナルスHとしては、一層、改善したいところであろう。

   結果、原信ナルスHの出店余力であるが、出店関連の資産である、土地、建物、敷金及び保証金の合計は276.65億円であり、これは総資産515.48億円の53.66%となり、自己資本比率43.5%から引くと-10.16%と、約10%強を負債に依存する構造であり、トップクラスの食品スーパーマーケットと比べるとやや重い出店に関しては財務構造といえよう。

   ちなみに、決算公開企業約50社の前期決算で、出店余力がプラスとなった食品スーパーマーケットはヨークベニマル29.4%、オオゼキ28.7%、マックスバリュ東海16.6%、東武ストア11.2%、大黒天物産9.8%、サンエー7.9%、アオキスーパー7.8%、いなげや6.8%、九九プラス5.4%である。

   このように、原信ナルスHの今期中間決算は、増収こそわずかな伸びであったが、大幅な増益となり、特に、経費改善の効果が大きかったといえよう。その結果、今期は増大したキャッシュを新規出店への投資を抑制し、そのほとんどを財務基盤の確立に当て、財務の安定化をはかっており、攻めよりも、守りを重視した経営戦略の転換を図ったといえよう。今後、消費環境はますます混迷を深め、経営環境は悪化するものと予想される中、業績好調な原信ナルスHが今後とも守りの経営戦略に徹してゆくのか注目である。

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